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【感染症対策】災害を耐え抜く企業になる!発信するべきメッセージを考える

災害が発生したとき、生死の危険はその瞬間だけにとどまりません。地震による土砂災害や、津波などの二次災害により、生活の安全性を確保できないという理由から、避難所生活を余儀なくされた場合のことを考えてみましょう。不慣れな集団生活で十分な栄養も取れず、精神的にも疲労がたまる毎日。やがて、命に危険が及ぶような健康被害が起きる可能性もあります。

企業が残ったとしても、従業員の元気がなかったり、万一のことがあったりしたら、災害後に復興することは難しくなってしまうかもしれません。

それを防ぐために、今、災害時の感染症対策として企業ができることは、「個々人の感染症対策」をしっかりと教育すること。従業員一人ひとりが健康維持の方法について理解し、実践できるようになることで、災害を耐え抜くことができ、復興後の事業継続が現実的となるのです。

今回は健康被害の中でも感染症に注目し、企業の総務担当者が従業員に対して感染症対策を呼びかけるべきことをまとめてご紹介します。

 

災害時の感染症の原因と対策


まずは、感染症が蔓延する環境的・身体的な原因と、その対策方法について紹介します。

徳島県保健福祉部が作成した「避難所における感染症対策の取り組みについて」には、感染症が流行る原因と対策は以下の通りだと考えられています。

この表の左側にある『環境的な原因、身体的な原因』を見ると、狭い面積や密集した生活環境など、普段と違う不慣れな生活が体調を崩してしまう原因であることがわかります。

右側の『具体的な対策』の内容を達成できることが理想です。ただし、避難所によっては実現が難しい場合もあるので、個人の「手洗い」「マスク」「睡眠・休息」そして「適切な栄養管理」を徹底することが重要です。

フェーズごとの感染症の種類と時期について

次に、災害時に発生する感染症の種類を、「災害初期」と「数週間後」のフェーズごとに分けてまとめてみました。

【感染症の種類】
■災害初期の脅威
①インフルエンザ
②消化器感染症(ノロウイルス)
③呼吸器疾患(粉塵による喘息などの呼吸器疾患の悪化)
④ケガ、転倒などによる感染症(破傷風、レジオネラ症など)
■数週間後の脅威
⑤水溜りに蚊などが繁殖し、 日本脳炎 ※国内では夏期限定
⑥食料品、ゴミ、瓦礫などの中でハエが発生、食べ物のゴミなどでネズミが繁殖(レプトスピラ症、ハンタ腎出血性症候群)

 

以上の感染症の種類の中から、とくに発生する可能性の高い「インフルエンザ」「ノロウイルス」「喘息」「破傷風」について、詳しく説明します。

①インフルエンザ(主な発生シーズン:11月〜2月)

【主な症状】
普通のかぜとは違い、突然38℃以上の高熱や、関節症、筋肉痛、高熱、全身の倦怠感、そして食欲不振などの全身症状が現れます。

インフルエンザウイルスに感染した場合、ウイルスが1〜3日ほど潜伏したあと、全身に症状が現れます。約1〜3日後、咳、喉の痛み、鼻水など呼吸器系の症状が発生し、通常は、10日ほどで症状が落ち着きます。

【発症後の対策方法】
熱が下がったあとも、約2日間は周りにウイルスが感染する可能性があります。感染者または感染者疑いの方には、飛沫感染対策として以下の対策を徹底させましょう。

・マスクの着用を徹底してもらう
・マスクがない場合は、咳、くしゃみが出そうになったら、ティッシュなどで口と鼻を押さえ、1m以上離れ、顔を背ける
・鼻水や痰を含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨てる

②ノロウイルス(主な発生シーズン:11月〜3月)

【主な症状】
こちらも、普通のかぜと違い、38℃前後の発熱と、痛みを伴う下痢、嘔吐を繰り返します。

ノロウイルスに感染した場合、ウイルスが24〜48時間ほど潜伏したあと、お腹が痛みだし、やがて激しい腹痛や不快感などの症状が現れます。また、感染しても発症しない場合や、風邪のような症状で落ち着く場合もあります。

ほとんどの場合1〜2日ほどで回復しますが、免疫力の低い乳幼児や5歳前後のお子さま、お年寄りの方は症状が重く、長引く場合があります。

【発症後の対策方法】
ノロウイルスは、食品から感染するよりも、感染した方の吐しゃ物を介して二次感染するケースが多いのが特徴です。汚物の処理を適切にすることと、消毒・除菌を徹底することが必要です。

ウイルスの殺菌方法は、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用の塩素系漂白剤)で浸すか、85℃以上の熱湯で1分以上の加熱が有効です。

③呼吸器疾患(喘息)

