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津波対策はどのようにする?避難の方法や個人でできる取り組みを解説

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方の太平洋側沿岸部に大きな被害をもたらしました。
地震の揺れによる被害だけでなく、津波によって大勢の人々の命が奪われました。津波に対して事前にできる対策はあるのでしょうか。
今回はいざというときに自分の身を守るための、津波に対する取り組みについて紹介します。

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監修者:木村 玲欧(きむら れお)

兵庫県立大学 環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授

早稲田大学卒業、京都大学大学院修了 博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院環境学研究科助手・助教等を経て現職。主な研究として、災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。
著書に『災害・防災の心理学-教訓を未来につなぐ防災教育の最前線』(北樹出版)、『超巨大地震がやってきた スマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社)、『戦争に隠された「震度7」-1944東南海地震・1945三河地震』(吉川弘文館)などがある。

知っておきたい津波の特徴

津波について考える際には、津波の特徴をしっかりと把握することが重要です。
ここでは、知っておきたい津波の特徴をいくつか紹介します。

津波の威力

津波の威力は想像を遥かに超えます。たとえ20~30cmくらいの高さの津波でも、水の塊が一気に押し寄せてくるため、健康な成人でさえ流されてしまうことがあります。

また、木造家屋は、浸水高2m程度でほぼ全壊となります。さらに津波は、車や漁船、がれきとなった家屋などの漂流物を巻き込みながら押し寄せてきますので、津波に巻き込まれると、それらに当たって被害が大きくなることもあります。
また、押し寄せる波だけでなく、引いていく波もすさまじい力を持っています。

参考:津波の基礎知識(鳥取県の危機管理ポータル)

津波の速度

津波の速度もまた、我々の想像を遥かに超えています。沖合の津波は、ジェット機に匹敵する速さである時速800kmで進みます。そのあと陸地に近づき、水深が浅くなるにつれてスピードは段々と遅くなりますが、代わりに波が重なり、威力は増すのです。

また、上陸後もおよそ毎秒10mと、オリンピックに出場する短距離選手と同程度の速度で私たちに迫ってきます。

引き潮と津波の関係

津波が来る前には引き潮が起こるというイメージを持っている方もいるでしょう。しかし、津波が来る場合、必ず引き潮が起こる訳ではありません。

2011年の東日本大震災では、大津波警報の発表からほどなく、突然津波が来たケースもありました。津波が発生した場所と海岸との位置関係によっては、潮が引くことなく最初に大きな波が海岸に押し寄せる場合もあります。 津波は引き波で始まるとは限らないのです。

参考:気象庁:津波発生と伝播のしくみ

津波から避難する方法

日本全国の沿岸部に堤防が設置されていますが、それを超える高さの津波が到達するケースもあります。
ここでは、そのようなときに津波から避難する方法について解説します。

すぐに避難する

津波から身を守るためには「1秒でも早く」沿岸部から遠く高い所に避難することが最重要です。

もし地震による強い揺れを感じたり、津波接近の情報を得たりしたときは、一刻も早く避難をしましょう。
また、もしあなたが沿岸部にいるならば、大津波警報や避難指示などの津波や避難に関する情報を待つことなく、すぐに安全と考えられる高台や避難場所を目指して逃げましょう。
たった数分間の差が生死に直結するのです。

高いところに避難する

「1mでも高いところに」避難することも大切です。
とくに海岸や河川からはできるだけ離れた場所や建物を目指しましょう。津波は河川を逆流して進むため、海岸と同様に、河川も危険です。

一方で、津波がすぐそばまで押し寄せている場合は、海岸や河川に近い建物に避難せざるを得ません。その場合には、海岸や河川に直接面しているビルよりも、より後方の建物に避難するほうが危険性は少ないでしょう。

津波避難施設に避難する

津波避難施設は、津波警報や大津波警報が発表された際、警報が解除されるまで地域住民が避難できる建物のことです。津波に対して堅牢な建物などが、緊急時の避難先として自治体から指定されているため、安全性が確保されています。

津波の危険性がある自治体の多くが各施設と事前に協定を結んでいたり、緊急の避難を要する際、避難者を受け入れる体制が整えられていたりします。

避難に関する注意点

避難する際、以下のことに注意して円滑に行動しましょう。

避難時は原則として、徒歩や自転車などを使用してください。
自動車を使用した場合、渋滞や混雑があれば道路が使えず逃げ遅れてしまいます。
また、自動車を乗り捨てて逃げた場合にも、その自動車が避難経路を塞ぎ、避難の妨げになってしまうのです。

