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台風が企業に与える影響と適切な対策について

台風

先日発生した台風15号は、首都圏に甚大な被害をもたらしました。

日本では代表的な天災とも言える台風。企業にとって台風の被害を未然に防ぐことはもちろん大切ですが、発生したあとの対策をきちんと講じておくことも重要です。そこで、ここでは企業が台風で受ける被害や、対策を行ううえでのポイントなどをお伝えします。

日本における台風の発生状況

台風の発生状況
日本は、古くから台風の被害を受けてきました。ときには甚大な被害をもたらし、多くの人々の命が犠牲になったこともあります。1950年代に発生した伊勢湾台風や宮古島台風をはじめ、2000年代に入ってからも数多くの台風が日本へ上陸し、大きな被害をもたらしてきた歴史があります。

気象庁のデータによると、2018年の1年間で29の台風が発生しています。これは、25.6というこれまでの平年値を上回る数字となります。そのうち日本には15にもおよぶ台風が接近し、5つが上陸しました。8月には実に9つも発生しましたが、これは歴代3位に並ぶ数字です。

2018年は台風の発生、上陸した数が多かっただけでなく、非常に強い勢力をもつものが多かったのも特徴といえるでしょう。「猛烈な強さ」と表現される、最大風速54m/s以上の規模の台風が7つも日本を襲いました。1983年に計測された6つがこれまででもっとも多い数字でしたが、それを上回ることになったのです。

勢力が強くなるほど、与える被害も大きくなります。非常に強い勢力をもって徳島県を襲った台風21号では、近畿地方や四国などを中心に甚大な被害をおよぼしました。とくに高潮や暴風による被害が大きく、関西への空の玄関口となる関西国際空港まで水に侵されてしまったのです。その結果、多くの利用者が被害を受けました。

また、これまでにない軌道で上陸し人々を驚かせたのが台風12号です。7月に三重県を襲った12号は、西日本の東から西へ移動するというこれまでになかった軌道で日本に襲い掛かりました。このように、2018年は数が多かっただけでなく勢力の強さや変則的な軌道で横断する台風も印象的でした。

更に、先日発生した台風15号は首都圏で猛威を振るい、千葉県千葉市で57.5メートルもの最大瞬間風速を観測しました。記録的な暴風や大雨により通勤時間帯にも鉄道のダイヤが大幅に乱れ各地で混乱が生じ、千葉県を中心に発生した大規模停電は48時間経過後も復旧の目処が立っていません。残暑も続きますので、周辺地域の皆様はくれぐれも熱中症等にお気をつけください。

参考:
FNN PRIME「“記録的な台風”が多かった2018年…「猛烈な強さ」最多、発生数や上陸多く甚大被害に」
京都新聞「今年の台風なぜ多い? 海面水温高さや季節風強さが影響」
気象庁「台風の発生数(201年までの確定値と2019年の速報値)」
日本気象協会「台風15号まとめ 首都圏で記録的な暴風雨」 
<h2id=”title2″>台風によって企業が受ける影響

台風の影響
台風によって企業が受ける被害にはさまざまなことが考えられます。まず、強風や大雨などによって交通機関がマヒし、従業員が出社できなくなることが挙げられるでしょう。実際に先日の台風15号では、交通機関の運行見合わせ等により、昼過ぎまで混乱が続きました。大幅な出社時刻のズレは勿論業務に支障をきたしますし、取引先やサービスの利用者にも影響を与えてしまいます。

また、出社中の従業員が災害に巻き込まれる可能性も否めません。強風で飛ばされた屋根瓦や看板などが直撃してケガをする、氾濫した川に流されてしまうといったことも考えられます。公共交通機関の運行見合わせにもかかわらず出社しようと駅に人が殺到し、事故に発展…なんていう事態も実際に発生しています。オフィスでの業務中でも、強風で窓ガラスが割れてしまい破片でケガを負うかもしれません。

人的な被害の重大性については言うまでもありませんが、業務に影響を受けてしまうのも企業にとっては大問題です。ひとたび通常の業務は行えなくなると、機会損失が生じるのはもちろん、復旧コストも多大なものになってしまいます。

2018年の台風21号では、多くの企業が被害を受けました。三菱マテリアルの堺工場は、高潮で施設が水浸しになってしまい、操業を停止せざるを得ませんでした。四日市市の工場でも設備に影響がおよんだため、第二プラントを停止する事態になりました。

また、YKKAPの北海道工場やJX金属苫小牧ケミカルなどは、停電の被害を受けました。あらゆる設備が使えなくなってしまい、普段通りの操業ができなくなったのです。一時的な操業の停止ではあったものの、利益の損失になったのはいうまでもないでしょう。

ニュースでも報道され多くの人々に衝撃を与えた、関西国際空港の浸水。これも台風21号の被害でした。冠水によって多大な被害を受けた関西国際空港は、5日間もの閉鎖を余儀なくされました。約500にもおよぶ就航便はすべて欠航となり、たいへん多くの人々に影響を与えてしまいました。

空港施設の被害はもちろんですが、空港を利用する多くの関係企業にも多大な影響をおよぼしています。旅行代理店のJTBはツアーを中止せざるを得なくなり、大阪市にあるリーガロイヤルホテルも多くのキャンセルが発生しました。

