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【名刺の捨て方】個人情報漏えいのリスクを回避!一元管理のメリットと注意すべきポイントとは

仕事をしていると、知らず知らずのうちに溜まり続けていく名刺。あなたは名刺を管理するときの個人情報漏洩のリスクを知り「きちんと捨てる」ことはできていますか?

クラウド名刺管理サービスを提供するSansan株式会社(Sansan名刺総研)が2015年に行った調査によると、もらった名刺を普段「捨てていない」との回答は約7割、名刺が捨てられず「困っている」との回答も全体の約半数にのぼりました。

名刺を捨てていない、捨てられず困っているという人の中には、そもそも捨てる方法に悩んでいたり、いい名刺の管理方法が考えられず放置しているケースもあるのではないでしょうか。

ここでは、個人情報漏洩や顧客情報の流出などセキュリティリスクの観点から、名刺を処分する際、どのような点に気をつけるべきか、またデータで名刺を管理するときのメリットとデメリットを説明します。

【1】名刺の正しい捨て方とは?

名前に加え、住所・電話番号・メールアドレスなど本人に結びつく情報が盛り込まれた名刺は、個人情報の塊。また、文字に限らず、個人を特定できるものであれば、写真や映像、音声なども個人情報となります。

また、似顔絵や写真を入れたり、ブログ・WEBページ・SNSなどにアクセスできるよう、URLやQRコードを載せている場合もあります。これだけの情報が盛り込まれている名刺の扱いは会社の重要な書類と同じように「誰かの手に渡っても、復元できないような破棄の仕方」が必要なのです。

したがって名刺に記載されている情報が必要なくなったからというだけで、ゴミ箱に無造作につっこむことは絶対に避けましょう。ゴミ箱に捨てただけでは、名刺が誰かに拾われ、個人情報を流出してしまうリスクが考えられます。

不要な名刺は必ずシュレッダーにかけるか、廃棄ボックスに捨てること。シュレッダーがない場合は、復元できないようハサミで細かく裁断するなど、修復不可能な状態にしたうえで破棄するようにしましょう。

【2】名刺を捨てる際の注意事項

名刺を捨てる際の注意事項は、処分するのが「個人・会社員の場合(自分で集めた名刺を整理し処分する場合、また、自分自身の古い名刺を処分する場合)」か、「人事・総務・労務の場合(退職者から提出を受けた名刺を処分する場合)」かで異なります。ここではそれぞれの場合において、名刺を捨てる上でどんなことに注意すべきかを考えましょう。

個人・会社員の場合
この場合、処分対象となる名刺は、「自分で集めた顧客の名刺」「自分自身の、古くなった名刺」の2種類です。

このうち「顧客の名刺」の処分については【1】で述べたとおり万全の注意を払い、シュレッダーか廃棄ボックスを経由し、適正な処理を行いましょう。

もうひとつの「自分自身の、古くなった名刺」についても肩書きが変わったり、職場の連絡先が変わった場合、自分自身の名刺を新しく名刺を作り直す必要が生じます。この場合も【1】で述べたマナー通り処分しましょう。

名刺に刷りこまれた自分の情報に変更が生じ、古いままの情報が掲載された名刺を処分する訳ですから、仮にこの誤情報が外部に拡散していくと誤解を招きます。「いらなくなったから」という気軽な気持ちで不用意に廃棄しないよう注意しましょう。

人事・総務・労務の場合
企業の担当者は、「退職者から提出を受けた名刺」を扱うとき、顧客情報流出のリスクに備え、注意を払う必要があります。

通常、社員が仕事で受け取った名刺は、社員個人が管理していても会社のもの(情報資産)とみなされます。また、社員が顧客から受け取った名刺の情報を社内で活用できるよう、データ化して管理するケースもあります。そのデータも個人情報ですから、情報源である名刺を社員が退職時に持ち帰ってしまうと、それを黙認した会社は、個人情報保護法に違反する行為(第三者への提供)を行っているとみなされてしまいます。

したがって従業員の退職時には、それまでに集めた名刺の提出を要求するのが通常です。

こうして会社側の手元に名刺が残されたときにも、名刺の扱いには注意が必要です。「名刺自体」と「名刺に載っている個人情報」は別々の存在だからです。

名刺自体
データ管理をすでに行っている場合、従業員から返却された「名刺自体」は、企業にとっては“データを吸い取った後の空っぽのカード”となります。したがって処分しても構わない存在ですが、慎重に行う必要があるのは【1】で述べたとおりです。

情報漏えいのリスクを考えれば、大量に処分する場合は専門の業者に委託したほうが安心です。廃棄証明書をもらうことも忘れないようにしたいものです。社内で処理するなら、必ずシュレッダーにかけましょう。

