【残業禁止って誰が得する?】企業の導入事例から考える、本気で働き方改革を実現するために必要なこと

【残業禁止って誰が得する?】企業の導入事例から考える、本気で働き方改革を実現するために必要なこと

自身の働き方を考える上で、できることなら「残業時間」は極力減らしたいもの。仕事と私生活のバランスをうまく取り、人生を謳歌すべくもっと自分の趣味を楽しみたいと考える人は多いのではないでしょうか。そうしたワークライフバランスを重視した働き方にシフトすべく、政府は「働き方改革」を推進。残業時間縮小のムーブメントが広がりつつあります。

しかし一方で、「残業禁止によって残業手当分の給料が減る」「残業が自宅作業に形を変えるだけ」と、昨今の長時間労働に対する是正の動きは、あまりよく思っていない方も多いかもしれません。

そこで今回は、勤務先が残業禁止になった場合にあがる疑問や懸念点を解消すべく、残業手当のあり方や成功事例についてご紹介します。

「残業禁止は誰にとって得なのか」。その疑問点を少しでも解消し、自分にとって、自社にとってどんな働き方が合うのか、一緒に考えてみましょう。

残業禁止でも、仕事量によって残業代を支払う義務が発生する


仕事に追われ、家に帰れない日々が続いている。もしくは、朝の職場は人が少なくて仕事がしやすいから、始業前の朝一番に出社している。これらのような勤務時間外の労働に対して、企業は残業手当を支払う義務があります。

そのほかにも、主に以下の4つの場合において、本来ならば残業代を支払ってもらえる場合があるので、確認してみましょう。

【残業代支払いが認められる可能性のあるケース】
1、就業規則により「○時間以上、残業禁止」と記載されているが、明らかに時間内に終わらない仕事量の場合
2、労働基準法の「管理監督者には割増賃金を支払わなくていい」という内容から、残業代が出されないことのある、“名ばかり管理職”の場合
3、基本給に残業代(みなし残業代、固定残業代)が含まれている場合
4、給料が年俸制であり、残業代(みなし残業代、固定残業代)が含まれている場合

1で書いたように、会社が残業手当の支払い義務があるかどうかは、その会社の就業規則によってまとめられています。就業規則により残業が禁止されていた場合は、残業はそもそも社内規定に違反していると認識され、残業代の請求が認められない例もあるようです。

ところが、国が定めている労働基準法37条には、以下の内容の記述があります。

労働者が残業をした場合には、25%の割増賃金を請求できます

たとえ企業側と労働者側が合意し、就業規則に残業代が出ないと書かれていたとしても、残業代の支払い義務は免除されません。「どう考えても残業が必要な仕事量なのに、残業代が出ない!」という場合、後から未払い残業代として、25%の割増賃金を請求できます。

その場合に必要な準備と請求方法は次の通りです。

【未払い残業代の請求で必要な準備と方法】
●必要な準備内容
・雇用契約書や労働契約書などの書類(給与の計算方法や残業代の支給について記載されている書類)
・就業規則のコピー
・タイムカードなどの勤怠管理の記録
・業務用メールアカウントの送受信記録履歴
・帰宅時のタクシー領収書
・残業の指示を受けたときの指示書やメール文章
●未払い残業代の請求方法
①会社と直接交渉する
②労働基準監督署に申告する
③裁判所に訴えを起こし、通常訴訟で請求する
④労働審判という、労働問題を解決させるための法的な手続きを活用する

ただし、未払い残業代が請求できるのは2年間と定められているため、不当な労働契約だと感じた場合は、速やかに行動を起こすことをおすすめします。企業の総務・人事・採用担当者や管理職の方は、以上のような異議申し立て方法があることをよく理解しながら、残業禁止の制度の拡充を進めていくとよいでしょう。

残業禁止は無謀な取り組み?具体的な解決策を考える

残業禁止を社内で実施するためには、短時間で今まで以上のパフォーマンスを発揮しないと、結果的に仕事量が減り、生産量の低下にもつながって自分たちの給料は下がってしまいかねません。理想論だけでは、改善されないのが現実です。
そうした中でも、終業時間の短縮に成功している企業もあります。ここでは、考えられる不満と対策方法について考えてみます。

