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「上からの命令だから」は不祥事の兆候。企業は不正を許さない風土をどう作るべきか?

後を絶たない企業による犯罪や不祥事。

「うちの会社は大丈夫」と思っていても、問題の隠蔽・虚偽の報告や、長年にわたって見過ごされている不正など、危険はどんな会社にも潜んでいます。

どうすれば、不正を許さない風土を作ることができるのでしょうか。

今回は、過去に発生した企業の不正と原因を探り、どうすれば不正を防ぐことができるのか、考えていきます。

「その道のプロ」に逆らえない

精肉工場

まず、2007年に問題となった食肉偽装事件を振り返ります。この事件は、北海道苫小牧市に本社を置くミートホープ社が、食肉偽装などを長年に渡って繰り返していた問題です。

事件の発端は、豚肉を混入させたコロッケを、「牛肉コロッケ」と偽って販売していたことが、内部告発によって明らかになったことでした。

しかし、偽装はコロッケにとどまらず、実際には馬肉や鹿肉を混入させた肉を牛肉100パーセントと偽って販売していたほか、産地偽装や冷凍食材を雨水を使って解凍していた事実など、様々な不正行為が明らかになりました。

この会社では、早くて98年頃から賞味期限や産地偽装が常態化していたとされますが、不正の原因となったのは、同社における社長のトップダウン・ワンマン経営によるものでした。

社長は自身で肉を研究し尽くし、「肉の神」とまで呼ばれ、尊敬を集めていたとされます。その結果、多くの従業員は社長の指示に異を唱えることができず、発覚するまで偽装を止めることはできなかったようです。

問題が全国的に報道されると、記者会見の場所で自身の長男でもある取締役に諭され、一連の偽装や不適切な行為を自身の指示であることを認めました。

このように、コンプライアンスに対する意識が欠如していることに加え、「肉の神」である社長に意見を述べることが不可能だったことが最大の問題だったといえるでしょう。

存在感を持っていた人材であるがゆえに職務の逸脱・不正行為に手を染めてしまう場合

そして、「専門領域に特化した人物」に逆らえないということは、ミートホープだけの問題ではありません。

2015年には、厚生労働省の公務員がマイナンバー制度のシステム契約を受注できるように、現金と引き換えに見返りを図った疑いで警視庁に逮捕されました。

この公務員は、ノンキャリア・係長という立場でありながら、医療関係者やIT企業と太いパイプを持っていたほか、庁舎へ出勤する日数も少なく、高級スーツを着て講演会や研究会へ出席するなど、およそ一般的な国家公務員の姿とは思えなかったことも話題となりました。

新聞報道などによると、「専門知識が豊富で、代わりの人材もいないことから、上司も彼に対して注意することができなかった」という別の職員の言葉が紹介されています。

このように、専門領域に特化し、存在感を持っていた人材であるがゆえに職務の逸脱・不正行為に手を染めてしまう場合も。

その部門においては「ベテラン」であり、誰も注意できなかったのかもしれませんが、直属の上司だけでなく、人事や労務を含めた部門全体で職員の行動を把握・注意を払っていれば、不正行為を防ぐことができたでしょう。

「問題はないだろう」という甘い認識

杭打ち工事

続いて、2015年に横浜市都筑区のマンションで杭打ち工事の施行不良が発覚した問題です。

この問題は、本来杭打ち工事に立ち会い、工事が適正に行なわれているかを監督する旭化成建材の現場責任者が杭打ち工事のデータを適切に取得しなかった結果、あたかも完璧にデータがそろっているかのように別の杭打ち工事のデータを流用・コピーアンドペーストしていました。

この問題では、現場責任者が工事車両の誘導など雑務に追われ、データを取得する機器の電源を入れていない、またはデータを保存するメモリーカードの容量不足などによってデータを取得できていないことや、データの破損・紛失させたことが直接的な原因であると第三者委員会から指摘されています。

同時に、杭打ち工事に際しては、杭が適切な地盤に到達しているかの判断は、モーターの音などオペレーターの感覚で判断されることが一般的であることから、データを取得・保存することの重要性を認識しておらず、安易な流用・改ざんを招いたともしています。

さらに、データを正しく取得できなかった場合の対応についても明確なルールがなかったことに加え、社内でデータをチェックしても偽装を見抜くことができなかったことも問題でした。

データや製品に不自然な点がないかを検証する部門・チームを作り、品質をチェックする体制が整っていれば、偽装などの不正行為を見抜くことができたでしょう。

「会社のため」という言葉で思考が停止する

粉飾決算

今回最後に振り返るのが、2007年に解散したカネボウの粉飾決算です。

カネボウは、1996年頃から債務超過に陥っていました。しかし、当時の社長は「営業に不可能はない」という考えのもと、過大なノルマを提示し、達成できない場合には売り上げの水増しなどの粉飾を指示していました。

社長からは、「会社のために」、「14,000人の従業員を失業させてはならない」という檄が飛び、早くて1997年頃から全ての事業部で売り上げの水増しが行われ、粉飾が企業風土と化していたとされています。

2002年3月期の決算では、約260億円もの赤字を7000万円の黒字とし、約190億円の債務超過を9億2600万円の資産超過と記載した有価証券報告書を作成していました。

巨額の粉飾を繰り返した背景として、最終利益が赤字・債務超過に陥っていることが公表された場合、銀行からの借り入れが困難になること、粉飾決算が明るみになることで自身の経営責任を問われる事態を回避するためだったとされています。

しかし、2003年には粉飾の疑いが取引先を中心に広がり、これ以上の隠蔽は困難と判断し、629億円の連結債務超過へ転落したことを発表。翌2004年には取締役の総退陣と、産業再生機構の支援が決定されました。

産業再生機構によって過去の決算内容が調査された結果、次々と粉飾決算が明るみとなり、元社長・副社長と、会計監査法人の公認会計士3名が逮捕されました。

「会社のためにやらなければならない」という意識の下に不正行為に手を染めていったカネボウ。

本来であれば、多角経営の失敗を認めコアとなる事業を選択し、経営資源を集中させて事業継続を図るべきところ、不正行為によって会社を存続させようと判断してしまったのが大きな間違いだったでしょう。

特殊な会社の、普通じゃない人たちが不正を起こすわけではない

今回事例として挙げた企業の不正行為は、いずれも全国的に報道され、注目を集めた問題でした。

これら不正行為に手を染めた企業・個人は、「特殊な会社の、普通ではない人たち」だったのでしょうか。

不正行為の温床となるのは、特定の個人だけでなく、社長や、ベテラン社員への歪んだ敬意、問題はないだろうという安易な思い込み、そしてノルマ達成へのプレッシャーなど、慢心や周囲の環境がその因子となります。

不正を起こさないためには、「うちの会社は不正とは関係がない」という意識ではなく、不正は起こりうるものと捉え、日頃から内部監査・不正防止教育などを通して自浄能力を高めることが求められます。

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