労働災害の発生状況ランキング!企業としてできる予防法を解説
遠藤 香大(えんどう こうだい)
企業には従業員を守る義務があり、どのような状況であっても安全に働ける環境を用意しなければいけません。しかし、労働環境を整備していても、労働災害が起こる可能性があります。そのため、企業としてできる備えを日頃から行っておくことが何よりも重要だと言えるでしょう。
この記事では、労働災害の発生状況をランキング形式で紹介します。企業としてできる予防法も紹介しているので、あわせて参考にしてください。
目次
令和5年度労働災害発生状況
令和5年度における労働災害による死亡者数は、755名でした。前年比よりも19名・2.5%減っています。また、新型コロナウイルス感染症への罹患による労働災害の死亡者数は4名でした。
一方、労働災害による休業4日以上の死傷者数は、135,371名です。前年比よりも3,016名・2.3%増えています。また、新型コロナウイルス感染症への罹患による労働災害の死傷者数は、33,637名でした。
▲出典:令和 5年 労働災害発生状況
上記の表を見るとわかるとおり、労働災害における死亡者数は年円減少傾向にあり、令和5年は過去最少を記録しました。一方、死傷者数は増加傾向にあり、3年連続で増えています。
なお、現在、国は労働災害を減少させるために国や事業者、労働者などが重点的に取り組む事項を定めた「第14次労働災害防止計画」により、死亡者数を令和4年と比較して、令和9年までに5%以上減少させることを目標にしています。
(参考:第 14 次労働災害防止計画)
労働災害の発生状況ランキング
ここからは、労働災害の発生状況をランキング形式で解説します。
業種別
労働災害の発生状況を業種別で比較しましょう。
なお、それぞれの人数は死亡者数を表しています。
業種 | 令和5年度 | 令和4年度 |
---|---|---|
1.建設業 | 223名 | 281名 |
2.製造業 | 138名 | 140名 |
3.陸上貨物運送事業 | 110名 | 90名 |
4.林業 | 29名 | 28名 |
(参考:令和5年労働災害発生状況の分析等)
第14次労働災害防止計画では、労働災害の死亡者数を令和4年度よりも5%減らすことを目標にしているものの、林業では1名増えています。一方で、建設業は令和4年度よりも58名減少し、20.6%減を達成しています。
次に、死傷者数のランキングを紹介します。
業種 | 令和5年度 | 令和4年度 |
---|---|---|
1.製造業 | 27,194名 | 26,694名 |
2.陸上貨物運送事業 | 16,215名 | 16,580名 |
3.小売業 | 16,174名 | 16,414名 |
4.建設業 | 14,414名 | 14,539名 |
5.社会福祉施設 | 14,049名 | 12,780名 |
6.飲食店 | 5,710名 | 5,304名 |
(参考:令和5年労働災害発生状況の分析等)
死亡者数の多い業種は建設業でしたが、死傷者数は製造業がもっとも多いです。前年よりも500名増加しており、何らかの対策は急務と言えるでしょう。また、社会福祉施設や飲食店も増加しています。これらの業種でも原因の追求や、その対策が必須です。
事故別
続いて、労働災害の発生状況を事故別で比較しましょう。
事故の種類 | 令和5年度 | 令和4年度 |
---|---|---|
1.墜落・転落 | 204名 | 234名 |
2.交通事故(道路) | 148名 | 129名 |
3.はさまれ・巻き込まれ | 108名 | 115名 |
4.激突され | 47名 | 59名 |
(参考:令和5年労働災害発生状況の分析等)
労働災害を事故別で比較すると、もっとも多いのは墜落・転落でした。令和4年度も1番多く、労働災害が起こりやすい要因だと推測できます。2番目に多かった交通事故(道路)は、前年度よりも19名・14.7%増えていることから、通勤災害が増加傾向にあると判断できます。
なお、通勤災害については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。
次に、死傷者数のランキングを紹介します。
事故の種類 | 令和5年度 | 令和4年度 |
---|---|---|
1.転倒 | 36,058名 | 35,295名 |
2.動作の反動・無理な動作 | 22,053名 | 20,879名 |
3.墜落・転落 | 20,758名 | 20,620名 |
4.はさまれ・巻き込まれ | 13,928名 | 14,099名 |
5.切れ・こすれ | 7,598名 | 7,500名 |
6.交通事故(道路) | 6,957名 | 6,773名 |
7.激突 | 6,925名 | 7,047名 |
(参考:令和5年労働災害発生状況の分析等)
