竜巻は海外での被害が多い印象がありますが、日本でも頻発しています。
本記事は、日本で発生する竜巻の特徴や、竜巻への対策方法などを紹介します。竜巻の被害について知りたい方や、対策を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
竜巻は日本でも起こる?
じつは、日本では頻繁に竜巻が発生しています。
そもそも竜巻とは、積乱雲と一緒に発生する激しい渦巻のことを指します。台風の頻発する時期や、低気圧・寒冷前線が停滞している時期は竜巻が発生しやすいため、外出には注意が必要です。
また、夜間よりも昼間、沿岸部などで発生しやすいという特徴があります。
滅多に起こらない自然災害だとは思わず、わがこと意識(ある出来事を他人事ではなく自分に引きつけて考えること)を持って竜巻対策を行いましょう。
日本で発生する竜巻の特徴
日本で発生する竜巻の特徴を3点ご紹介します。
・竜巻の頻発する時期
・沿岸部での発生確率
・被害の範囲
それぞれの詳しい内容について解説します。
竜巻の頻発する時期
日本で竜巻が頻発する時期は9月から10月です。この時期は台風が多く、積乱雲が発達しやすい天候状態にあり、上空の空気が冷えることが要因です。
ただし、9月10月以外の時期でも竜巻が発生するおそれはあるため、1年を通して注意が必要です。
沿岸部での発生確率
日本では、竜巻は沿岸部で発生しやすい傾向にあります。
竜巻は平らなところで発生・発達するために、山がちな内陸部ではあまり発生しません。また、日本では沿岸部の平らな土地に多くの都市があるため、竜巻の勢いが発達して被害も大きくなりやすい傾向があります。
気象庁のデータによると、竜巻の発生件数が多い地域は、次の5県です。
・秋田県
・高知県
・宮崎県
・鹿児島県
・沖縄県
これらの県以外でも沿岸部の地域はとくに竜巻が発生しやすいため、注意しましょう。
被害の範囲
竜巻は速いスピードで広範囲に移動するため、被害の範囲が数キロにも及びます。また、家屋の損壊や自動車の大破など被害は甚大で、死者が発生するケースもあります。
竜巻で全壊した家屋の多くは築年数の古いものです。また、丈夫な家屋でも、窓ガラスが破損してけがを負う危険があります。
被害が大きいからこそ、竜巻を想定した避難訓練や災害対策が必要でしょう。
竜巻は予測可能か?
この章では、竜巻の予測方法について紹介します。竜巻をどのように予測すればいいか、竜巻に関する情報をどのように入手するのかお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
竜巻を予測することは難しい
結論から言うと、竜巻を前日、またはそれ以前に予測することは困難です。
ただし、竜巻発生の予兆を捉えたり竜巻注意報などを活用したりして、竜巻に対して備えることは可能です。事前に竜巻被害を最小限にできる準備をしておきましょう。
竜巻発生の予兆に気づく
竜巻発生の予兆として、次の表のような現象が見られます。
竜巻発生前 | きのこ雲、かなとこ雲の発生 | 積乱雲が発達している |
雷 | 発達した積乱雲が雷を発生させる | |
竜巻発生後(竜巻が近くにあるとき) | 耳鳴り | 竜巻周辺では気圧の変化が大きいため、耳鳴りが発生する |
漏斗状の雲 | 竜巻を遠くから見ると、漏斗の形をした雲に見える | |
ひょうが降る | 竜巻の周囲ではひょうが降る |
とくに、耳鳴りが起きたり漏斗状の雲が見られたりしたときは、すでに竜巻が発生している可能性が高いため、急いで丈夫な建物に避難するなどの安全確保をしましょう。
竜巻注意情報を参考にする
竜巻注意情報を参考にすることで、事前に対策することが可能です。
竜巻注意情報は気象庁から発表される情報で、次の表のように段階的に注意喚起を行っています。
半日~1日前 | 気象情報:竜巻などの激しい突風のおそれを発表 |
数時間前 | 雷注意報:落雷・ひょうとともに「竜巻」を明記 |
0時間〜1時間前 | 竜巻注意情報:竜巻が発生しやすい状況であることを注意喚起 |
表のように半日〜1日前、数時間前、0時間前〜1時間前に分けて、気象庁が竜巻への注意を呼びかけています。
とくに竜巻注意情報が発表された場合は、すぐにでも発生する可能性があるため、早急に避難するなど安全確保に努めましょう。
