中小企業は自然災害などの緊急事態に対する十分な対策をとっていないことが多く、復旧に時間のかかるケースが多くあります。
被災した状況から速やかに復旧し、事業の継続性を高めるBCP(事業継続計画)の策定は、中小企業にとって必要不可欠です。
この記事では、中小企業に必要なBCPの内容やポイントについて解説します。
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早ければ1ヵ月でBCP策定ができるため「仕事が忙しくて時間がない」や「策定方法がわからない」といった危機管理担当者にもおすすめです。下記のページから資料をダウンロードして、ぜひご検討ください。
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目次
BCPとは
BCPとは「Business Continuity Plan」の略称で、日本語では「事業継続計画」と訳されます。事業継続計画とは、自然災害などの緊急事態発生時に、企業や団体が被害を最小限に抑えて短期間で事業を再開させるために作成する計画のことです。
東日本大震災や新型コロナウイルス感染症の蔓延などの経験を経て、近年重要視されるようになりました。
中小企業がBCPを策定する重要性・メリット
ここでは、中小企業がBCPを策定する重要性とメリットについて説明します。
緊急時に事業を早期に復旧できる
一般的に中小企業は大企業と比べ、人員や資金などの経営資源が限られています。そのため、自然災害などで被災した場合、甚大な被害を受けやすく、事業の回復に長い時間を要してしまうことがあります。
しかし、BCPを事前に策定しておくことにより、緊急事態に備えた対応策を明確化できます。具体的には、重要業務の特定、バックアップ体制の整備、代替拠点の確保などを盛り込みます。これにより、被災後の混乱を最小限に抑え、スムーズに事業を復旧させることが可能です。
さらに、BCPの策定プロセスを通じて、平時から危機管理意識を高めることにもつながります。これは、中小企業の持続的な成長と発展に寄与する重要な取り組みといえるでしょう。
顧客からの信用を得られる
自然災害などが発生した際、事業が中断すると、顧客に大きな影響を与えてしまいます。特に、中小企業の多く存在する小売業、飲食業、建設業といった業種では、顧客へのサービス提供が滞ると、信頼を失うリスクがあるのです。
BCPを策定していれば、緊急時にも迅速に事業を復旧できる体制が整っていることを示せます。顧客は安心して取引できるため、中小企業の信頼性向上につながります。
税制優遇や金融支援を受けられる
国や自治体は、企業のBCP対策を促進するために、さまざまな優遇制度や金融支援を設けています。これらの制度を活用することにより、有利な条件で資金調達を行うことが可能です。
たとえば、日本政策投資銀行(DBJ)は、独自の評価システムにより企業の防災や事業継続に関する取り組みを評価し、融資条件を設定する「BCM格付」を行っています。格付に応じて金利が優遇されるため、企業は有利な条件で資金調達ができるという制度です。さらに、BCM格付を取得することにより、取り組み内容の見える化や相対化が進み、ステークホルダーへのアピールといったPR効果も期待できます。
また、東京都中小企業振興公社や中小企業庁も、金融支援に関する制度を設けています。詳細については後ほど説明します。
中小企業のBCP策定率の実態
東京商工会議所が実施したアンケートの結果によると、2023年の段階で中小企業のBCP策定率は27.6%にとどまっており、決して高い数値とはいえません。また、地震や水害といった自然災害を想定したBCPは策定できていても、パンデミックやテロといった他の非常事態への策定はできていないという問題も指摘されています。
参考:東京商工会議所「会員企業におけるBCP対策のアンケート結果」
中小企業のBCP導入が進んでいない理由
中小企業のBCP策定が進まないのはBCPに対する理解不足だけでなく、業務内での優先順位が低い、人材や資金が不足しているなどの要因もあります。ここからは、中小企業がBCP策定に対して抱えている課題について解説します。
BCPに対する理解の不足
BCPそのものへの理解不足が、BCP策定率を伸び悩ませている要因のひとつです。
