アウトドアの季節到来! キャンプをする人にとって、ワクワクして、いてもたってもいられない時期でしょう。キャンプならではの、テクニックを使う場面があるかと思います。そうしたテクニックを知っておくとキャンプが一層楽しくなりますよね。でも実はその技術、活躍する場面はレジャーだけではありません。大災害が起きたときに、生き延びるためのサバイバル術として活用することができるのです。
そして、そうしたサバイバル術は都市に生きる私たちにとって、最も必要とされているスキルかもしれません。普段は「当たり前」と思っていることが、大災害に襲われた瞬間、全て覆される……そんな事態に対する心構えを持つことができるのです。
今回はキャンプを一層楽しむため、そして未曾有の大災害が起きたときに生き延びるためのサバイバル術をご紹介します。
目次
サバイバル術1:飲水を作る(水の濾過)
レジャーとしてキャンプを行う場合、あまり活用することはないかもしれませんが、生きていくためのサバイバル術として最優先事項となるのは、飲水の確保です。いくつか方法があるのですが、1つはろ過装置を作って飲水を作るというもの。作り方は次の通りです。
ペットボトル濾過装置
①底を切り取ったペットボトルを、逆さまにして吊るす。
②フタに小さな穴を空ける
③ペットボトルの中に入れる:小石→木炭→砂か砂利→バンダナの順番で入れる(バンダナが一番上)
④濁った水を入れる
⑤溜まった水を約10分間煮沸する
これで完全に蒸留される、とまではいきませんが、一応、飲める水を作ることができます。とはいえ、綺麗な水を作るのは難しいので、飲水というより、洗う用途としての水を作る場合に使えそうです。万が一、飲水にせざるを得ない場合、煮沸は念入りに行いましょう。大腸菌などの細菌で腹を壊すリスクを減らせます。水道のないキャンプ場の場合、少し濁った川の水を、この方法で濾過するのは良い方法かもしれません。
もう1つは太陽熱で蒸留させる方法です。方法は次の通り。
太陽熱蒸留法
①地面に直径0.5~1mの穴を掘り、穴の真ん中に容器を置く
②容器の周囲に別の容器を置き、水分を含んだもの(海水、泥水、青草など)を入れる
③ビニールシートを被せ、石を置いて中央を凹ませる
④太陽光によって蒸発した水分が、シート内側をつたって容器に溜まる
この方法は一言でいえば、水が太陽光で蒸発することを活用したやり方です。簡単に飲水を手に入れることができるでしょう。実際のキャンプでも使えるテクニックですし、これさえ知っていれば無人島に遭難しても生き延びることができます。
とはいえ、太陽光で蒸発させるとなると時間がかかります。太陽光が出ている昼の間に実施し、夜使う用の水を確保してみてはいかがでしょうか。
大災害を生き延びる
都市で被災した場合、飲水がないという状況にはあまり遭遇しないかもしれません。しかし、例えば水道水が使えずに、備蓄したミネラルウォーターしか水がないという状況は十分に考えられます。そうしたとき、上記で紹介した2つの方法で水を作ることで、ある程度綺麗な水で体を洗うことができ、食器を洗うことができたり、流れなくなったトイレを流すなどの用途に活用することができるのです。
また、都市の機能が完全に停止する事態がないとは言い切れません。そうした場合、本物のサバイバル術による飲水の確保手段を知っておくことで、確実に生存確率を高めることができるのです。
サバイバル術2: 火を燃やす
人間が生き延びるために欠かせないものは水ですが、それに次いで必要なものは火です。サバイバルといえば火を起こすというイメージが強いですが、火を起こすこと自体はマッチやライターさえあればでき、たとえ被災したときでも火を点ける道具はどこかしらで見つかるはずです。しかし、火が点いたあとに燃やし続けるための燃料がなければ、すぐに消えてしまいます。
そこで、火の燃料となる薪を、簡単に調達する方法を紹介します。
新聞紙で薪を作る
新聞紙は1枚だけだとすぐに燃え尽きますが、まとめると薪のようにして使うことができます。これをペーパーログや紙薪といいます。ペーパーログは新聞紙さえあれば作れるので、火が必要となったとき、家にあるゴミで燃料を作ることができるのです。作り方は次の通りです。
①新聞紙を濡らす
②固める(絞る、筒に入れるなど)
③乾かす
