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ファシリティ管理こそ、総務の腕の見せどころ。必要項目やスキルのまとめ

ファシリティ管理こそ、総務の腕の見せどころ。必要項目やスキルのまとめ

企業の経営資源といえば、以前は「ヒト・モノ・カネ」すなわち、人材、資材、資金の3つでした。しかし近年では、これらに情報、そしてファシリティが加えられるようになりました。「第5の経営資源」とも称されるファシリティを総合的・戦略的に活用することは企業にとって大きなテーマです。

人件費に次ぐ大きな費用項目だからこそ、企業の成長戦略の鍵ともなるファシリティ。その管理をつかさどるのは、多くの場合、総務部です。事実、日本ファシリティマネジメント推進協会が実施した「企業経営と建物施設の企画・管理・活用に関するアンケート調査」において、オフィスの施設管理は総務・庶務部門との回答が全体の89%を占めています。
ここではファシリティの管理・マネジメントの重要性を確認した上で、総務に求められる具体的な業務やスキルを紹介していきます。

ファシリティ管理の必要性と、期待される効果

ファシリティ管理 総務1
国際的な競争が熾烈を極める中、企業は抜本的な改革を迫られています。しかし施設関係費については対策が遅れ、スクラップ・アンド・ビルドの時代が続きました。
その結果、バブル時代に巨額をかけて建設・入手した施設は活用が遅れ、企業経営の足かせとなってきました。また省エネや環境問題の面からも改善すべき施設は多く存在します。
こういった課題を解決する手法として、アメリカ発の経営管理方法であるファシリティの管理やマネジメントが日本でも脚光を浴びるようになりました。

このように、ファシリティ管理・マネジメントとは、管財や営繕といった従来の施設管理にプラスアルファされている概念です。人々の働く「場」を単なる不動産ではなく経営資源として捉え、いかに経営に貢献させるか検討することが考え方の基本としてあり、「企業などの施設および環境を総合的に企画・管理・活用する経営管理活動」と定義されています。

そしてこのマネジメントによって期待される効果は、次のように整理されます。

1、施設の過不足、施設の使われ方の問題点などが明らかになる
2、経営効率の向上
3、施設関連費用の最小化
4、顧客、従業員など利用者にとって快適・魅力的かつ環境に優しい施設の実現

上記を踏まえた上で、次章で主な業務内容を見ていきましょう。

ファシリティ管理としての主な業務内容例

ファシリティ管理 総務3
ファシリティの範囲は、土地、建物・設備から、家具・什器、アート、サイン、そしてそれらを含む環境まで広範。具体的に一覧を下記のとおり示しますが、どこから手をつけどこまで行うかは、会社の経営方針や規模によって千差万別です。外部の請負会社に目標や条件を明示して完全にアウトソースする大企業もあれば、総務・庶務に一任されるケースもあります。他の日常業務も抱えつつファシリティ管理を意識するのは大変ですが、たとえば傘置きやお手洗いといった身近な事からでも実践は可能です。

●不動産戦略
保有資産管理、リース管理、施設戦略、テナントマネジメント、スペース計画、ワークプレース計画
●デザイン・コンストラクション
企画・設計要件定義、調査・診断、プロジェクト管理、移転マネジメント、外注業者管理、
●施設運営・維持管理
クリーニング、予防メンテナンス、各種設備管理業務、建物・設備保全業務、環境衛生管理業務、エネルギー管理、LCC管理、セキュリティ管理業務、オペレーション予算管理、リニューアル・MAC、植栽管理、廃棄物・リサイクル管理、外注業者管理
●オフィスサービス
受付サービス、メールルームサービス、印刷/コピーサービス、ユーティリティ管理、AV・OA機器管理、ファイル管理、購入・購買支援サービス、グリーンサービス、自動販売機管理、経理支援サービス、人事支援サービス、外注業者管理、ヘルプデスク

以下、代表的かつ特に重要なものの詳細は下記になります。

【不動産管理】
会社が所有する土地、建物、保養施設、社宅・寮などの不動産(有形固定資産)は、固定資産台帳で管理します。台帳にはすべての試算の内容(面積・規模・形式等)と所在地、価格と減価償却の経過その他を記載します。これらを絶えず注意深く見返すことで、適切なメンテナンスの他、有休資産の有効活用(売却、別用途での利用)といった積極的な対策につなげることができます。

