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頼られる総務人事になるために。総務人事お役立ち資格9選

目に見えにくいけれど実は多岐にわたるのが、総務の仕事です。経営・業務企画、コンプライアンス、リスク管理、法務・登記・契約管理、労務から庶務まで、枚挙のいとまがありません。また時代の流れに伴い、人事をめぐる環境も急激に変貌を遂げています。

つまり一言で言えば、総務人事は「社員の役に立ち、会社を支えるのは自分」という重責を担う部門。だからこそ、経済・法律などに加え、IT、メンタルヘルス等、今の社会のニーズに応える幅広い知識を蓄えておくことが求められます。
ここではそんな総務人事視点で役に立つ資格を、関連する業務と共にまとめました。費用、学習時間、合格率などのデータも参照しつつ、新たな可能性に向けて扉を叩いてみてはいかがでしょう。

総務人事は要チェック!シーン別お役立ち資格~挑戦しやすい編~

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マナーやスキルなど、総務に不可欠な知識が身につく検定試験

【ビジネスキャリア検定】
企業での職務遂行に必要な実務能力を評価するための唯一の公的資格試験。総務を筆頭に、主に事務系職種のビジネスパーソンが、自分自身のスキルアップのため段階的にチャレンジしていくのに適している試験。
<試験概要>
毎年2月、10月に実施。(2級は部門長やディレクター、3級は係長やリーダーをめざす人が対象。1級は現在休止)。合格率は中央職業能力開発協会によると、全分野平均44.3%。2007年を機に、試験問題が質・量ともに改訂され、職務遂行に必要な能力を試されるようになりました。スクールを利用時の費用は20,000円から。

従業員の労務管理のため取得が期待される国家資格

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【衛生管理者】
労働安全衛生法において定められている国家資格。
常時50人以上の労働者が働いている事業所(一部の業種は除く)では、衛生管理者の選任が義務付けられているので、該当する事業所では必須の存在。従業員の労務管理は総務の業務のひとつであり、労働条件や労働環境に関する業務はとても重要。企業の総務部や労務部に配属された後、会社からの要請で資格を取る人も少なくありません。
<試験概要>
各地域の安全衛生技術センター(全国7ブロック)にて、毎月1~3回程度実施。合格率は、公益財団法人の安全衛生技術試験協会によると、平均して第1種:55.5%、第2種:66.0%。学習期間は標準3~5日間ですが1~2日での合格も可能。独学も多いようですが、スクール利用時の費用は25,000円 位。

帳簿の記入など、総務担当者には必須のスキル

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【日商簿記検定】
企業が経済活動を行ううえで必ずやるべき業務のひとつに「帳簿の記入」があり、これには簿記の知識が必須です。また、社員の賃金の管理、出張費等などの清算、備品の管理など、総務での日常的な業務のほとんどには、簿記の知識が深く関わってくるため、ぜひチャレンジしたい試験。
<試験概要>
毎年2、6、11月に実施。合格率は、東京商工会議所の検定試験情報によると、平均して1級:9.2 %、2級:19.1 %、3級:34.6 %。合格点をクリアしていれば全員が合格となるため、努力した分、確実に結果を得られる資格試験です。スクール利用時の費用は、15,000円~180,000円程で、級が高くなるにつれて金額が高くなります。2級や3級に関しては、独学でチャレンジするケースも多く見られます。

不動産に関わる業務を行う上で取得しておきたい人気の資格

【宅地建物取引主任者】
宅地建物取引主任者(通称:宅建)は、不動産取引のスペシャリストとしての活躍が期待される人気の国家資格です。不動産業を営む上では必ず必要ですが、それ以外の業種でも、寮、社宅、事務所の管理や、オフィス移転の際など、企業が不動産に関わる機会を持つ以上、保有していることが望ましい資格です。
<試験概要>
毎年10月、およそ20~25万人が願書を提出します。財団法人不動産適正取引推進機構によると、合格率は15%強。勉強期間としては3ヶ月から半年、時間で言えば200時間から300時間。スクール利用時の費用は100,000円~150,000万円位です。

