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総務部お役立ち。便利な福利厚生・ユニークな福利厚生を導入している企業7選

社員がより良い環境で働けるよう、そして離職率を抑えるためといった目的などで、多くの企業が福利厚生に工夫を凝らしています。また東京商工会議所が行う 新入社員対象のアンケート調査でも、入社の理由として毎年、回答の約20%を「待遇(福利厚生・給与)」が占めています。
このように社員にとっては大きな関心事であり企業の魅力に直結する福利厚生。その整備に関わる総務としては、他社との違いを打ち出したり、利用率を向上させたりと、「戦略的福利厚生」に知恵を絞ることが求められます。ここでは福利厚生の目的と最新動向に触れた上で、企業事例やアウトソース先をご紹介します。

総務部が管理しなければならない福利厚生業務。その目的と最新動向

総務 福利厚生2
福利厚生とは、企業の従業員・家族を対象とした生活福祉向上策の総称です。施策内容は賃金や労働時間、休日といった、基本的労働条件以外に関するもの。従業員の総合的な生活福祉向上により士気を高め、ひいては企業経営に貢献することを目的とします。更に詳しく、総務に求められる役割や、最近の福利厚生の動向見ていきましょう。

時代を映し出す法定外福利と、総務に求められる役割

企業は福利厚生にかかる費用を、「福利厚生費」として企業会計の人事労務費の中から支払っており、これは法定福利費と法定外福利費に分かれます。
●法定福利費
文字通り法律で定められている福利厚生に充てられます。社会保険等健康保険、雇用保険、労働基準法上の休業補償などが挙げられます。
●法定外福利費
企業が従業員の多様なニーズに対応しつつ任意に支出。住宅・生活補助、文化・レクリエーション、通勤手当など企業の経営方針や特性を反映するもので多岐にわたります。

企業の個性が打ち出される法定外福利は、景気や社会の影響を強く受けてきました。バブル期に、豪華な独身寮や保養所などいわゆるハコモノが競い合うように建てられたことは記憶に新しいところ。一転、バブル崩壊後の企業は従業員や就職希望者のニーズを取り入れた企業独自の福利厚生施策を生み出すことに知恵を絞っています。

社会の移り変わりと共にニーズは多様化。育児や介護をしながら勤務する従業員が増えたり、心身の健康を気にかける従業員が現れたりと、会社が行うべき支援も時代とともに年々変わっています。総務部は、必要とするものを必要とする人が享受できる福利厚生施策を実施できるように、柔軟な制度設計と運営をする必要があります。

企業が注目する、日本企業の福利厚生の最新動向

経団連が毎年実施している福利厚生調査の最新の結果が11月に公表されました。この「2015年度福利厚生費調査結果の概要」によれば、昨年度、企業が負担した福利厚生費(法定福利費+法定外福利費)は、従業員1人1カ月平均11万627円(前年度比2.1%増)となり、初めて11万円を超えました。
「法定外福利費」は9年ぶりに増加(2万5,462円)。その中で「育児関連」(387円)が11.2%増加し、企業が子育て支援策を充実させていることがうかがわれます。また「医療・健康費用」は2,922円(同1.1%増)、その中でも特に「ヘルスケアサポート」が大幅に増加しました(同10.6%増)。ストレスチェックへの対応や健康経営の高まりが考えられるとの分析がなされています。

大手からベンチャーまで!様々な福利厚生を揃えている企業事例

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様々な企業が試行錯誤して制定する福利厚生。早速、一体どんなものがあるのか、実際の企業事例を見ていきましょう。

●ヤフー
・長期所得補償制度
病気やけがで60日(免責期間)を超えて仕事ができなくなった場合、給与の60%を満60歳まで補償する制度。病気やケガで欠勤・休職した場合、健康保険組合から傷病手当金として給与の3分の2が18カ月間支給された後は、収入が途絶えてしまうため、その期間以降もサポートできるようにしています。

●サイボウズ
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・育自分休暇制度
35歳以下で、転職や留学等、環境を変えて自分を成長させるために退職する人が対象。期間は最長6年間。戻りたくなれば、数カ月前に報告するだけで復帰可能です。復帰後の役職や給料は、面接を実施して決定。また6年たって本人がサイボウズに戻らないと決めれば、意志を尊重して復帰は強要されません。

●カヤック
・旅する支社
鎌倉に本社を置く同社ならではの、「ネット環境を整えればどこででも仕事ができることを証明するための」制度。住居兼オフィスを一定期間(2~3ヶ月)借りて、仕事に集中。「24時間遊び、24時間働く」というカヤックスタイルを実際に示してみせる活動。これまでハワイ、イタリア、ベトナム、仙台等を舞台に実施。

