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中小企業こそ安否確認システムを導入しよう!活用すべき理由やメリットを解説

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2024年の元旦に大きな地震が発生し、従業員の安否確認の必要性を認識した企業も多いかもしれません。しかし中小企業は事業規模や従業員数がさほど大きくないことから、サービスの導入に迷っている経営者も多いでしょう。

そこで本記事では、中小企業こそ安否確認システムを導入すべき理由を紹介します。メリットやサービスを選ぶ際のポイントなども紹介しているので、あわせて参考にしてください。

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編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。

中小企業こそ導入を!安否確認システムとは

安否確認システムとは、災害が起きたときに従業員やその家族の安否確認を行えるシステムのことです。企業に導入する義務はないものの、中小企業こそ活用しておきたいサービスとも言えます。

なぜなら、安否確認システムを導入すると安否確認を自動で行えるため業務負担を軽減できるからです。効率よく従業員の安否確認を進められれば、事業活動の早期復旧も可能です。資本力が決して十分とはいえない中小企業の事業活動が停滞すると、資金繰りに窮して経営危機に陥ることがあります。

安否確認システムを中小企業が導入すべき3つの理由

安否確認システムを中小企業が導入すべき具体的な理由は以下のとおりです。

  • 事業活動の早期復旧ができる
  • 取引先に安心感を与えられる
  • 従業員と迅速に連絡を取れる

それぞれの理由について詳しく解説します。

1.事業活動の早期復旧ができる

中小企業が安否確認システムを導入すると、事業活動の早期復旧が可能です。災害時は従業員1人ひとりの安否確認や安全確保などに時間がかかってしまい、事業の停滞を招きやすい傾向があります。

しかし、安否確認システムを導入すると自動で従業員の安否確認を行えるため、迅速に被害状況を把握できます。さらに、従業員1人ひとりの状況に合わせた指示出しも行いやすくなることから、事業活動の復旧をしやすくなるでしょう。事業規模がさほど大きくない中小企業こそ、スムーズな事業継続が欠かせません。

2.取引先に安心感を与えられる

安否確認システムを利用すると、取引先に安心感を与えやすくなります。

取引先から「万が一の事態が起きても事業を継続しやすい」と思ってもらいやすくなり、安心感を与えられます。その結果、両社のビジネスリスクを軽減できるため、お互い良い関係を築きやすくなるでしょう。

3.雇用の確保・安定ができる

安否確認システムを活用すると、雇用の確保・安定ができるのも魅力の一つです。中小企業は大手企業ほどの従業員を抱えていないことから、さほど安否確認システムの必要性を感じていないかもしれません。災害時でも電話やメールで連絡を取り合えばいいと考える経営者もいるでしょう。

しかし、災害時はどのようなトラブルが起きるかは想定しづらく、必ずしも連絡を取り合えるとは限りません。電話やメールの回線がパンクして、連絡を取るのが困難な場合もあり得ます。だからこそ、災害時を想定して作られた連絡手段を確保しておくことが重要です。安否確認システムであれば、災害時を想定した訓練も行われており、従業員とのスムーズな連携が可能です。

中小企業が安否確認システムを導入するメリット

安否確認システムを導入すると以下のようなメリットを得られます。

  • 迅速に情報収集を行える
  • 従業員の安心感を向上できる

それぞれのメリットをみていきましょう。

迅速に情報収集を行える

安否確認システムを活用すると、迅速に情報収集を行えます。例えば、以下のような情報を効率よく集められます。

  • 従業員やその家族が無事かどうか
  • 出社できる状況かどうか
  • 交通手段を確保できるかどうか

これらの情報を迅速に集められると従業員の状況をいち早く把握できるため、今すべきことが明確になりやすいでしょう。すると次の対策が打ちやすくなり、事業の停滞も防ぎやすくなります。

従業員の安心感を向上できる

安否確認システムを導入すると、従業員の安心感を向上できます。「災害時が起きても従業員の安否確認を迅速に行ってくれる」と思ってもらいやすくなり、安心感を得やすくなります。その結果、従業員のモチベーションが向上したり、企業に対する満足度もアップしたりするでしょう。いざというときに企業が従業員を守るという姿勢が、安心感につながります。

中小企業が安否確認システムを導入した事例

ここでは、中小企業が安否確認システムを導入した事例を紹介します。自社内への導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

【建設業】株式会社上田組

▲出典:株式会社上田組HP

株式会社上田組は季節雇用の従業員も多く、迅速な安否確認が難しいと感じていました。また従業員の防災意識も低いことから、安否確認システムの導入に踏み切っています。その結果、全従業員の安否確認が迅速に行えるようになったほか、安否確認訓練における回答率が75から90%にアップして防災意識を高められました。