これだけです。固める方法として、手で絞るだけでもいいですが、それよりも更に圧縮させることで、より燃焼効率がよくなります。
例えば、穴を開けた筒やペットボトルに入れて、上から圧縮するなどすることで、本物の薪のように燃え続ける紙薪を作ることができますよ。そのほかにも、紙薪が制作できる専用の道具もあります。これは備蓄として紙薪を準備する場合に使えそうですね。ぜひ試してみてください。
新聞紙で作った紙薪はキャンプでも使えます。持ち運びに便利なので、予備の燃料として車に置いておくのもいいかもしれません。
大災害を生き延びる
火を使って食事を作る、暖を取るといった行為は、人類が進化の過程で身に付けてきた知恵であり、文明の証といえるものです。動物に対する抵抗、寒さに対する抵抗、夜の闇に対する抵抗、そうした人類の自然に対する抵抗の象徴として、火は遥か昔より用いられてきました。人は大自然の中で火を見ると、不思議と安心するのです。祖先の記憶は今でも私たちの中に、受け継がれているのかもしれません。
サバイバル術3:暖を取る
寝床を作る
冬になると必ず必要になるのが寝床です。例えば、避難所の体育館で寝るという場合でも床に直接寝るのと、ダンボールを1枚敷いて寝るのとでは全く違ってきます。手元にあるものだけで、冬をしのげる寝床の作り方をご紹介します。
①ダンボールを敷布団にする
床にダンボールを1枚敷くだけで寒さが軽減します。それに衝立としても使えるので避難生活にダンボールはあるに越したことはありません。②ポリ袋と新聞紙で掛け布団を作る
ポリ袋の中に新聞紙を丸めて詰めるだけで布団になります。羽毛布団のような暖かさになるのだとか。
新聞紙で防寒着を作る
丸めた新聞紙を上着の中に入れることで、空気の層ができて暖かくなります。これはダウンジャケットと同じ原理です。例えば、日中は暖かい春や秋の夜、防寒着を持っていないときに、これを知っておくと便利ですよ。
大災害を生き延びる
ダンボールやゴミ袋、新聞紙を使って暖を取る方法は、都会に生きる私たちのためのサバイバル術といえるものです。たとえ数日であっても、真冬に野宿をせざるを得ないような事態に陥らないとも限りません。そして、そういう事態は命に関わる危険性すらあります。災害は避難したら生き延びることが保証されるわけではないのです。真冬の避難生活を生き延びるために、こうした暖の取り方は必ず覚えておきましょう。
サバイバル術4: オープナーなしで缶詰を開ける
オープナーがないのに缶詰を見つけたとき、開けられずもどかしい気持ちになりますよね。そこに食べ物があるのに食べられないことほど、悲しいことはありません。そんなとき、この方法を知っていると便利です。キャンプでオープナーを忘れた、という場合でもこのことを知っておくと便利です。
①缶詰の蓋の面を石の上で擦る
②つなぎ部分が開いてくる
③側面を強く押す
なんとこれだけで、缶詰をいとも簡単に開けることができるんです。動画を見るとやり方がよくわかりますよ。参考にしてみてください。
サバイバル術5: 刃物を使わずにロープを切る
避難しているとロープを使う場面は結構あるはず。例えば、仕切りに使ったり、看板を括りつけるのに使ったり。「そんなとき刃物が見つからない!」なんてことがあると困りますよね。でも、この方法を知っていると、簡単に切れてしまいます。これを知っておくと、キャンプはもちろん、いろんな場面で使えるはずです。
①切りたい部分にペンで印を付ける
②両足でロープを踏んで固定する
③残ったロープを印の位置に通して擦る
これだけです。動画を見るとわかるように、少し擦ったら切れています。ただし、あまり太すぎるロープだと難しいかもしれないので、適度な太さのロープを切るときに試してみてください。
楽しみながら「生きた技術」を身に付けよう!
アウトドアを楽しむためというのはもとより、防災のためにも覚えておきたいサバイバル術。本記事で紹介してきたのは、どこにでもありそうな物を使ったり、何も使わずにできるものばかりです。防災への備えという考えは、ひとまず横に置いておいて、キャンプなどのレジャーを楽しむときのために、覚えて使ってみてはいかがでしょうか。
楽しみながら使ってこそ、大災害が発生したときに本当に使える「生きた技術」として身に付けることができますよ。