【主な症状】
喘息になると、胸からゼーゼー、ヒューヒューと音がして、息が苦しくなる症状が発生します。

寝具のほこりやたばこの煙、たき火、動物、がれき撤去で発生する粉塵などが原因で、咳が出やすくなり、喘息発作が起きる場合があります。

【発症後の対策方法】
症状が現れた場合は、水分を飲ませて、呼吸をゆっくりするよう促しましょう。発作時に使う吸入や内服薬を使い、もたれかかれる場所で休ませることが重要です。ただし、顔色が悪い、唇が紫色になるなど、苦しそうにしている場合は、早急な医療機関の受診が必要です。

④ケガ、転倒による破傷風

【主な症状】
破傷風は、かかった場合に亡くなる割合がとても高い病気です。誤って物を踏んだ時に足に傷を負ったり、動物に噛まれて怪我を負ったときなどに、傷口に菌が入り込んで感染。毒素を通してさまざまな神経に作用するものです。

口が開きにくくなる、顎が疲れるといった症状や歩行、排尿・排便の障害を経て、最後には全身の筋肉が硬くなり、体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりして、亡くなることがあります。

【発症後の対策方法】
発病した場合は、傷口の消毒、気道確保、また破傷風免疫ヒトグロブリンの血清療法を行います。

もし、これらの症状を発見した場合は、以下のフローで医療機関・保健所に相談しましょう。

【感染症・食中毒の疑いがある人を見つけたときのフロー】
① 同一・類似症状の人が他にいないか、情報を収集する(集団発生の防止につながる)
② 複数の患者がいる場合は、早めに医療機関、保健所、または保健師へ相談する
③ 症状のある人を隔離するかは、医療機関や保健師に相談してから行う

感染症・食中毒の疑いがある人がいた場合、本人またその周辺の人のみで「大丈夫」などの判断するのではなく、同じ集団生活を送っている方に同一症状は出ていないかどうか確認しましょう。必要であれば、医療関係者の指示を仰ぎ、隔離するかどうか判断します。

感染症の起きる原因と、フェーズごとの発生リスクがわかりました。では、それらを踏まえて、従業員の方へどのように教育をするべきか、考えます。

自分の身は自分で守る。従業員に対する教育方法を考えよう


ここでは、総務主導で感染症予防対策をするときの、有効な従業員への伝達方法を考えます。

感染症予防に大切なのは、「手洗い」「マスク(咳エチケット)」「十分な睡眠・休息」「適切な栄養管理」の4つ。普段から徹底してもらうよう、お手洗いや給湯スペースなどに、ポスターを掲示するなどの呼びかけをしましょう。

【病気を予防するための6つの方法】
①感染症を防ぐために、こまめに手洗いをする
②ちりなどの粉じんから身を守る
③一酸化炭素中毒にならないために、換気の良くないところで火を起こさないこと
④エコノミークラス症候群にならないために、定期的に体を動かし、十分に水分をとる
⑤筋肉が衰えないように、身の回りのことでなるべく体を動かす
⑥歯や口の中の清掃をちゃんとする。歯周病、虫歯、口臭の原因になる。特に高齢者は、口の中の清掃が行き届いていないと、ウイルスが入り呼吸器感染症を起こしやすくなる

厚生労働省のページには、インフルエンザ予防や手洗いの仕方などの啓発ポスターや、インフルエンザについて学ぶことのできる動画があります。特に手洗いの仕方などはプリントアウトし、従業員の目につくところに掲示しておくことをお勧めします。

東京都では2017年10月21日、企業の感染症対策を支援する「職場で始める!感染症対応力向上プロジェクト」として、以下の3つのコースが設定されています。

【職場で始める!感染症対応力向上プロジェクト】
1、感染症理解のための従業員研修
2、感染症BCP作成
3、風しん予防の推進

出典:「職場で始める!感染症対応力向上プロジェクト」募集要項から抜粋

感染症の研修教材やBCPのひな型など、企業の感染症対策を全面的にサポートしてくれる取り組みのようですので、ぜひ確認してみてはいかがでしょうか。

まとめ

災害時の感染症対策で企業ができることは、従業員一人ひとりが自分の身を守れるよう、感染症について徹底的に教育し、リテラシーを高めること。そのためには、どのような感染症が発生する可能性があるのか、総務が理解し、社内で啓蒙活動を進めていくことが重要となります。

啓蒙活動は、ポスターの掲示だけでなく、企業全体で感染症についての勉強会を開いたり、専門家に話を聞く場を設けたりするなど、感染症に対する正しい知識を従業員で共有することが大切です。万が一、被災した場合も、個人が強く生き残れる企業にすることが、復興の足がかりとなるのです。

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