また、人間には正常性バイアスが備わっています。正常性バイアスとは、ちょっとした違いについては正常のこととして判断してしまう人間の考え方のクセのことです。緊急事態においても、少し揺れたくらいだし、周りもそれほど大きく騒いでないのでたぶん大丈夫だろうと考え、避難をしなかったりします。

たとえば事前にルールを作って、避難をする時には大きな声で「津波だ」「逃げろ」と叫びながら、率先して避難してもよいかもしれません。あなたの行動が多くの人を助けることにつながるのです。

津波警報の種類と内容

津波警報についてしっかりと理解しておくことも、津波からの避難のあり方を考えるためには必要です。ここでは、津波警報の種類と内容について紹介します。

大津波警報

高さ3m以上の津波の到達が予想される場合に、大津波警報が発表されます。
3mは家の2階部分に相当し、木造家屋を全壊させるほどの威力があります。

大津波警報は「避難指示」と同じ警報レベル分類される警報です。発表された場合、対象地域にいる人はただちに避難しなければなりません。

津波警報

高さ1m~3mの津波が到達しうる場合には、津波警報が発令されます。
人間より低いたった1mの津波だからと侮ってはいけません。この高さの津波で十分に、沿岸部に浸水被害を発生させるのです。

津波警報は、警報レベル3の「高齢者避難」にあたります。

人的被害の可能性が考えられる状況のため、避難に時間がかかる高齢者や乳幼児などを中心に速やかな避難を推奨するものです。

津波注意報

津波注意報は、高さ20cm〜1mの津波が到達しうる場合に発表されます。
たった20cmの津波でも、小型の船舶を転覆させる可能性があるため、必ず海岸からは離れましょう。

また、押し寄せてきた津波が小さなものであったとしても、海岸の地形によっては大きな波に変化する可能性があるため、決して油断してはいけません。

津波警報に関する注意点

津波警報が発表されていなくても、津波が突然来る可能性はあります。
とくに沿岸部や震源付近では注意が必要です。

また、警報は頻繁に更新されます。津波接近に伴って危険度が上昇するケースもあるため、警報の種類と内容を念頭に置いておくことが重要です。

個人でできる津波対策

もし津波の危険がある地域に住んでいるなら、日常生活において、津波への対策は不可欠です。ここからは、日頃からできる津波に対しての備えをご紹介します。

自宅や職場の危険度を確認

普段生活している場所の安全性を確かめることは、防災の第一歩です。

もしも海から近い場所に自宅や職場があるなら、必ずその海抜を確認しておきましょう。

また、自治体が公開しているハザードマップを確認し、とくに危険な地域を把握しておくことも重要です。行政は防災に関するさまざまな情報を提供しています。それらの情報をもとに、津波の危険度や発生時の対策をあらかじめ決めておきましょう。

避難場所や避難経路の把握

避難場所や避難経路を把握しておくことも重要です。
必ず一度は自宅、職場双方の避難場所へ行き、場所の特徴や経路を目で見ておきましょう。
お子さんがいる場合、学校から避難場所への経路もチェックするといいでしょう。

また、地域の避難訓練に参加すると、避難への意識をより高められます。

家族との安否確認方法

地震・津波発生時には、家族との連絡が取れなくなるかもしれません。
また、お互いに無事なのかどこにいるのかがわからないままだと、不安が募る一方で、なかなか対応に手がつけられない可能性があります。

いざというときに役立つ安否確認ツールの導入を、家族間で事前に話し合っておきましょう。もし家族がそれぞれ別の避難場所にいても、合流できるように準備しておくことが大切です。

また、勤務先の安否確認システムを利用することで、従業員やその家族全体の安否確認ができる場合もあります。活用できるツールを上手に利用し、自分と家族の安全を守りましょう。

事前の津波対策で命を守ろう!

津波対策は常日頃からの備えが重要です。ハザードマップなどを確認し、津波に関する情報を理解し、訓練などを通しながら、いざ地震が発生した時には速やかに適切な行動がとれるようにしておきましょう。

また、津波や地震などの自然災害発生時、家族と連絡できない可能性があります。
そのためにも安否確認サービスを活用し、家族の安全を守りましょう。自然災害はいつ起こるか分からないからこそ、いまからでも対策を立てておくことが重要です。

安否確認サービス2の製品サイトに遷移します。
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監修者:木村 玲欧(きむら れお)

兵庫県立大学 環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授

早稲田大学卒業、京都大学大学院修了 博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院環境学研究科助手・助教等を経て現職。主な研究として、災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。
著書に『災害・防災の心理学-教訓を未来につなぐ防災教育の最前線』(北樹出版)、『超巨大地震がやってきた スマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社)、『戦争に隠された「震度7」-1944東南海地震・1945三河地震』(吉川弘文館)などがある。

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編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。