竜巻発生確度ナウキャストを参考にする
竜巻が発生しやすい場所について知りたいときは、気象庁の竜巻発生確度ナウキャストを参考にしましょう。
竜巻発生確度ナウキャストは、竜巻が発生する可能性を推定して公表するもので、予測の的中率は1%〜14%、すでに発生している竜巻の捕捉率は50%〜80%です。
信頼性の高い情報であるため、竜巻注意情報と合わせて確認することで、より安全を確保できます。
竜巻発生時の対応
竜巻が発生したら、次の3点を押さえて避難しましょう。
危険を察知し、迅速に避難する
窓から離れ、頭を守る
屋外では身を伏せる
それぞれのポイントについて詳しく見ていきます。
危険を察知し、迅速に避難する
危険を察知したら迅速に避難しましょう。漠然と「いつもと違うかな?」と感じるだけでも構いません。少しでも異変を感じたらすぐに避難しましょう。
避難する際、目指す場所は頑丈な建物です。車や倉庫だと、吹き飛ばされる可能性があるためです。
窓から離れ、頭を守る
屋内へ避難できれば、窓から離れ頭を守ることも重要です。
トイレや浴室など、窓のない部屋があればそこに避難しましょう。窓のない部屋の場合は、雨戸やカーテンによって窓ガラスの飛散を抑えましょう。
また、頭を守るにあたっては、机の下に避難したり、防災ヘルメットを被ったりすることが有効です。
屋外では身を伏せる
周囲に避難できそうな建物がない場合は、水路のような窪んだ場所に身を伏せ、両手で頭や首を覆って、飛散物から身を守りましょう。
車や倉庫などは、竜巻に吹き飛ばされる可能性があるため、逃げ込むのは避けましょう。また、電柱や樹木の近くも避けましょう。なぎ倒される危険があります。
竜巻への備え
竜巻の被害を最小限にするために、事前にできる備えは次の4つです。
・防災マニュアルの作成
・定期的な避難訓練の実施
・オフィス家具や備品のチェック
・安否確認システムの導入
それぞれのポイントについて、詳しく紹介します。
防災マニュアルの作成
竜巻への対処法を明確に記載した防災マニュアルを作成しましょう。すでに防災マニュアルがある場合は、竜巻への対応を追加しましょう。
竜巻の被害が大きい地域では、電線や電柱が吹き飛ばされ、ライフラインが止まる可能性があります。そのため、防災マニュアルを作成し、避難の方法や、竜巻が去ったあとの対処法について確認・共有しておきましょう。
定期的な避難訓練の実施
防災マニュアルが作成できたら、マニュアルに沿った避難訓練を実施しましょう。訓練実施ごとに、新たな課題や改善点などが発見できると、さらにマニュアルを改善できます。
また、定期的な訓練によって、竜巻が発生したときに慌てず、冷静に対処できるようになるでしょう。そのためにも、竜巻を想定した避難訓練を定期的に実施しましょう。
窓ガラスの飛散防止およびオフィス家具や備品のチェック
竜巻の突風によって窓ガラスが割れ、強風がオフィスに入ってきた際に、従業員に危険が及ばないように窓ガラスの飛散防止対策をしたり、オフィス家具や備品の飛散対策をしましょう。また、建物の外に飛ばされやすいものがないかチェックしましょう。
また、会社に関する重要情報などについても、頑丈なキャビネットに保管したり、電子化してクラウド上に保管したりなど、被害に対する工夫をしましょう。
安否確認システムの導入
竜巻発生後の対処を素早く行うために、安否確認システムを導入しましょう。
竜巻はいつどこで発生するか分かりません。支店、倉庫、外出先など、従業員は常にオフィスにとどまっているわけではないため、目視での安否確認には限度があります。また、家族の安否状況が分からないと、従業員は不安に感じるでしょう。
そのため、外出中の従業員やその家族の安否確認がスムーズに行えるように、安否確認システムの導入を検討しましょう。
十分な対策を取って竜巻から会社・従業員を守ろう
竜巻は、積乱雲の発達により発生する上昇気流の渦で、その被害は何kmにも及びます。建物や自動車の損害だけでなく、死者が発生するケースもあります。沿岸部を中心に日本全国で竜巻は発生するおそれがあるため、竜巻注意情報や竜巻発生確度ナウキャストを参考に、竜巻への対策が必要です。
竜巻対策として、防災マニュアルの作成、備品の管理、安否確認サービスの導入などが挙げられます。自社の竜巻対策を見直して改善しましょう。