また、台風21号の影響で交通網もマヒしました。そのため、製造に携わる業界ではスケジュール通りの納品ができなくなりました。通常の流通が不可能になったことで、多くの商業施設や消費者にも影響を与えてしまったのです。

このように、台風が企業に与える影響はたくさんあります。被害を未然に防ぐことも大切なことですが、実際に発生してしまったときにどのような対応をとるかも大切です。では、具体的に企業はどのような対策をとれるのでしょうか。次から詳しく見ていきましょう。

参考:
WEB産業新聞「台風21号、非鉄企業に被害 三菱マテ堺など停止」
日本経済新聞「台風21号、インフラに打撃 企業は復旧急ぐ」
産経新聞「台風21号、近畿の中小企業500社近くが被害」

企業の台風対策におけるポイント

台風対策
もっとも大切なのは、台風が発生したときにどのような被害が起きるかを想定することです。また、これまでに台風で被害を受けたことがあるのなら、具体的にどのような被害を受けたかの情報をまとめ、そこから対策を考えることが先決といえるでしょう。

台風が発生すると、大雨や強風で交通網がストップしてしまうことがあります。事実、2018年の台風21号や先日の台風15号でもそのような事態が発生しました。こうなると、通勤や移動への影響だけでなく、運送会社の停止や遅延などが発生してしまい、商品の納品もできなくなります。

そのため、台風で交通網がマヒしても商品を届けられる仕組みを考える必要性が出てきます。一つの運送会社ではなく複数の会社を利用する、物流の拠点を複数もつという対策も考えられるでしょう。

基本は、被害を想定した対策をすることですが、実際に台風が接近しているとき、被害が起こり始めている当日にはどのような手を打てばいいのでしょうか。企業としては、まず応急手当の準備をする必要があります。やはり最優先すべきは人的な被害です。出社中や作業中の従業員が災害に巻き込まれてケガをしてしまった場合に備えましょう。

たとえ室内で業務に携わっているときでも、台風時にはさまざまな被害が生じる恐れがあります。強風による飛来物がガラスを破ることも考えられ、飛散した破片でケガをしてしまうかもしれません。また、大雨にともなう落雷で従業員が感電してしまう可能性もあるでしょう。

このようなとき、スピーディに処置できるよう応急手当の準備が必要なのです。救急箱をオフィスや工場に設置するのはもちろん、従業員に対して応急処置の講習を施しておくのも対策となるでしょう。ケガをするのは何も台風のときだけではないので、準備をしておくことにデメリットはありません。

避難の準備も必要です。とくに沿岸部や河川沿いなどに会社がある場合だと、水害に巻き込まれる恐れがあります。状況に応じて避難しなくてはならないので、日ごろから避難経路を周知することが大切です。また、非常持ち出し袋を従業員に前もって配っておくと、いざというときにスムーズな避難ができるでしょう。

避難するとき、誰がどのような役割を担うのかも明確にしておくことも重要です。全員がバラバラに行動してしまうと、二次災害に遭う可能性もあります。できれば部署ごとに、避難場所まで案内する担当、人数を確認する担当などを決めておくことをおすすめします。

更に、人命確保の次は事業継続です。先程ご紹介した物流拠点と停電時も可能な限り事業を中断させない停電対策も重要と言えます。

台風が接近している情報は事前に把握することができるため、あらかじめ休業する選択肢もあります。かなり接近しているとき、確実に上陸しそうなときだと、リスクを回避するために休業し従業員を在宅させると安心です。ただ、この場合は決定事項を従業員へスムーズに伝達できるような仕組みを構築しておかねばなりません。知らせがなければ、従業員はどうにかして出社しようと無理をしてしまうでしょう。
<h2id=”title4″>臨機応変に対策を行うために

台風の上陸時刻というものはある程度の予測が可能ですが、必ずしも予測通りとは限りません。従業員への連絡手段を整えておくと、スムーズな伝達が行えます。災害に特化した連絡ツールとして、安否確認システムの導入がおすすめです。専門利用すれば、一斉にメール送信が行える他、出社の可否や被災状況を自動集計することも可能です。

例えば、トヨクモの安否確認サービス2は、一斉送信や自動集計だけでなく、状況に応じて特定のユーザーと相互に議論を行うような対策指示機能が充実しています。その他にも様々な特徴を持ったシステムがあるので、こういったシステムを未導入の方は是非検討してみてください。みんなのBCPでは、28の製品比較もご紹介しています!

参考:
DIAMONDonline「台風・地震…災害のプロが見た「企業の防災対策」不十分すぎる実態」
impress BUSINRSSMEDIA「【台風21号災害の教訓に学ぶ】EC企業の被害状況から見る課題と必要な対策とは」
@人事ONLINE「台風時に企業が取るべき対応・対策は?マニュアル作成に役立つ知識集」トヨクモ安否確認サービス2「災害時の「じゃあ、どうするの?」を解決するトヨクモの次世代型安否確認システム」

まとめ

台風が企業に与える被害は、ときに甚大になることがあります。今後の事業継続が難しくなることも考えられるため、企業としてはきちんと対策をしなくてはなりません。事前の対策、事後の対策を入念に行いましょう。そして、被害状況に応じた臨機応変な対策を行うためには、速やかな伝達や安否確認ができるサービス導入を検討してみましょう。