また、安否確認のほかに熱中症警報や作業時の注意事項なども共有しやすくなり、災害時以外でも活用しています。

参照:安否確認訓練の回答率が50%→90%に全社における防災意識向上を実感

卸売業】株式会社ヤクルト東海

▲出典:株式会社ヤクルト東海HP

株式会社ヤクルト東海は営業エリアが愛知県・岐阜県・三重県と広範囲にわたることから、迅速な安否確認が課題でした。当初は、グループウェアを活用して安否確認を行っていたものの、スムーズな確認が行えず従業員も回答に苦戦していたそうです。さらに手動での操作も多く、担当者の業務負担は大きいものでした。

そこで安否確認システムを導入したところ、230名以上の従業員の情報を一括で管理できるようになり、迅速な安否確認が可能となっています。また従業員からの回答結果も自動で集計できるため、被害状況を把握しやすくなりました。

参照:気象庁の情報と連動した自動送信機能が魅力 人の手を介さない安否確認でより迅速な対応が可能に

【運輸業】株式会社インテックス

▲出典:株式会社インテックスHP

株式会社インテックスでは、従業員の安否確認を電話やメールなどで対応していました。しかし、新型コロナウイルスが蔓延していた時期は膨大な情報処理が必要となり、担当者の業務負担が大きくなっていたそうです。

同社では既存のシステムと連携できる安否確認システムを導入したことで、スムーズに運用開始できました。英語にも対応しているため、外国籍の従業員も安心して利用できています。掲示板機能も活用しており、災害時以外にも有効なシステムです。

参照:cybozu.com連携で、システム導入・管理が簡単に

英語対応のため、外国籍の従業員が多い企業も安心して利用できる

安否確認システムを選ぶ際のポイント

中小企業こそ安否確認システムが必要だとわかったものの、どのようにサービスを選べばいいのかわからない経営者も多いでしょう。そのような場合は、以下のポイントを参考に自社に合った安否確認システムを選んでください。

  • 料金やサービス内容を比較する
  • 連絡手段に多様性があるものを選ぶ
  • 操作しやすいサービスを選ぶ
  • 導入実績を確認する

それぞれのポイントを解説します。

料金やサービス内容を比較する

安否確認システムを導入する際は、料金やサービス内容を比較しましょう。安否確認システムは導入時に初期費用が発生するほか、維持費として月額料金が発生します。それぞれの費用は安否確認システムによって異なるため、払い続けられるサービスを選ぶことが大切です。

連絡手段に多様性があるものを選ぶ

安否確認システムを選ぶ際は、連絡手段に多様性があるものにしましょう。メールアドレスのみの利用だと回線がパンクしたときに従業員と連絡が取れない可能性があります。そのためLINEや専用アプリといった連絡手段が豊富な安否確認システムを選ぶと、従業員が安否報告をしやすいツールから返信してくれます。

操作しやすいサービスを選ぶ

安否確認システムを選ぶ際は、操作しやすいかどうかをチェックしましょう。安否確認システムは災害時に使用するため、操作しにくいサービスだと従業員がうまく活用できません。例えば、以下のようなポイントをチェックしておくと安心です。

  • 安否確認の回答欄がわかりやすい
  • 操作画面が見やすい
  • プッシュ通知で知らせてくれる
  • 複雑な機能がついていない

通常時とは異なり混乱状況下であることから、スムーズに操作できればできるほど活用しやすくなるでしょう。

導入実績を確認する

安否確認システムを導入するときは、導入実績を確認しましょう。安否確認システムは災害時に使用することから、安定的な稼働が見込めるサービスを選ばなければいけません。実際にサービスを導入した企業の口コミや評判などの導入実績を確認したうえで、安否確認システムを選ぶのがおすすめです。

多言語対応している

多言語対応している安否確認システムを導入しましょう。英語をはじめとする多言語に対応していると、外国籍の従業員も使いやすくなります。すべての従業員の安否確認が取れるサービスを選ぶと、より迅速な事業継承が可能です。

管理権限を設定できる

安否確認システムを導入する際は、管理権限を設定できるかチェックしましょう。安否確認システムは多くの個人情報を扱うことから、限られた人のみが情報を管理できるのが望ましいサービスと言えます。企業の形態に応じた権限設定ができると、より安心して安否確認システムを運用できます。