従業員の心の病を未然に防ぐ。ストレス社会で脚光を浴びつつある資格。

【メンタルヘルス・マネジメント検定試験】
企業・法人の人事管理の観点から、従業員の心の病を未然に防ぎ、健康を増進することを中心に、知識・技術・態度の理解・習得を目的とする資格です。悩んでいる社員への早期のカウンセリング、メンタルヘルスケア人材の育成などを行います。メンタルヘルスを導入する企業が漸増している現在、人事労務管理就労者は取得しておきたい、今注目の資格です。
<試験概要>
毎年11月実施(Ⅱ・Ⅲ種は3月にも実施)。合格率は、大阪商工会議所によると約Ⅰ種:11.7%、Ⅱ種:54.6%、Ⅲ種:82.3%。対策講座を開講している資格スクールは少数で、利用時の費用はおおよそ35,000円~50,000円程度。一方で公式テキストは内容の充実ぶりに定評があり、独学でも十分な勉強が可能と言われています。

マイナンバー運用開始に伴い、求められる個人情報管理のための資格

【マイナンバー実務検定】
今年1月から運用が開始されたマイナンバー制度。これに伴い、企業の総務には、組織体制の整備やマイナンバーの管理のための安全管理措置を意識した取り組みが求められます。企業としても、情報におけるセキュリティ意識の高さをアピールできるこの検定は、今後新たに必要とされる資格の代表例といえるでしょう。
<試験概要>
一般社会人レベルの3級から、官公庁・企業者の実務担当者レベルの1級まであり、幅広い層が受験可能。マイナンバー制度と法の理解度が問われます。スクール利用時の費用は、おおよそ37,000円~50,000円程度。全日本情報学習振興協会によると、合格率はいずれも80%以上です。

総務人事は要チェック!シーン別お役立ち資格~難易度が高い編~

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総務が関わる経営関連の業務を、ほとんど網羅した試験範囲

【中小企業診断士】
中小企業診断士は、経営コンサルタントとして認められた、唯一の国家資格です。経営やマーケティング全般にわたる幅広い知識が要求されます。申込者の内訳を見ても、最多は「民間企業勤務」で5割強を占めています。一般にコンサルタント資格といわれますが、会社の「あらゆる業務に役立つ資格」でもあります。
<試験概要>
1次:8月、2次:10月(筆記)・12月(口述)実施。科目合格制度、有資格者への科目免除等、受験しやすいものへと変わってきていますが、それでも試験の難易度はかなり高く、通学、通信教育などによって試験勉強を進めるケースが大半。受講料は200,000円から。中小企業診断協会によると、1年以内の合格者が26%いる一方で、2~3年の学習期間の合格者が40%超ともなっており、計画的な長期学習が必要な試験といえます。平成27年度合格率は、1次:26%、2次:19.1%。

IT人材育成やIT関連の管理などに携わる業務に向け、お役立ち資格

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【情報処理技術者】
情報処理技術者試験は、経済産業省が、情報処理技術者としての「知識・技能」の水準がある程度以上であることを認定している国家試験の総称で、IT系で唯一の国家資格です。会社によっては、取り扱うデータベースの管理や、ホームページの運用、また情報セキュリティの整備などを総務が担当する場合もあり、取得が期待される資格です。
<試験概要>
4月、10月実施。業務の役割や期待される技術水準及びレベルにより、12種類の試験区分に分かれます。まずは全体的なITの基礎知識を身につける「ITパスポート」試験についていえば、独立行政法人 情報処理推進機構によると合格率は47%。この科目の場合、スクール利用時の費用は22,000円から。勉強時間は1ヶ月~3ヶ月とされています。

難関だが、総務の実務とマッチした国家資格

人事総務 資格7【社会保険労務士】
社会保険労務士の仕事には、労働関連・社会保険関連の書類の作成や提出、賃金や退職金、労働時間などの労務管理等、総務に関係する業務が多く含まれます。いずれも総務や人事部門で働く人にとって必要不可欠な知識のため、社労士資格保有は、スペシャリストとして社内で確固とした地位につながります。
<試験概要>
試験は毎年8月下旬。公認会計士や税理士などと比較すると短期間で合格を狙える試験です。社労士試験合格者の約7割は社会人。毎年5万人以上が受験する人気資格ですが、厚生労働書によると合格率は2.6%と発表され、難関資格となっています。

以上、総務人事の業務と関連する資格を列挙しました。

宅建や簿記といった、伝統ある資格から、マイナンバーや情報管理、メンタルヘルスなど時代の潮流に沿った資格まで、可能性は様々です。もちろん、勤務先の業種や分野、会社の規模などによって、取得をめざしたい資格は千差万別でしょう。
しかし、個人の資格取得が職場環境の向上や人材育成などの形で企業全体の発展に直結するのは、総務人事という部門だからこそ。挑戦を恐れず、意欲的に新たな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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