2011年3月11日。日本人にとって決して忘れることのできない日。そう、東日本大震災が起きた日です。
あの日、災害が起きた地域では、安否の確認が取れない社員が相次ぎ、事業継続する上で大きな課題を残しました。企業は安否確認システムを導入することはもちろん、企業の特性に合ったサービスを選び、サービスをしっかり運用できる体制を整えておく必要があります。
今回は、リスク対策.comが主催する「危機管理ソリューションセミナー」に登壇していた企業の、安否確認システムを紹介します。皆さんの企業にはどのサービスが合っているのか、検討してみてください。
目次
【はじめに】安否確認システムを機能させるポイントは、5W1H(リスク対策.com )
最初に、安否確認システムの活用方法について、リスク対策.comからお話がありました。
安否確認システムをせっかく導入しても、事前に企業で使い方を決めておかないと、いざという時にシステムが機能しなくなってしまいます。安否確認を円滑に行うためにも、企業と従業員、そして家族が共有しておくべき安否確認の5つのポイントを押さえるようにしましょう。
①【Where】どこで
②【When】どのような事態が起きた時に
③【Who-Whom】誰が誰に対して
④【How】どのような手段で
⑤【What】何を確認・報告するか
これらの点を共有しておけば、災害発生時でも慌てることなく「こういう時には、〇〇に連絡すればいいんだ」と従業員一人ひとりが判断することができます。また、万が一連絡がつかない場合の対応を前もって決めておくことも、緊急時に備えた重要な心がけ。企業と従業員が上手く連絡をとり合うためには、
・出社か帰宅かの判断基準を設ける
・災害対策要員以外は、自宅待機にするなどルール化
・社内イントラに書き込み(家族間なら災害伝言板などに登録する)などルール化
特にこの3点を事前に決めておきましょう。ルール化しておくことは、いざという時に企業・従業員がそれぞれ焦らずに対処できる状態を作るために非常に重要です。
【1】最も歴史ある安否確認システム!東日本大震災でも効果を発揮(『エマージェンシーコール』)
それでは、安否確認システムについて見ていきましょう。
最初に紹介するのは、インフォコム株式会社の『エマージェンシーコール』。1995年に世界初の安否確認システムとして誕生しました。
1995年の導入当初からバージョンアップを重ね、現在では、1人当たり10種類の連絡先に連絡できるようになったり、連絡できる媒体がスマートフォンアプリ、メールやWebなど、多岐に渡るようになりました。本サービスは東日本大震災でも実績を上げ、被災地の仙台市にある企業では、当日の回答率が88.9%にものぼったのだそうです。
この製品の特長は2点あります。
①関東・関西の2拠点同時稼働なので、災害時にもつながる
②複数の通信手段があるから、通信会社のサービスが停止する危険性はなし
システムの安定性において、非常に高い信頼寄せることができるでしょう。
【2】確認にとどまらず、被災者を助けるところまでサポート(『G-Rescue』)
続いて紹介するのは、アクサ・アシスタンス・ジャパン株式会社の『G-Rescue』です。
本サービスを一言で表すと、“海外の危機管理ソリューション”。昨年7月に導入し、今では100社を超える契約があるのだそう。ツールを売っているのではなく、「実際にお助けすることを約束」するサービスです。どのように助けてくれるのでしょうか。
海外でテロ等が発生し、渡航先にとどまるのが危険だと判断された場合、安全な地域までの緊急避難の手配を行います。
具体的には、宿泊、移動手段、チャーター機、出入国のビザなどの手配をしてくれるのだそう。海外の渡航リスクがある企業の方は、検討してみてはいかがでしょうか。
【3】本当の目的は、安否確認ではなく“事業の継続”(『安否確認サービス2』)
弊社、トヨクモ株式会社の『安否確認サービス2』を紹介しましょう。
5年で500社以上から申込みを受けている本サービス。以下の3点を「安否確認に必要なシステム要件」だと定めたのだそうです。
①確実に届くこと
②確実に動くこと
③対策・指示ができること
特に重要視されているのは、「③対策・指示ができること」。企業が安否確認システムを活用する最終的な目的は、「事業の継続」だという点を強く意識して作られています。
そのため、本人の無事が分かった後の対策指示をしやすくするために、メール・掲示板・メッセージと、目的に応じた伝達機能が利用可能。「決まったことを一斉に通達したい」ときにはメール、「メールが受信できないときにも情報を確認できるようにしたい」ときには掲示板と、使い分けることができるのです。
安否確認だけでなく事業継続についても考えられた、次世代型のサービスと言えるでしょう。
【4】GPSを使って、移動履歴で所在と安否が確認できる!(『HAZARD Buster(ハザードバスター)』)
ジョルダン株式会社の『HAZARD Buster(ハザードバスター)』を紹介します。GPSを使った従業員の動態管理サービスを中国で行っていた同社が、その技術を危機管理にも活かして生み出されました。
世界中でテロなどの事件が頻発する中、海外での安否確認の質をGPSによって向上させた本サービス。従業員がスマートフォンのアプリをダウンロードすることによって、位置をピンポイントに把握することができるのです。
「従業員の現在地と移動履歴が確認できる」
これが本サービスの最大の特長です。出張した先の国でテロが発生すると、企業と従業員が連絡がとれない場合も出てくるもの。本人が企業に連絡をせずに帰国すると、混乱が起きてしまいます。しかし本サービスを使えば、従業員の移動履歴で帰国したことが一目で分かるので安心なのです。
連絡がとれなかった場合のリスクについてもしっかりと考えられたサービスだと言えるでしょう。
【5】一斉連絡を、スピーディー且つ正確に!『SMS一斉連絡サービス』(『SMS一斉連絡サービス』)
最後は、株式会社NTTドコモの『SMS一斉連絡サービス』を紹介します。
同社の安否確認システムは、SMSを使うものです。SMSとは、携帯電話同士による短い文章のメッセージを受信するサービス。皆さんも一度は使ったことがあるでしょう。世界中の携帯電話端末に標準装備されているので、どの携帯電話でも利用できます。
本サービスの主な特長は次2点です。
①メールアドレスより管理しやすい「電話番号宛に送信」するので、到達率が高い
②受信者は届いたメッセージに「1文字」記載するだけで状況を伝えられる
①はメールと比較した時のSMSの優位性。②は、従業員が手軽に安否の返信をできるようにした工夫です。手軽さとスピーディーさを兼ね備えたサービスだと言えるでしょう。
利用目的をしっかり考え、「安否確認システム」を検討しよう
海外に従業員がいる企業向けのものや、返信の手軽さを追求したものなど、それぞれのサービスが利用イメージに合わせた独自の特長があることがお分かりいただけたでしょうか。
皆さんの企業が安否確認システムの利用を検討するときには、「どのような目的を持って利用するのか」をしっかりと検討するようにしてみてください。企業に合ったサービスがきっと見つかるはずです。