中小企業におすすめの安否確認システム5選

ここでは、中小企業におすすめの安否確認システムを5つ紹介します。それぞれの特徴を参考に、自社に合ったサービスを選んでください。

1.安否確認サービス2

▲出典:安否確認サービス2HP

安否確認サービス2は、2022年9月時点で導入社数が3,000社以上を誇る安否確認システムです。毎年9月1日に全国一斉訓練を行っており、システムが安定して稼働できるかをチェックしています。訓練終了後にはレポートが送付されて、自社の防災力も確認できます。

さらに、安否確認サービス2は初期費用が不要であるため、導入コストは発生しません。30日間のお試し期間があることから、導入するか迷っている企業でも利用しやすいでしょう。なお、安否確認サービス2は事業継続計画策定に必要となる機能も搭載しており、災害時の対策指示や情報共有もスムーズに行えます。

トヨクモ

2.セコム安否確認サービス

▲出典:セコム安否確認サービス

セコムの安否確認サービスとは、24時間365日のオペレーション力で災害時の初動をサポートしてくれるサービスです。災害情報の真偽を専門スタッフが確認して、迅速な対応を行ってくれます。事業継承や早期再開を目指して、相談窓口や災害訓練なども実施しています。

セコム

3.Biz安否確認/一斉通報

▲出典:Biz安否確認/一斉通報HP

Biz安否確認/一斉通報は、震度7の地震にも耐えられるデータセンターで運用しているサービスです。災害時も安定的な稼働を実現できるため、万が一のときも安心して任せられます。なお、災害だけではなく台風や豪雨の注意喚起や感染症流行時の健康管理にも活用できます。常に従業員の安全を守り、安定的な事業の継続が可能となるでしょう。

NTT Com

4.エマージェンシーコール

▲出典:エマージェンシーコールHP

エマージェンシーコールは、利用規模に合わせて選べるように2つのプランを用意している安否確認システムです。従業員が300名以下であれば月額1万円で利用できるため、費用面が気になる企業も導入しやすいサービスと言えます。また過去の災害時にも安定した稼働を実現したことから、この先の災害でも安心して利用できるでしょう。

インフォコム

5.安否確認システムANPIC

▲出典:安否確認システムANPIC HP

安否確認システムANPICとは、災害時だけではなく日常の連絡ツールとしても活用できるサービスです。LINEに安否確認通知を送りたい場合は無料で追加できるため、連絡手段の多様性もあるでしょう。導入時のユーザー登録や説明会なども実施しており、このようなサービスを初めて利用する企業も安心できます。担当者の業務負担を軽減しながら、安否確認システムの導入が可能です。

アバンセシステム

中小企業が安否確認システムを導入する際の注意点

中小企業にとって安否確認システムは活用すべきサービスではあるものの、導入する際は以下の点に注意しなければいけません。

  • セキュリティ体制が構築されているかを確認する
  • 従業員に使い方を覚えてもらう

それぞれの注意点を解説します。

セキュリティ体制が構築されているかを確認する

安否確認システムは従業員の個人情報を扱うことから、セキュリティ体制を重視しましょう。安否確認システムを利用して従業員の安否確認を行うためには、システムに従業員の名前や連絡先、家族の情報などを登録しなければいけません。

そのため、セキュリティ体制が構築されていないと、個人情報が漏洩する恐れもあるでしょう。安否確認システムを導入する際はセキュリティ体制がどのように構築されているかを確認し、安心して任せられるサービスを選んでください。

従業員に使い方を覚えてもらう

安否確認システムを導入するときは、従業員に使い方を覚えてもらうことも大切です。どれほど便利で有効なサービスを導入しても、企業や従業員がうまく活用できないと効果を得るのは困難です。

とくに安否確認システムは災害時という混乱状況下で使用することから、従業員が使い方をマスターしておく必要があるでしょう。災害時に連絡方法がわからないといったトラブルを避けるためにも、定期的に操作方法をチェックできるサービスを選ぶのがおすすめです。

まとめ:中小企業は安否確認システムを導入して迅速に従業員と連絡を取ろう!

中小企業は従業員の数がさほど多くないことから、安否確認システムの必要性を感じない企業もいるでしょう。しかし、中小企業は事業規模が大きくないため、事業が停滞しないように目の前にある課題をスムーズに解決する必要があります。事業継承に多くの時間を割くことになるため、従業員の安否確認を迅速に行い、必要な対策を講じるのが得策です。

以上のことから、中小企業こそ安否確認システムを活用して従業員と迅速な連携を取るのがおすすめです。災害時に従業員を守れる企業だと認識されると、従業員だけではなく取引先からの信頼度もアップするでしょう。自社に合った安否確認システムを導入して、事業継承に力を注いでください。

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編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。