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ハザードマップの見方とは|種類や企業における活用方法も紹介

ハザードマップとは、身の回りでどのような自然災害が起こりうるかを地図上で確認できるものを指します。この記事では、ハザードマップの見方から企業での活用方法まで分かりやすく説明します。

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監修者:木村 玲欧(きむら れお)

兵庫県立大学 環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授

早稲田大学卒業、京都大学大学院修了 博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院環境学研究科助手・助教等を経て現職。主な研究として、災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。
著書に『災害・防災の心理学-教訓を未来につなぐ防災教育の最前線』(北樹出版)、『超巨大地震がやってきた スマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社)、『戦争に隠された「震度7」-1944東南海地震・1945三河地震』(吉川弘文館)などがある。

ハザードマップの見方を解説

ハザードマップという言葉は知っていても、実際にハザードマップを見たり活用したりしたことのある人はもしかしたらそこまで多くないのではないでしょうか。

そこでまずは、ハザードマップの見方について説明をします。

マップ上の色を確認する

マップ上の色は、どの自然災害に関するものかによって異なります。

たとえば、洪水による被害想定についての、ある自治体のハザードマップを見てみましょう。0.5メートル未満の浸水から5メートル以上の浸水まで、「想定最大浸水深」によって5段階に分けて色分けがしてあります。他にも、ハザードマップには高潮や火山噴火による影響、津波や土砂災害の被害想定を表したものなどさまざまな種類があります。

なお、1つ注意すべき点があります。たとえば、地震のハザードマップで無着色だからといって安心していると、浸水のハザードマップでは色が塗られていることもよくあります。必ず、地震、洪水、土砂災害など、複数のハザードマップを見ておくようにしてください。

「重ねるハザードマップ」の見方

「重ねるハザードマップ」とは、航空写真や地図に災害情報を重ねて確認する地図です。国土交通省のホームページで確認でき、アプリ版はありませんがスマートフォンからも閲覧できます。下記で見方を説明します。

  1. 確認したい地域を選ぶ。
  2. 洪水や津波など、災害の種類を選ぶ。
  3. 各災害のカテゴリーから、より細かい災害リスクを選んで色分けされた部分をクリックする。

お手持ちのPCやスマートフォンで簡単に閲覧ができますので、この機会にぜひ確認してみてください。

「全国ハザードマップ」の見方

全国ハザードマップとは、NHKがインターネット上で提供しているマップです。

PCからもスマートフォンからも閲覧ができるため、容易に災害リスクを確認できます。

いざというとき、安全な場所へ逃げるために事前に確認しておくとよいでしょう。

「わがまちハザードマップ」の見方

「わがまちハザードマップ」とは、各市町村が作成したハザードマップを見ることができるように、国土交通省がリンク先などをまとめたサイトです。

ハザードマップポータルサイトにリンクが集約されているため、簡単にアクセスが可能です。ハザードマップの見方は、重ねるハザードマップと同じで確認したい地域を選択することで各地域のハザードマップを確認できます。

自治体によっては、自然災害時のネットワーク回線の悪化を考慮し、通信量が比較的少なくて済むPDFファイルでハザードマップを提供している場合もあります。

ハザードマップの種類

ハザードマップには、さまざまな種類があることをご存じでしょうか。各種ハザードマップの特徴を、下記でご紹介します。

● 洪水ハザードマップ
大雨で堤防が決壊したり越水したときに、どの範囲が浸水をするのかや浸水の程度を示したものです。
洪水が発生した際の避難ルートや避難場所についての情報も掲載されています。

● 内水ハザードマップ
内水とは、下水道設備や排水路などが大雨で溢れ出し、地上が浸水する現象です。
内水氾濫ともいいます。
内水は河川の近くだけで起こるものでないため、ハザードマップでよく確認しておくことが重要です。

● 土砂災害ハザードマップ
土砂災害は、大雨などによって引き起こされる土石流やがけ崩れなどを指します。
このハザードマップは、法律によって各自治体が作成することを義務付けされています。