帝国データバンクが調査を行った「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2021 年)」によると、BCPを策定していない理由のなかでもっとも多かった回答が「策定に必要なスキル・ノウハウがない」でした。
国や自治体、取引先からBCP策定の要望や要請をされるものの、「そもそも何をすればよいかが分からない」というのが中小企業の本音であると思われます。
業務内での優先順位が低い
中小企業は大企業に比べ人的リソースが少ない傾向にあります。従業員は通常業務に追われているため、BCPの策定のような「もしもの場合の備え」はどうしても業務の中での優先順位が下がってしまいます。
また、中小企業は特定の地域を基盤としている企業が多いため、大規模な自然災害が発生しても近隣地域でなければ直接的な影響を受けにくく、自然災害に対しての危機感が低いという点も問題です。
人員や資金の不足
人員や資金面の不足も、中小企業においてBCP策定が進まない要因のひとつです。
人的リソースの不足から、多くの中小企業では防災に特化した人材を社内に確保する余裕がないというのが実情です。
BCPの策定には、プロジェクトを遂行する人員を選出するだけでなく、防災用品の調達などに費用が発生します。多くの中小企業はその余裕がないため、BCPの策定が遅れているのです。
策定する重要性が分からない
BCPの意義や重要性についての理解不足も、策定を遅らせている要因です。
帝国データバンクの「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2021年)」によると、BCPを策定していない理由のなかで「必要性を感じない」「自社のみ策定しても効果が期待できない」という回答が中小企業のほうが大企業より多いという結果になりました。
BCPは本来自社のみではなく、関係する企業や自治体と連携して相互に補完しあう形で取り組むものです。内容を理解したうえで自社のみ実施しても意味がないと考える企業が出てくるのはやむを得ない側面があり、行政の主導による斡旋が必要なポイントともいえます。
BCP策定支援サービス(ライト版)の利用がおすすめ
策定方法がわからないという場合には、コンサルティングサービスの利用がおすすめです。豊富な知識を有するプロがBCPを策定してくれるため、少ない手間で効果的なBCPを策定できます。
コンサルティングサービスのなかには利用費用が100万円を超えるものもありますが、BCP策定支援サービス(ライト版)であれば1ヵ月15万円(税抜)で策定できます。
また、最短1ヵ月で策定できるため、すぐにでもBCPを取り入れたい企業にもおすすめです。「金銭的な負担を軽減したい」「手間をかけずにBCPを策定したい」とお考えの企業は、ぜひ利用をご検討ください。
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中小企業のBCP導入には補助金が活用できるケースもある
資金面も中小企業のBCP策定を妨げるマイナス要因となっていますが、中小企業のBCP導入に関して補助金が活用できる可能性があります。自治体で実施しているものも多いため、自社の地域で活用可能な補助金がないか確認しましょう。
BCP実践促進助成金|東京都中小企業振興公社
BCP実践促進助成金は、BCPの実践に必要な物品、設備等の導入経費についてその一部を助成する東京都中小企業振興公社の制度です。
助成対象は同公社が設定した要件を満たす中小企業で、策定されたBCPの実践に必要な設備・物品の購入、設置に関わる費用が助成対象になります。助成率は、1500万円を上限として、中小企業者等の場合は助成対象経費の1/2以内、小規模企業者では助成対象経費の2/3以内です。
(参考:東京都中小企業振興公社「BCP実践促進助成金」)
事業継続力強化計画認定制度|中小企業庁
中小企業庁が設けている事業継続力強化計画認定制度は、中小企業の事業継続計画に対する認定制度です。認定を受けた中小企業は防災・減災設備に対する税制措置、低利融資、補助金の加点措置などを受けられます。
計画が認定されることにより、設備資金について基準利率から0.9%引下げた利率が適用されます。日本政策金融公庫の中小企業事業では、設備資金において0.9%の引下げが適用されるのは、貸付限度額のうち4億円までです。返済期間は、設備資金で20年以内、長期運転資金で7年以内となっています。
