労災で通院費は補償対象になる?満たすべき条件や請求する際の手順を解説

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遠藤 香大(えんどう こうだい)

企業はいかなる場合であっても、従業員の安全を守らなければいけません。しかし、いくら労働環境を整備していても、労災が起こる可能性はあるでしょう。

労災が発生した場合は、労災保険で補償を受けられます。それは、通院費も例外ではありません。しかし、通院費が労災で補償されるためには一定の条件を満たさなければいけない点に注意が必要です。

この記事では、労災で通院費が補償される条件や請求方法を紹介します。従業員を守る際に役立つ安否確認システムも紹介しているので、あわせて参考にしてください。

労災で通院費が補償される条件

労災で通院費は補償されるものの、以下の条件を満たす必要があります。

  • 通院距離が片道2km以上
  • 指定された医療機関への通院
  • 補償対象となる交通手段の利用

それぞれについて解説します。

なお、労災の概要については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。

通院距離が片道2km以上

労災の支給対象となる通院は、住居地もしくは勤務地から、原則、片道2km以上の場合が対象です。

ただし、通院距離が2km未満であっても症状の重さや通院の困難さなどを考慮した上で必要だと認められた場合は、支給される可能性があります。したがって、労災で通院費を申請する際は、片道2kmを1つの目安にするといいでしょう。

指定された医療機関への通院

労災で通院費を受け取るためには、以下のいずれかに該当する病院を受診しなければいけません。

  • 同一市町村内の適切な医療機関へ通院したとき
  • 同一市町村内に適切な医療機関がないため、隣接する市町村内の医療機関へ通院したとき
  • 同一市町村内および隣接する市町村内に適切な医療機関がないため、それらの市町村を超えた最寄りの医療機関へ通院したとき

適切な医療機関とは、傷病の診療に適した医療機関のことです。

なお、労災の場合は健康保険を利用できません。労災病院や労災保険指定医療機関であれば、療養の給付制度を活用できるため、自己負担費用が発生することなく治療を受けられます。給付制度についての詳細は、以下の記事をご覧ください。

補償対象となる交通手段の利用

労災の補償対象となる交通手段は、電車やバスなどの公共交通機関もしくは自家用車のみです。公共交通機関であれば実際にかかった運賃分が支給され、自家用車の場合は1kmあたり37円で計算された金額分を受け取れます。

そのため、自家用車で通院した場合は、どれほどの走行距離があったのかを把握しておきましょう。また、介助者がいないと通院できない場合は、その介助者分の交通費も支給の対象です。

なお、タクシーによる通院は基本的に補償の対象外です。タクシーはほかの交通手段よりも高額であるため、医学的知見などから判断して必要性が認められた場合のみが対象となります。

たとえば、通院に利用できる交通機関や自家用車がない場合や、症状を考慮した上でタクシーが妥当と判断された場合が該当します。タクシー代を労災に請求する場合は、その領収書を提出する必要があるため、適切に保管しておきましょう。

労災で通院費を請求する方法

労災で通院費を請求する方法は、以下のとおりです。

  1. 「療養給付たる療養の費用請求書」(様式第7号)の「(ヘ)欄」に移送費として、かかった費用を記入する
  2. 労働基準監督署へ提出する

なお、労災に通院費を請求する場合は、その費用を証明できる請求書や領収書などを添付しなければいけません。移送費(通院費)請求明細書を活用するのも有効です。

(参考:療養(補償)等給付の請求手続 移送費(通院費)請求明細書

労災で通院費を請求する際の注意点

労災で通院費を請求する際の注意点は以下の2つです。

  • 原則として症状固定と判断されるまで補償を受けられる
  • アフターケア制度を活用する場合もある

それぞれについて解説します。

原則として症状固定と判断されるまで補償を受けられる

労災で通院費として補償されるのは、原則、症状固定と判断されるまでです。症状固定とは、労災の原因である怪我や病気などの症状が完治、もしくは治療を続けても改善が期待できない状態です。

症状固定と判断されたあとも通院する場合、労災との因果関係が証明できず、補償の対象外となります。そのため、症状固定と判断されたあとも通院する場合は、企業内で活かせる制度などはないか確認するのも一つです。

アフターケア制度を活用する場合もある

症状固定と判断されても通院する場合は、アフターケア制度を活用するのも一つの方法です。アフターケア制度とは、脊髄損傷や精神障害といった継続的にケアが必要な方に対して、引き続き無料で治療を受けられる制度です。

利用するためには、都道府県労働局長に申請しなければいけません。アフターケア制度の利用が認められると、通院費も補償してもらえます。ただし、症状によって申請期間に制限があるため、利用できるかどうか確認しなければいけません。アフターケア制度の対象であれば、費用負担を軽減しながら引き続き治療を受けられるでしょう。

(参考:アフターケア制度

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企業は従業員の健康や安全を守る義務があり、労働災害が起きない仕組みを構築しなければいけません。たとえば労働環境を定期的に見直したり、従業員からの声を反映したりするのも重要な業務でしょう。

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労災で通院費を補償しよう

労災で通院費を補償することはできるものの、一定の条件を満たす必要があります。そのため、企業はその条件を事前に把握しておき、万が一労災が起きたときはスムーズに通院できる段取りを行いましょう。怪我や病気などをした従業員が少しでも安心して過ごせるように、企業としてできうる限りの備えをしておくことが重要です。

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