【オフィス建物の管理】
オフィス賃貸・売買契約、オフィス清掃の手配。オフィスの用途変更に伴うリニューアル工事の手配。最適な業者を決定し業務スケジュールを作成することも求められます。
オフィス移転やリニューアルに際しては、その目的を明確化することが重要です。たとえば「コミュニケーションの活性化」「企業のブランドイメージ向上」「社員の意識改革」などが挙げられますが、これに応じて具体的に詰めていくことが求められます。
ポイントとしては、オフィス移転であれば、立地条件、自然災害リスク、治安リスク、利便性、非常時のインフラチェックなど。レイアウト変更であれば、ワークスペースやゾーニングの設計、内装の快適性、入退室セキュリティなどが挙げられます。

【社内環境の整備】
省エネ、分煙、クールビズ・ウォームビズ等の社内環境の整備。
社員が気持ちよく仕事に集中できる環境を整えることが求められます。具体的には、適度な室温や湿度、目に優しい照明、穏やかな音量のBGMなど、「快さ」を追求することが大事です。

【備品・機器の手配、管理】
文具、机、収納棚、PC、書籍など、事業活動のうえで必要になる様々な備品や機器。こうした物品を手配し、さらに出費をできるだけ抑えることが総務のミッションです。そのために現在の物品リストを見直して転用が可能かを考えたり、新たに手配する場合は購入・リース・レンタルどれかを決定します。

求められるのは、「適切な在庫を持ちつつ最少のコストで調達すること」。オフィスサプライ会社を活用しつつ、品揃え・価格・数量の柔軟性・納期・割引条件・支払条件など総合的に判断して適切な調達先を選びましょう。用度品の1個あたりの価格は微少でも、調達方法次第では会社のコスト管理に大きく貢献できるものです。なお近年は、環境配慮の視点から3Rやグリーン購入も注目を集めています。

ファシリティ管理者として総務に求められるスキル3選

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コスト削減を意識しつつ業者を選定したり、オフィス移転やレイアウト変更など各種プロジェクトを企画・管理できる能力が求められます。
コスト意識は勿論のこと、チームをまとめあげていく調整力も重要です。
加えて、経営者に分かりやすく短時間で説明できるプレゼンテーション能力も磨きをかけておくべきでしょう。
またファシリティ関係の知識も求められます。以下の資格や経験の保有は特に強みとなるでしょう。

【認定ファシリティマネージャー】
従業員が効率的かつ快適に過ごせるようにファシリティを管理する仕事です。
具体的には、オフィスレイアウトの配置を変えたり、コンピューターやプリンタの配置を考えたり、パテーションなどで席や机の区分けなどを行うことで、従業員が過ごしやすい環境を作り、生産性や効率性の向上を図ります。
社団法人日本ファシリティマネジメント推進協会が認定ファシリティマネージャー(CFMJ)
資格試験を実施しています。学科・論述試験から構成され、合格率は40%程度、毎年400名程の新規登録者が現れています。

【不動産証券化協会認定マスター】
不動産証券化の専門家にふさわしい知識とスキルを体系的に習得する教育プログラム。市場の健全な発展を担う人材育成のために創設され、社団法人不動産証券化協会が実施主体。マスター認定者は、最新情報の入手や知識のブラッシュアップのため継続教育を受講することが必要とされています。

【建築物環境衛生管理技術者】
建築物の環境衛生の維持管理に関する監督等を行う国家資格。通称「ビル管理技術者」。
一定面積以上の特定建築物において選任義務があります。
財団法人ビル管理教育センターが行う建築物環境衛生管理技術者国家試験に合格、または、建築物環境衛生管理技術者登録講習会の全課程を修め良好な成績を得た者に対し免状が交付されます。

他にも、ファシリティ関連のみならず、総務全般にお役立ちの資格もこちらの記事(頼られる総務人事になるために。総務人事お役立ち資格9選)でご紹介しています。合わせて参考にしてみて下さい。

まとめ

以上見てきたように、ファシリティ管理に携わる担当者に求められるのは文字どおり「戦略総務」の役割です。明確なコスト意識のもと、経営者側の視点で、風土変革や経営改革にも資するオフィス空間と環境づくりを考えることが要求されています。

そしてアウトソーシングするにせよ会社の参謀役として采配をふるうためには、知識とスキルが欠かせません。常に改良点を求めアンテナを張り巡らせると同時に、日々自己研鑽に努めたいもの。ファシリティ関連の業務からは、その努力にふさわしく会社を支えているというダイナミックな醍醐味が味わえるはずです。

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