● 高潮ハザードマップ
高潮とは、低気圧や台風などによって海面が上昇することです。
とくに満潮時に高潮が重なると沿岸部一帯で高潮による浸水が発生する可能性もあります。
ハザードマップを確認することで、安全な避難経路や高台の確認が可能です。

● 地震ハザードマップ
地震ハザードマップは、大規模地震が発生した際のリスクを確認できるものです。
揺れやすさや地震の危険度、液状化のリスクなどに分かれているものもあります。

● 津波ハザードマップ
津波は、地震発生などで海面が持ち上がり、持ち上がった海水が沿岸に押し寄せることです。
津波発生のリスクがある際には、高台に逃げることが大切です。
しかし、緊急時にどこへ逃げてよいか分からなくなってしまう場合もあるでしょう。
そこで、ハザードマップを事前に確認することによって、避難ルートや安全な高台へのスムーズな避難が可能になります。
ハザードマップを確認することで、安全な避難経路や高台の確認が可能です。

● 火山ハザードマップ
火山ハザードマップは、噴火発生時の災害リスクや噴火が発生する危険性のある場所が記載されているものです。

● 宅地ハザードマップ
宅地ハザードマップは、盛土や埋立をした造成地のリスクを地図で示したものです。
大雨や地震で被害を受けやすいため、事前に知っておくことが重要です。

ハザードマップの入手方法

ハザードマップには、インターネット上で公開されているものと紙や冊子として配布されているものがあります。

市区町村の役所・役場やホームページ、国土交通省が運営するハザードマップポータルサイト、スマートフォンアプリで公開されています。窓口では紙や冊子、ホームページ上ではPDF形式などとして入手が可能です。

なお、ハザードマップは更新されることがあるため、定期的な確認が必要です。

ハザードマップを企業で活用する方法

ここまで、ハザードマップの見方や種類などについて解説しました。ここからは、企業がハザードマップを活用する方法について見ていきましょう。

会社がある地域の被害を想定

まずはハザードマップを用いて、会社のある地域にどのような自然災害のリスクがあるのかを確認しましょう。もしハザードマップ上で自然災害発生のリスクがある場合には、どれくらいの被害や影響が想定されているのかの確認も大切です。

自分たちの身の回りで起こりうる災害について知ることで、その後の対策に活かしやすくなります。

避難ルートの確認と避難訓練の実施

避難訓練とは、自然災害発生時に安全を確保しつつ、危険がある場合には安全な場所まで避難する訓練のことです。一方で、訓練を実施する意義を社員全員で共有しないと訓練自体がマンネリ化しやすい側面もあります。

実際に訓練をする際には、ハザードマップを用いて避難ルートを設定し、避難所・避難場所まで歩いてみましょう。日々利用している道路が被災時に使えなくなることも十分考えられます。そのため、複数の避難ルートを用意しておく必要があります。

自然災害発生時に最優先で守るべきは「人命」です。いざというときに落ち着いて行動できるよう、十分な対策と訓練を事前に行っておきましょう。

予想される浸水深に応じた事前の対策

水害のリスクが高い際には、予想される浸水深に応じた事前の対策が大切です。たとえば土嚢や水嚢を用意しておいたり、出入口に止水板を設置しておいたりなどの対策があげられます。

とくに地下フロアは、わずか数センチの浸水深でも水没するリスクがあります。地下フロアに大切な電子機器や機械を置かないようにしたり、敷地を防水化したりなどの対策が求められるでしょう。

防災備蓄品の管理

人命を守るためには、防災備蓄品は必要不可欠です。

近年、日本では地震だけでなく豪雨などの自然災害が多発する傾向にあります。「今までだって特に被害がなかったから大丈夫だろう」というような理屈は成り立たなくなっているのです。

そのため、自然災害が発生したときに従業員を十分に守れるだけの防災備蓄品を備えている必要があります。

今までだって特に被害がなかったから大丈夫だろう

備蓄品詳細
飲料水3日分(1人1日3リットル)
非常食3日分(ご飯・レトルト食品・クラッカー・カップラーメン・缶詰・乾パン・防災食など)
日用品毛布、保温シート、災害用トイレ、衛生用品、携帯ラジオ、懐中電灯、乾電池、スマートフォン・PCバッテリー、救急医薬品、大容量バッテリー、自家発電機など