(参考:中小企業庁「中小企業等経営強化法-事業継続力強化計画認定制度の概要」)
中小企業がBCPを策定する方法
中小企業のメリットについて説明しましたが、策定する流れがイメージできないという方も多いでしょう。
中小企業がBCPを策定する流れは、以下のとおりです。
- 基本方針を策定する
- 運用体制を決定する
- 中核事業と復旧目標を設定する
- 財務診断と事前対策を実施する
- 緊急時の対応の流れを決めておく
- 定期的に訓練を行い、ブラッシュアップする
いきなりBCPを策定しようとすると曖昧な内容になってしまうため、最初に基本方針を策定します。そのあと、運用体制や緊急時の対応の流れなどを決めていきます。一度策定したら終わりではなく、定期的に訓練を実施して、内容をブラッシュアップしましょう。
以下の記事でBCPを策定する流れをくわしく説明しています。図解も使用してわかりやすく説明しているため、BCPを策定する際はぜひ参考にしてください。
中小企業がBCPを策定するポイント
中小企業にとってBCPの策定にはさまざまな課題があります。こうした状況下で、BCPを効果的に策定するにはどのような対策が必要なのでしょうか。中小企業がBCPを能動的に策定するためのポイントについて解説します。
まずはプロジェクトチームを編成する
BCPの内容は社内のあらゆる部署に影響を及ぼすため、さまざまな部署の意見を取り入れながら作成することが重要です。BCPの策定が決定したら、まずは各部署から適任者を集めてプロジェクトチームを編成しましょう。
プロジェクトチームの取りまとめは、一般的に総務部が担当します。総務部が中心となり、プロジェクトメンバーの選定や会議の設定、作業の進捗管理などを行うとよいでしょう。
不明点は専門家に相談する
自社でのBCP策定が難しい場合は、BCP策定を専門とする外部企業の活用もひとつの手段です。専門性の高い企業に依頼することにより、策定への道筋が明確になるでしょう。
BCPコンサルにかかる費用の相場は、事業規模や従業員数によって変動しますが以下の通りです。
- コンサルティング会社:約100万円から200万円
- 行政書士事務所:約40万円
- 中小企業診断士:30万円程度
「費用を抑えてbcpを策定したい」「すぐにBCPを策定して緊急時に備えたい」場合は、BCP策定支援サービス(ライト版)もおすすめです。
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費用を捻出するのが難しい場合は、自治体や地域金融機関による制度融資やBCP支援融資を利用するという選択肢もあります。
中小企業のBCP策定を支援している団体
中小企業のBCP策定に関しては、国や自治体だけでなく、さまざまな民間団体がその策定支援を打ち出しています。BCP策定に対する疑問点や課題に関して、こうした団体の支援を活用することによって解決の糸口が見えてくる可能性があります。
ここからはBCP策定を支援している団体についてご紹介します。
商工会議所の取り組み
「そもそもBCPとは何か」「実際にBCPを策定したい場合にどうすればよいか」といった疑問や課題を解決するため、日本商工会議所は講義映像を公開しています。
また、東京商工会議所では、感染症や情報漏洩、自然災害などさまざまな脅威に対応できる「BCP策定ガイド」を発行しています。二重化やアウトソーシングなど8つの戦略が紹介されており、BCPの策定をしたことがない企業でもスムーズに進めることが可能です。
また、策定講座やシンポジウム等も実施しており、BCPの基本や採用例を学び、自社の策定の参考にすることができます。
各業界団体の取り組み
BCPの内容は、業種や事業内容ごとに独自性が高くなります。そのため、各業界団体によるBCP策定支援の取り組みを活用することも有効な手段です。
たとえば、一般社団法人日本金属プレス工業協会では、BCPの取組に関する協会独自の認定制度を導入しています。BCPをマネジメントするシステム構築をサポートするJMSA BCMS構築ツールを作成しています。
また、一般社団法人日本建設業連合会は、大規模災害発生時に政府と応急活動を担う指定公共機関です。防災業務計画や震災時初動対応ハンドブックなどを作成し、災害対策部会、BCP部会や首都直下地震対策ワーキンググループを設置しています。
