地震による勤務中の怪我は労災の対象!具体的なケースや対策を紹介

遠藤 香大(えんどう こうだい)
地震大国である日本では、いつ地震が発生してもおかしくなく、勤務中も例外ではありません。そのため、「勤務中に地震が発生して怪我をした場合、労災給付を受けられるのだろうか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、勤務中に発生した地震による怪我が労災の対象となるかどうかについて解説します。具体的なケースや企業が取るべき対策についても紹介するため、経営者や役員、経営企画部門、総務部門の方はぜひ参考にしてください。
目次
勤務中に発生した地震による怪我は労災の対象
勤務中に地震が発生して怪我を負った場合は、通常、労災保険の給付を受けられます。これは、地震によって建物が倒壊したり、津波に飲み込まれるという危険な環境下で業務に従事していたと認められるためです。
ただし、勤務時間中に業務とは関係のない行為をしていた際に怪我をした場合は、労災の対象とはなりません。
地震発生後のメンタル不調は対象外となる場合がある
メンタル不調が労災の対象となるのは、その不調が業務上の強いストレスによるものだと判断された場合に限ります。メンタル不調は業務以外のストレスが原因で引き起こされることも多いです。そのため、労災の対象となるには、業務による強いストレスが認められ、さらに業務以外のストレスが原因ではないと認定されなければなりません。
地震発生後に起こったメンタル不調であっても、労災の対象として認められない場合があります。特に地震は心理負担が大きく、避難生活などでライフスタイルも変化するため、業務と症状の因果関係を結びつけることが難しく、一般的には労災認定されづらいのです。
このことから、企業が従業員を守るためには、地震発生後に従業員のメンタルヘルスをケアするための対策を講じる必要があります。たとえば、メンタルヘルスの相談窓口を設置し、周囲の目を気にせずに相談できる環境を提供するのもよいでしょう。
地震による怪我が労災の対象となるケースの例
これまで、勤務中に発生した地震による怪我は労災の対象となることを説明しました。ここではより具体的に労災の対象となるケースについて説明していきます。
勤務中に地震が発生し、避難中に怪我を負った場合
勤務中に地震が発生した場合、避難行動は業務に付随するものとみなされます。したがって、勤務中に地震が発生し、避難する際に怪我を負った場合も、労災保険の適用対象となります。
被災地に出張中、地震が発生して怪我を負った場合
出張は、その開始から終了までの全期間において業務遂行性があり、事業主の指揮命令下および管理下にあるとみなされています。したがって、出張中に地震が発生し、怪我を負った場合には、労災保険の対象となります。
ただし、出張中であっても私的な行為を行っていた場合は、この限りではありません。
休憩時間中に地震が発生し、怪我を負った場合
休憩時間中であっても、事業所の管理する施設にいるときに地震が発生し、怪我を負った場合には、労災保険が適用されます。
外回りの営業中に地震が発生し、怪我を負った場合
外回り営業中に地震が発生し、怪我を負った場合、明らかに私的な行為を行っていたのでない限り、労災保険の適用対象となります。これは、地震発生時に危険な状況下で業務に従事していたとみなされるためです。
地震は安全配慮義務の対象
労働契約法では、企業は労働者の健康と安全を守るために配慮しなければならないと定められています。これは安全配慮義務と呼ばれ、地震などの災害への対策も含まれます。したがって、企業は事前に地震発生時に起こり得る危険を確認し、従業員が安全に働ける職場環境を整備しておかなければなりません。
ただし、安全配慮義務に違反しても、罰則はありません。しかし、企業が安全配慮義務を怠ったために従業員が被害を受けた場合、損害賠償請求を受ける可能性はあります。
以下の記事で安全配慮義務について解説しています。違反と見なされる基準や違反の行為例を紹介しているので、参考にしてください。
企業が十分な地震対策を講じなかった場合の問題
企業において地震対策は、従業員の安全確保、会社の資産保護、事業継続のために非常に重要です。