参考:農林水産省 災害を想定した備えが大切

「3日分」とは、あくまでも最低ラインです。大規模な自然災害が起こった際、必ずしも3日以内に救援物資が届くとは限りません。可能であれば7日分の備蓄がおすすめです。

さらに食料や水だけでなく、浸水対策に必要な止水板や防水扉などを設置するのも災害対策のひとつです。また浸水後に片付けをする際に必要な保護具やスコップ、消毒剤などもあると安全に後処理ができるため、なおよいでしょう。

可能であればの策定

BCP(事業継続計画)や防災マニュアルもハザードマップを有効活用する方法のひとつです。

BCPとは、Business Continuity Planの略で、日本では事業継続計画とも訳されます。自然災害やテロ、感染症などの緊急事態が発生した際に、被害を最小限に抑え、被害が出た場合は迅速に復旧して事業を継続させるための計画です。一方で、防災マニュアルは、一般的に自然災害が発生した際の従業員の行動方針や役割を定めたマニュアルのことです。

ハザードマップを確認することで企業の災害リスクを事前に把握できるため、BCPや防災マニュアルを策定しやすくなるでしょう。

安否確認サービスの導入

ハザードマップを確認し、自然災害のリスクを知ったら、具体的な防災対策について考える必要があります。そのうちのひとつが「安否確認サービス」です。

安否確認サービスとは、緊急事態発生時に従業員の安否を素早く確認するためのツールです。近年では、BCPの一環として導入する企業が増えています。この安否確認サービスを導入することで、従業員の被害を確認し、具体的な人員配置計画のもとに迅速な事業継続に役立つでしょう。また企業には、従業員の安全を確保するという安全配慮義務があることからも、このようなシステムは必要です。

企業のためだけでなく、従業員やその家族の命のためにも安否確認サービスを導入してはいかがでしょうか。

新拠点を選定する際にも活用可能

もし新しく拠点を開設する場合には、ハザードマップを確認するようにしましょう。自然災害による被害のリスクが少ない場所を選ぶことに利用できます。

一方で、経営活動を行う際には、物流や費用面などの利便性について考えることも大切です。自然災害のリスクがあったとしても、対策を行うことでリスクを減らすことができます。たとえば、地盤が弱い場合は、盛土をすることで地盤の強化が可能になるかもしれません。

自然災害時のリスクを把握するだけでなく、さまざまな観点からハザードマップの確認は必要です。

ハザードマップの見方を覚えていざというときに備えよう!

ここまでハザードマップの見方や活用方法について紹介してきました。

自然災害が発生した時に冷静な判断をすることは難しいです。事前に対策をしておくことで、自然災害による被害を最小限に抑え、迅速な復旧や事業継続につなげることができます。

ハザードマップはウェブ上からでも確認できるため、自然災害のリスクを把握し、事業継続計画・防災マニュアルの作成や防災備蓄品の確保などの対策を行うようにしましょう。

まだハザードマップをしっかりと見たことがない方は、自分や会社の将来のために、一度じっくりと確認してみてはいかがでしょうか。

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監修者:木村 玲欧(きむら れお)

兵庫県立大学 環境人間学部・大学院環境人間学研究科 教授

早稲田大学卒業、京都大学大学院修了 博士(情報学)(京都大学)。名古屋大学大学院環境学研究科助手・助教等を経て現職。主な研究として、災害時の人間心理・行動、復旧・復興過程、歴史災害教訓、効果的な被災者支援、防災教育・地域防災力向上手法など「安全・安心な社会環境を実現するための心理・行動、社会システム研究」を行っている。
著書に『災害・防災の心理学-教訓を未来につなぐ防災教育の最前線』(北樹出版)、『超巨大地震がやってきた スマトラ沖地震津波に学べ』(時事通信社)、『戦争に隠された「震度7」-1944東南海地震・1945三河地震』(吉川弘文館)などがある。

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編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。