一般社団法人全国建設業協会も同様に指定公共機関に指定されており、建設業向けに地域建設業における災害時事業継続の手引きや事業継続計画作成例などを提供しています。
初めて作成をする場合は、テンプレートを活用しよう
中小企業庁や東京商工会議所は、BCP策定にあたり参考となるテンプレートを公表しています。ここからはBCP策定のテンプレートについてご紹介します。
トヨクモ|bcpマニュアル
当サイトではBCP策定マニュアル・BCPテンプレートを公表しています。
こちらの記事では、BCPマニュアルの作り方を紹介しています。中小企業診断士でBCPコンサルタントの竹上将人氏 監修のテンプレートを活用していただくことで、1時間でBCPを作成できます。ぜひ、手順に沿って作成してみてください。
中小企業BCP策定運用指針|中小企業庁
中小企業庁は中小企業のBCP普及と促進を目的とし、運用指針を発表しています。
中小企業の特性や実状に基づいたBCPの策定方法や運用方法についてわかりやすく説明されており、指針に沿って進めることによってBCPに関連した書面を作成できる仕様となっています。
入門・基本・中級・上級の4つの段階ごとに運用指針に基づいた書面を作成できるため、自社の状況や規模に合わせて指針を活用することが可能です。
(参考:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」)
東京商工会議所
前述の通り、東京商工会議所は「BCP策定ガイド」を作成しています。本編では東日本大震災の事例や企業の生き残り戦略を解説しており、事業継続戦略に基づくBCP策定を推奨しています。様式集では図表などを織り交ぜながら、効果的にBCPが策定できるようわかりやすく解説しており、これらはHPからダウンロードして活用が可能です。
(参考:東京商工会議所「BCPなど企業の防災対策支援」)
中小企業がBCPを策定した事例
中小企業がBCPを策定した事例として、ヒサノの事例を紹介します。ヒサノは、福岡に位置する輸送会社です。
熊本地震や2020年7月の豪雨での災害対応などをきっかけに、BCP策定に着手し始めました。事業拡大に伴って建設した新しい倉庫には、BCP拠点としての機能を持たせています。浸水が想定される場合には、速やかに倉庫内の商品を高い場所に移動できるように設計し、さらに自家発電機や災害用自動販売機、地下水確保のためのポンプなども設置し、ライフラインを確保しました。
また、本社が被災した際には別の事業所で本社機能を担えるように、さまざまな業務をクラウド化しました。災害時にデータが損失するのを防止できるのです。
BCPを策定したことに加えて、新しい倉庫の内覧会を取引先に向けて実施したことにより、信頼感の向上につながりました。また、水や電気、食料などのライフラインを徹底して整備しており、従業員や近隣住民に安心感を提供することにもつながっています。
(参考:九州経済産業局「大切なビジネスを守るBCP事例集」)
中小企業の事業継続にはBCP策定が必要不可欠
BCPは、いざという時にどのようにして事業を継続するかを定め、被災による倒産などのリスクを軽減するための計画です。能動的に取り組むことにより、BCPの策定が中小企業のリスク軽減だけでなく、事業の要点や社会性を認識する一歩となるでしょう。
こうした取組みによって緊急事態時の企業の継続性が上昇し、地域の復興時に大きな助けとなります。
BCPの策定に重要なことは、平常時から訓練を繰り返してPDCAサイクルを回し、組織内に災害時の対応を染みつかせておくことです。
経営者の的確な判断ももちろん重要ですが、近年では経営者層の高齢化が進んでいます。そのため、全社的に行動ができる体制を作ることが、防災/減災のためには欠かせません。
ぜひ、この機会にBCPの策定に取り組んでください。
BCPを策定できていないなら、トヨクモの『BCP策定支援サービス(ライト版)』の活用をご検討ください!
早ければ1ヵ月でBCP策定ができるため「仕事が忙しくて時間がない」や「策定方法がわからない」といった危機管理担当者にもおすすめです。下記のページから資料をダウンロードして、ぜひご検討ください。
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