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事業所の保険を見直そう!台風などの災害に対応した火災共済を詳しく紹介

2018年9月に日本列島に上陸した台風21号は、暴風・大雨により多くの建物が倒壊・冠水し、多くの人に甚大な被害をもたらしました。

多数の企業が営業停止を余儀なくされ、復旧に追われている様子をテレビや新聞のニュースでご覧になった方も多いのではないでしょうか。

事業所や工場が損壊・倒壊してしまうと復旧に莫大な資金が必要となります。突然の莫大な支出を防ぐためにも、企業向けの災害保険を検討・導入してみませんか?

今回は、事業所が台風や津波による水災に遭った時に補償を受けられる中小企業向けの共済保険の制度について紹介します。

2018年9月の台風21号と北海道地震による建物被害と企業への影響


■水災
・和歌山県和歌山市雑賀崎の工業団地 (高潮の被害)
和歌山県和歌山市では台風の暴風域に入った時間と満潮時が重なり、通常より潮位が約1.5メートル高くなりました。その結果、堤防が決壊し、多くの企業の建物が浸水被害を受けました。

・関西国際空港 (高潮の被害)
埋立地の上に作られている空港で海抜が低いことに加え、想定以上の高潮により冠水し、復旧までに多くの時間を要することになりました。通常の水位よりも5メートル高く設計された防潮壁が築かれていましたが、歯が立ちませんでした。多くのメーカー企業が、部品輸送ができない事態となり、混乱が生じました。

・ファミリーマート
ユニー・ファミリーマートホールディングスは、停電や浸水被害が出たため、大阪府や兵庫県にある230店舗を休業しました。

■火災
・新日鉄住金 北海道室蘭市の石油コンビナート施設
北海道地震により、室蘭市にある新日鉄住金の石油コンビナート施設で火災が発生しました。

■停電
・山崎製パン 大阪府泉佐野市の工場
山崎製パンでは、クリームやコロッケといったパンの原料を製造している大阪府泉佐野市の工場が、停電の影響で操業を停止しました。

■倒壊
・バンドー化学
バンドー化学では、自動車や産業機械向け伝動ベルトを製造する大阪府泉南市の南海工場の屋根やガラスが破損したため、操業を停止。復旧作業を行いました。

・北海道 施設被害
台風により、苫小牧市など46市町で家屋の屋根が飛ばされるなどの建物の損壊が386件発生。恵庭市の小学校では屋根が剥がれるなど17市町48校の学校施設でも被害が出ました。空知管内長沼町によると、町内のビニールハウス約800棟の損壊も確認されたとのことです。

引用:建物損壊430件、JR760本運休 道内の台風被害

事業所の災害保険には火災共済保険を利用しよう


事業所が災害による被害を受けた場合の復旧対策の一つに、火災共済保険の利用があります。

■共済保険とは
共済組合に加入する組合員が月々「共済掛金」を払い、組合員が災害や事故などの被害に遭った場合に、積み立てられた掛金から補償金を支払う保険です。組合全体で相互に被害者を助ける相互扶助の仕組みが取られています。

■火災共済保険
火災をはじめとする災害による建物の被害を補償する保険です。火災、水災、風災、落雷、破裂・爆発が主な対象です。

共済金の使い道としては、従業員への給与、仮設店舗への移転費用、機械などのリース費用といったものが挙げられます。

あらかじめ、火災共済の掛金を支払っておくことで、事業所が被害に遭った際に支払われる数百万円という共済金を事業所の復旧に当てることができるのです。今後、事業所が災害の被害を受けた際のリスクヘッジの一つと言えるでしょう。

火災共済で補償される内容は、共済組合や、契約するプランによって異なり、多くは「普通火災共済」、「総合火災共済」、「新総合火災共済」という3つに大きく分けることができます。

上記に加えて、事業が再開するまでの間、共済金が支払われる「休業補償共済」があります。それぞれの火災共済の補償内容は次の通りです。

■普通火災共済
①火災:火災により損害が生じたとき
②落雷:落雷による衝撃によって建物、ガラス、テレビなどに損害が生じたとき
③破裂・爆発:ボイラの破裂やガスの爆発等によって損害が生じたとき
④風災・雹(ひょう)災・雪災:台風、旋風、竜巻、暴風等の風災、雹(ひょう)災、または豪雪、雪崩(なだれ)による雪災によって損害が生じたとき

地震火災、物体の落下・飛来・衝突、水濡れ、騒じょう・労働争議、盗難についての補償は、「普通火災共済(工場物件)」であればついています。

また、普通火災共済は、大型台風のときに想定される洪水、高潮といった水災をカバーしていないものがほとんどなので、契約前に確認しましょう。

水災にも対応している中小企業向け火災共済


水災にも対応している火災共済は、先ほど挙げた共済プランのうち、「総合火災共済」と「新総合火災共済」の2つです。

■総合火災共済
普通火災共済で説明した4つの補償に加え、
①地震火災
②物体の落下・飛来・衝突
③水濡れ
④騒じょう・労働争議
⑤盗難
⑥水災
などが追加されます。

普通火災共済よりも補償内容の幅が広がります。

■新総合火災共済
①火災
②落雷
③破裂・爆発
④風災・雹(ひょう)災・雪災
⑤水災
⑥物体の落下・飛来・衝突
⑦水濡れ
⑧騒じょう・労働争議
⑨盗難の9つの補償を組み合わせて、A~Dの4つのタイプに分かれています。
新総合火災共済のうち、水災の補償をしているのはDタイプですので、洪水や高潮、土砂崩れのリスクがある方は、Dタイプを検討してみましょう。

共済金の支払い対象となるには、それぞれの補償の条件をクリアしていなければなりません。水災の支払い対象となる条件は以下の通りです。

・台風による大雨で店舗併用住宅に床上浸水の損害を受けた。
・台風による大雨で事務所が地盤面より45cmを超える浸水の損害を受けた。
・大雨による土砂崩れで建物裏手の斜面の木が倒れ建物が半壊した。

共済金の支払方法もプランによって異なり、普通火災共済、総合火災共済では、時価・比例払いとなっていますが、新総合火災共済では新価・実損払いとなっていることが多いです。

まとめ

水災にも対応している火災共済は、組合によってプランの組み方や共済金の支払い方法が異なります。事前に相談・見積もりを行い、自分の企業に合ったものに加入しましょう。

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