労働災害の死傷者数は事故別で比較すると転倒がもっとも多く、前年度よりも763名・2.2%増えています。また、動作の反動・無理な動作や切れ・こすれ、交通事故(道路)も、前年よりも増加傾向にあります。
なお、万が一労働災害が発生した場合は保険を活用できます。補償内容や申請方法などについては、以下の記事をご覧ください。
労働災害を予防するために企業としてできること3選
労働災害を予防するために企業としてできることは、以下の3つです。
- 労働安全衛生関係法令の遵守
- 自主的な安全衛生活動
- リスクアセスメントにもとづく取り組み
それぞれについて解説します。
労働安全衛生関係法令の遵守
労働災害を防ぐには、労働安全衛生関係法令を遵守することは必須です。具体的な取り組み内容は以下のとおりです。
- 機械を使用するときは、動作範囲内に体が入らないように柵や覆いなどを設置する
- 火災や爆発の危険がある場合は、換気を行うなどの措置を取る
- 従業員は年に1回以上の定期健康診断を受けてもらう
- 従業員数10人以上50人未満の事業場では、安全衛生推進者または衛生推進者を選任する
- 危険または有害な作業を行う場合には、作業主任者を選任する
- 安全衛生のための教育を行う
日頃から安全対策を実施したり、従業員の健康を管理したりすることにより労働災害の発生を抑制できるでしょう。
自主的な安全衛生活動
労働災害の起こりにくい安全な作業を行うためには、すべての従業員が危険に対しる認識を高めることが重要です。たとえば、以下のような活動が有効です。
- 作業中に「ヒヤリとした」「ハッとした」ものの、災害にはならなかったという事例を報告・提案する
- 現場や作業に潜む危険要因とそれにより発生する災害について話し合う
- 職場の安全パトロール員や安全ミーティングの進行役を当番制で全従業員に担当させる
ほかにも、日頃から整理整頓を心掛けたり、積極的に職場内を掃除したりするのも有効な方法です。事業形態に合わせて危機管理をしていきましょう。
リスクアセスメントにもとづく取り組み
労働災害を防止する上で、リスクアセスメントへの取り組みも欠かせません。リスクアセスメントとは、作業に伴う危険性や有害性を洗い出し、事前に除去・低減するための手法です。あらかじめ起こり得るリスクを把握して、必要な対策を施すことで企業への損害を最小限に抑えます。
リスクアセスメントは基本的に、以下の流れで実施します。
- 仕事に従事するうえでの危険性や有害性を特定する
- 各リスクについて「災害の重要度」「発生の可能性」「リスクの程度」を評価する
- 2の結果をもとに、リスク対応への優先度をつける
- リスク低減措置の検討および実施を行う
- 以上の流れを記録する
優先的に対応すべきリスクから順に低減措置を行うと、効果的なリスクアセスメントを実施できます。
なお、労働災害の防止に取り組んだ企業事例を以下の記事で解説しています。あわせて参考にしてください。
従業員を守るためにはトヨクモの『安否確認サービス2』の活用を!
企業は、いついかなる場合であっても従業員を守らなければいけません。これは法律で義務付けられていることであり、企業として果たすべき責務だからです。したがって、常に労働環境の見直しを行い、労働災害が起こらない体制を構築する必要があります。
なお、従業員の安全を守る義務は、災害時も例外ではありません。いつ自然災害が発生しようとも、従業員の安全を守りながら事業を継続しなければいけないからです。
このような緊急時に役立つのが、トヨクモが提供する『安否確認サービス2』です。このシステムでは、気象庁の情報と連動して自動で安否確認通知を送信できます。従業員からの回答結果も自動で集計・分析でき、安否確認にかかる手間を大幅に削減できるのが魅力です。
また、安否確認サービス2には、情報共有できる「掲示板機能」や特定の従業員とやり取りできる「メッセージ機能」が備わっています。これら機能は緊急時の議論にも役立てられるため、迅速な初動にも活かせます。さらに、従業員の個人設定にあるメモ欄を活用すると緊急連絡先を登録できるため、万が一労働災害が起きたときも迅速に家族へ連絡できるでしょう。
このような安否確認サービス2の機能はは災害発生時だけではなく、平常時にも活用できます。
労働災害のランキングを参考に社内環境を見直そう
企業には従業員を守る義務が課せられており、労働災害が起きない仕組み作りは必須です。しかし、環境整備に力を入れても労働災害が起こる可能性はあるでしょう。今回紹介したランキングを参考に、今一度自社の労働環境を見直してより万全な環境を構築してください。
災害時の備えには、トヨクモの『安否確認サービス2』の活用がおすすめです。緊急時の初動対応を迅速に行えるほか、指示や連絡事項を共有できます。
また、初期費用不要で30日間のトライアル期間を設けているため、導入へのハードルも低いでしょう。従業員を守りたいとお考えの方は、ぜひ無料体験からお試しください。