もし十分な地震対策を講じていなかった場合、被害が大きな地震が発生すると従業員が負傷したり、最悪の場合死亡したりするなど、深刻な事態が発生する可能性があります。また、業務が停止する期間が長くなるほど、事業を復旧できなくなる可能性も高くなるのです。
このように、地震対策を怠ると、従業員の安全が脅かされるだけでなく、事業継続も困難になります。したがって、企業は平時から地震対策に積極的に取り組む必要があります。
地震に備えて企業がすべきこと
企業が地震に備えて行うべき対策には、以下のようなものがあります。
- オフィス家具や什器の固定
- 避難経路の確認
- 役割分担の明確化
- 重要なデータのバックアップ
- 防災教育・訓練の実施
- 緊急時の連絡手段の確保・安否確認
- 非常用品(非常食)の準備
- 周辺地域との協力体制の構築
- 防災マニュアルの作成
- BCPの策定
倒れたオフィス家具や什器によって従業員がケガをしないよう、転倒防止器具で固定しましょう。設置場所にも配慮する必要があります。
また、非常用品の準備や、定期的な防災教育・訓練の実施も欠かせません。そして、地震が発生した際の行動を防災マニュアルやBCPにまとめて従業員へ周知徹底することで、災害時の被害を最小限に抑えられます。
以下の記事で、地震の防災対策で企業が取り組むべきことについて詳しく解説しています。これから防災対策を行う方は、ぜひ参考にしてください。
迅速な事業復旧には安否確認システムが役立つ
安否確認システムは、地震発生などの非常時に、従業員の安否を自動で確認するシステムです。非常時に自動でメッセージが従業員に通知され、従業員からの回答結果も自動で集計されます。
安否確認の担当者は、手動でメッセージを送信したり、電話をかけたりする必要がなくなり、他の重要な業務に集中することが可能です。従業員の安否状況を短時間で自動的に把握できるため、事業復旧のための次の行動にスムーズに移行することが可能となり、結果として事業中断期間を最小限に抑えることにつながります。
「安否確認サービス2」ならアクセス集中時にも安定して稼働
トヨクモが提供する『安否確認サービス2』では、もしものときにも稼働するように、AWSの堅牢なデータセンターで運用しています。さらに、世界各地にデータセンターを分散させることにより、国内で大規模な地震が発生した際にも、利用することが可能です。
初期費用・解約費用ともに0円で、最低利用期間もありません。自社に合っていないと判断した際にはすぐに解約できるため、初めて安否確認システムを導入する企業でも安心して利用できるでしょう。
なお、30日間の無料お試しを用意しています。機能制限は一切なく、30日が経過しても自動で課金されないため、興味がある方は一度お試ししてみることがおすすめです。
初期費用・解約費用 | 0円 |
月額費用(税別) | ライト:6,800円プレミア:8,800円ファミリー:10,800円エンタープライズ:14,800円 |
最低利用期間 | なし |
主な機能 | 外部システム連携/通知条件の設定/予行練習/自動一斉送信/回答結果の自動集計/家族の安否確認/災害以外のお知らせ送信ほか |
無料トライアル | あり(30日間の無料お試し) |
企業の存続には地震対策が欠かせない
基本的に、勤務中に発生した地震によって怪我を負った場合、労災保険給付の対象となります。これは、地震によって建物が倒壊したり、津波に飲み込まれるという危険な環境下で業務に従事していたと認められるためです。
地震は安全配慮義務の対象であり、企業は地震に備えて対策を講じておく必要があります。安全配慮義務に違反したとしても罰則はありませんが、従業員から損害賠償を請求されたり、事業が長期間中断したりするなど、さまざまなリスクがあるため、必ず地震対策は行っておきましょう。
トヨクモの『安否確認サービス2』では、定期的に全国一斉訓練を実施しています。訓練後にはレポートが送付され、そのレポートでは社内の回答率の推移や訓練全体の平均回答時間などを確認することが可能です。これにより自社の防災力を確認できるため、安否確認システムの導入を検討している方は、ぜひ選択肢に入れてみてください。