●「GMOインターネット株式会社」
・コミュニケーションスペース「シナジーカフェ GMO Yours」
社内の福利厚生大幅拡充プロジェクトメンバーが、「世界一のコミュニケーションスペースを作る」という目標のもと、200近くのアイデアを提出、90%以上を実現しており、同カフェもその一例。ランチだけでなく、ドリンク、パン、お菓子、軽食など、24時間すべて無料で提供。

●クックパッド
・まかない
従業員が自由に料理ができるキッチンを完備。従業員は会社が用意した食材を自由に使って「まかない」を作り、食べることが可能。ユーザーから投稿されたクックパッドのレシピを見ながらランチを作るのが日常化しているとのこと。

●日本食研
・売上予想クイズ
社員全員で毎月の会社の売上金額を予想するクイズ形式の制度。毎月、実際の売上金額に一番近い予想金額(ただし、実際の売上げ金額より高額)を出した社員に1等から3等まで賞金を支給。 また、年に1回、年間の売上予想クイズも実施し賞金を支給。
・イノベーションカップ
INNOVATIONとは、「新しい技術や考え方を取り入れて、新たな価値を創造すること」。参加者(チーム)が自由に発想し、日本食研グループにINNOVATIONとなる提案を行います。参加者(チーム)から最優秀賞・優秀賞・奨励賞が選ばれ、実行すべきと判断された提案は業務として実現化。

●ゆめみ
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・野菜支給制度
毎月1回、産地直送の野菜を全社員に現物支給。野菜摂取の意識やそれを通じて健康面も考えてもらいたいという会社からのメッセージであり、コンセプトは「おせっかい」。
・勉強し放題制度
「マンツーマン英会話レッスン」「社会人ビジネススクール」など社外研修費用予算を無制限とする制度。成長意欲と積極性を持った人材への投資は惜しまないという方針の表れ。
・「10%ルール」と副業推奨
業務時間の10%(週4時間以内)であれば、どんなことでも自分の好きな研究に時間を費やすことができる制度。また業務時間外の副業を推奨。有志が集って設立したLLP(有限事業責任組合)に加入をしてもらい、ゆめみからLLPに発注をした上で、LLPに加入しているメンバーが業務請負という形で、業務時間外を利用して副業に励んでもらうシステム。

自社での運用の煩雑さを解消。バリエーションを増やしたいと思ったら、アウトソースする手段も。

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自社施設にない福利厚生設備やサービスについては、福利厚生サービス会社にアウトソースする方法があります。利用者としては安価な料金で多彩な選択肢を得ることができ、会社としても福利厚生に関わるスタッフの削減など合理化を図ることができるなど、大きなメリットがあります。
多種多様なサービス会社がありますが、契約にあたっては、料金体系と共に、利用者の目線で本当に利用したいメニューがそろっているかを厳しくチェックする必要があります。以下、代表的なサービス会社3社の特徴をご紹介します。

●ベネフィット・ステーション
東証一部上場企業・公務団体の半数近くが加入。約90万の福利厚生優待メニューをそろえ、企業ニーズの高い育児や介護、健康、自己啓発支援などにも対応しており、ワークライフバランスやダイバーシティ対策にも有効。年間500%を超える利用率を誇ります。パソナグループ各社との連携を生かし、福利厚生・人事アウトソーシングのワンストップ・ソリューション企業を目指しています。

●JTBベネフィット
JTBグループの全国ネットワークを活用した申込受付体制の案内、定期的なメニュー開発には定評があり、国内宿泊における確保部屋数は12万、国内プランも12万コースと業界最多。また健康経営にも力を注いでおり、健診・特定保健指導・ストレスチェックの運用、健康づくりのイベントなど健康施策に関する豊富なプログラムを用意しています。

●イーウェル(Ewel)
カフェテリアプラン(選択型福利厚生制度。あらかじめ用意された福利厚生メニューの中から従業員が自分の目的に応じて内容を選択するもの)の構築・導入で国内実績No.1の実績を誇ります。ユーザーの利用実態やニーズの的確な把握・分析に基づく高いコンサルティングスキルに定評があります。

まとめ

アメリカン生命保険会社が2015年に実施した労働力調査の報告書によると、アメリカでは法定外福利を提供された従業員が仕事に満足度を覚える可能性は19%アップし、翌年に別の仕事を探す可能性が14%低下するという結果が出ています。
いいかえれば、社員の、勤務先に対する忠誠心や勤労意欲は、企業の福利厚生制度に大きく影響されるということでもあります。そして、その福利厚生メニューの具体的な内容を検討するのが総務です。自社内で制度整備するにせよアウトソースするにせよ、社員の喜ぶ姿を見られるかどうかは担当者の腕の振るい方次第。時代を見据え、従業員のニーズを的確に把握した柔軟な検討が期待されています。

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