名刺に載っている情報
情報流出を避けるためには、退職予定の社員に、機密保持に関する「誓約書」を提出してもらう方法があります。内容としては「貸与したもの(情報)、会社として『戻すべきだ』と判断するもの(情報)は戻した」という誓約と、「勤務中に得た情報は、退職者の自己判断で勝手に利用してはならない」という誓約を含んだ文面となります。

退職者が、勤めていた企業の名刺をコピーしたりスキャンしたりして、転職先や起業に利用し、それが原因で法的トラブルになったような場合、根本には、企業側の情報管理の甘さがあることが大半です。こうした争いを避けるためにも、誓約書は意義あるものといえるでしょう。

【3】名刺をデータで一元管理するメリットと注意事項

従業員が名刺交換で得た顧客情報は、企業の重要な資産。この顧客情報は、営業担当の一人ひとりが別々に管理するより、社内で統一的に管理することで有効活用できるようになります。紙の名刺をデータ化し一元管理するシステム、それが名刺管理システムです。

しかし名刺管理システムは、管理がしやすくなる一方で、管理体制が脆弱だと一気に情報漏洩につながるリスクを伴います。最後に名刺管理システムのメリットを理解すると同時に、導入する上での注意事項を見てみましょう。

名刺管理システム導入のメリット

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①整理、検索、流用性の向上により業務効率アップ
名刺の情報を1件ごとにデジタルデータ化することで、分類・検索機能が大きく向上します。またこうして得たデータをメールの一斉送信に利用できたり、企業の最新情報を名刺に紐づけられるなど、デジタルデータの流用性の高さも名刺管理システムの大きなメリットのひとつです。

②個人での名刺管理に伴うリスクの軽減
個人の名刺管理には、紛失や盗難、誤廃棄といったセキュリティリスクが伴います。また、名刺が机やかばんなどに散在し、欲しい名刺が必要な場面で出てこないという、もどかしいケースもありえます。名刺の一元管理は、「名刺は個人の所有物ではなく企業のもの」という意識を植えつけるとともに、こういったリスクや煩わしさを軽減することにも役立つでしょう。

③柔軟なワークスタイルの実現と個人情報の保護
名刺管理システムとスマートデバイスを用いることで、どこからでもすべての名刺データにアクセスすることができ、より自由で効率的なワークスタイルを実現できます。

増え続ける名刺の保管場所の削減、うっかり紛失したことによる情報流出のリスクを避ける効果も期待できます。

④引き継ぎの迅速化と情報損失の回避
従業員の退職により、培われてきた営業情報や顧客情報が失われることは企業にとって大きな痛手。その点、名刺管理システムを利用した情報の一元化は非常に有効といえます。

また人事異動や離職による担当者の変更においても、伝達ミスなどによる情報漏れを防ぐとともに、迅速かつ効率的な引継ぎが可能となります。

このように業務効率アップや個人情報保護、引き継ぎの迅速化など、名刺管理システムはデータ化ならではの多くのメリットがあります。

名刺管理システムを導入する上での注意事項


①使いやすい名刺データの仕組みづくりが必要
しかし名刺をデータベース化するときに煩雑な作業が求められると、ただでさえ通常業務で忙しい社員は面倒くさがってデータベース化に協力してくれなくなります。一元管理には、関与する社員すべての理解と協力が必要です。煩わしさや手間がかかることを理由に、消極的な従業員が多ければ、システムの円滑な運用は難しくなります。そのためデータベース化する作業はなるべくシンプルに構築することが大切。入手した名刺の内容がスピーディかつ確実にデータ化され、すぐに共有される仕組みが整っていてこそ、セキュリティ対策の実現につながるのです。

②退職者、社内関係者による悪用を防ぐ対応が必要
名刺管理システムを利用している場合、退職者が企業を去った後はそのサービスにアクセスできなくなるよう、パスワード変更などの措置をとる必要があります。

近年、システム上に退職者のアカウントが残っていたために不正アクセスを受けるという事件が発生しています。情報の悪用はないとしても、退職者がアクセスできる状態を放置しておくこと自体がリスクを伴います。名刺の返却を受けるとそれだけで安心してしまいがちですが、気を抜かずに、データのアクセス権除去まで対応しましょう。

まとめ

不要となった名刺はゴミ箱に直行させて終わり。そんな考えを持っている方の認識は改められたでしょうか。

従業員個人も名刺情報をスマートフォンのアプリで管理できる近年、名刺をシュレッダーにかけてもデータは残るため、情報漏えいの危険性を100%拭いきれないケースが増えているのが実情です。情報流出に関する犯罪も高度さや狡猾さを増しており、企業には時代に応じた情報管理が求められています。

名刺はビジネスパーソンに欠かせない日常的なツールであるだけに、廃棄をはじめその管理はとかく無造作に行われがちです。社員個々の判断に委ねず、会社としての統一的な管理方法を検討し、社内に周知を図ってこそ強固なセキュリティが維持できることを気にとめておきたいものです。

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