■「こなしきれない仕事量。家に持ち帰ることでメール残業が増え、結局、仕事場所がオフィスから自宅に変わっただけで、負担は軽くならない。」

【なぜ起こるか】
今までと同様な仕事の分配では、社員が仕事に追われ、空いた時間を楽しむどころか、自宅でも疲れが積み重なることに。

【対策方法】
「仕事の持ち帰り禁止」「仕事の優先順位をつけて1日の作業に取り組む」など、企業側で指針を示すことが重要。

【導入事例】未来工業株式会社
残業禁止、年間休日140日、年末年始20連休など特徴的な制度を打ち出し、「楽園企業」として有名な未来工業。電気設備資材や給排水設備の製造販売を行っている同社では、職種を問わず、就業時間は午前8時30分から午後4時45分までと定められています。昼休みの1時間を除いた7時間15分間で、1日の仕事を済ませることが原則です。1カ月分の労働時間は自己申告制で、タイムカードなどのシステムはありません。

残業ゼロの取り組みが浸透するまでには1年近くを要しました。この間に全社的な周知を徹底したことが成功の要因。また「残業代の代わりに、業務改善のアイディアにお金を出す」と言った制度があり、1件提案するごとに500円を支給する仕組みとなっています。おこづかい代わりになればと応募する社員も多く、会社全体で年間1万件前後もの提案があるようです。

そのほか、仕事を早く終わらせるために「仕事の優先順位を明確にしておき、諦めるべき仕事を仕分けする」「業務の無駄を5分単位で減らす」など工夫もされています。これらの施策が実り、制度導入後、赤字決算はなく、経常利益率も平均10%を上回っています。

■「社内コミュニケーションが少なくなる可能性がある」

【なぜ起こるか】
勤務時間が限定され、社員が時計ばかりを気にして行動するように。その結果、面と向かってのコミュニケーションが減ってしまい、社内の人間関係にひびが入ったり、人を気遣う余裕がなくなったりするなど、対人関係に悪影響が出るおそれがあります。

【対策方法】
コミュニケーションを促進させる制度を充実させるとよいでしょう。

【導入事例】株式会社クラシコム
北欧雑貨専門サイト「北欧、暮らしの道具店」で知られる、女性社員中心のクラシコムでは、2007年の会社設立以来18時に全員が退勤する制度を取り入れています。これは、近年の女性の社会進出に伴い、社員が結婚後も仕事と家庭の両立ができるように配慮することで、長期的な企業の利益にもつなげたいといったねらいもあります。

会社の方針として、制作請負やイベント出展など、相手の事情に従わないといけない仕事を断ることで、定時退社を実現しています。コミュニケーションを促進させるための取り組みとして、週に一度、社員全員で楽しむ「社食」を取り入れているそう。

また、仕事に対しては「それ、本当に必要なの?」と、そもそもやらなくても成立する方法があるのかどうかを考える習慣を社内に浸透させることなど工夫を凝らし、売り上げは創業以来、連続で160%成長を遂げています。

まとめ

残業禁止は、働き方改革の一環ですが、単なる労働時間の短縮ではありません。残業禁止を実現させるためには、限られた労働時間の中で、社員のモチベーションを保ちつつ生産性を維持向上させるための企業努力も必要だということ。残業代支払いについて透明性を保つことも、大切な施策です。

働いている社員にとっても、個人のプライベートが充実したり、スキルアップの時間を取れたりと、魅力的なメリットも多い残業禁止の流れ。企業だけでなく、働く人一人ひとりが、「どうしたら自分の仕事を効率化できるんだろう?」と考えることこそが、本当の働き方改革への一歩を踏み出すことにつながるのではないでしょうか。

サイボウズスタートアップスが運営する「みんなのBCP」とは

「みんなのBCP」とは事業継続に関わるあらゆることをメインテーマに、総務部の方にお役立ち情報を提供するブログメディアです。 サイボウズスタートアップスは緊急時のコミュニケーションツールである安否確認サービスを開発・提供しています。



コメントをする

*
*
* (公開されません)

安否確認サービスバナー