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アフターコロナに向けて企業が進めるべき準備とは?テレワーク導入の必要性を解説

アフターコロナ時代のリモートワーク

2020年、新型コロナウイルスの感染は世界中に広がり、国内外の経済も大きなダメージを被っています。日本国内でも、中小企業だけでなく東証一部上場企業の中にも倒産する会社があるなど、観光業や飲食業を中心に広範囲にネガティブな影響が広がっています。

今この逆境に耐える企業は、新型コロナウイルスの第二波、第三波、また将来的に起こり得る別のパンデミックに備え、何をしておくべきなのでしょうか?

ここでは、新型コロナウイルスによる影響の現状、およびアフターコロナに向けて企業はどのような準備をすべきなのかを説明します。

コロナによって甚大なダメージを受けた国内外の経済

新型コロナウイルスにより経済活動は大きく冷え込み、2020年4月前後から倒産件数は明らかに増え始めました。

当初はもともと体力のなかった企業から倒産する傾向が見られていたため、世間では「コロナウイルスがとどめとなった」と認識されるケースが多かったものの、健全な経営状態であった企業にも徐々に被害が拡大。倒産を回避するために営業活動を行えば非難の対象となり、また営業活動をやめれば倒産に至るという極めて困難な局面が続いているのです。

2020年5月18日には東証一部上場企業から初めての倒産事例が発生。アパレルメーカーの株式会社レナウンが、138億7,900万円の負債を抱えて民事再生の開始決定手続きを受けました。

こうした前代未聞の状況から、新型コロナウイルスがもたらす影響の大きさをあらためて実感させられます。

コロナによる倒産は1年のうちに1万件との見通しも

コロナで倒産する企業
2020年4月末に公開された日本経済新聞の記事「コロナ禍 倒産、年1万件超も 宿泊業や飲食業に打撃」では、融資の状況次第では年間の倒産件数が1万件にのぼるといった意見も掲載されています。この予測は、リーマンショック時と同程度の規模で企業倒産が起こることを示しています。

そうした予測を背景に、日本政策金融公庫の特別貸付を始めとした、新型コロナウイルスによる売上減少に悩まされる事業を対象とした好条件な融資、売上が前年度比で半分以下になった事業者を対象とする「持続化給付金」、従業員の雇用を維持する企業への助成である「雇用調整助成金」など、多くの経済的な支援策が展開されていますが、いずれも即融資・即給付とはならず、多くの事業者が経営に苦しむ状況は続いているようです。

参考:
帝国データバンク「倒産速報記事」
東京新聞「<新型コロナ>倒産 1万件超見通し 休廃業は2万5000件」

コロナ収束後に予想される世界のあり方とは?

幸いなことに6月頭現在、緊急事態宣言は全面解除となりました。今回の感染拡大は、ひとまず落ち着く方向に向かっています。しかし、いったん収束したとしても第二波、第三波が訪れる可能性は十分にあります。そのため、三密を避けるため対面でのコミュニケーションに慎重になり、ソーシャルディスタンスを意識する生活は、コロナ収束後も依然続くものと予想されます。

この傾向は、一般消費者だけでなく企業で働く従業員にも見られるはずです。具体的には、下記のような価値観の変革が進む可能性があります。

  • 感染リスクを避けるため季節に応じて仕事場所を切り替えたい
  • 非対面でも完結する業務はできる限り非対面で行いたい
  • テレワークを前提として就職を検討したい

また、今回のパンデミックによる影響の大きさを考慮して、企業もアフターコロナに向けて準備を始めることが推奨されています。

アフターコロナに向けて企業が進めるべき準備

新型コロナウイルスのように、現代医学をもってしてもすぐに解決できない感染症の大流行が起こった時、自社の経済的被害を最小化するためにはどのような準備をすべきなのでしょうか?

コロナ収束後、いわゆる「アフターコロナ」を見据えて、いま企業が取り組むべき施策についてご説明します。

パンデミックのためのBCP策定を進めるべき

地震や台風を想定したBCP(事業継続計画)だけでは、事業継続のための対策として十分とはいえません。自然災害に備えるBCPでは、コロナウイルスのように世界各地に感染症が流行するパンデミックには対応できないからです。

自然災害とパンデミックは、以下のような点で異なります。

  • 自然災害は影響範囲が局所的、パンデミックは影響範囲が広域である
  • 自然災害時は対面して連携が可能だが、パンデミック時は対面での対応ができない
  • 自然災害は事態収拾に目途がつくが、パンデミックは予測不可能である
  • 自然災害は設備に被害が及ぶ一方、パンデミックの被害は人に集中する

上記のように、影響の範囲や対面連携の可否、復旧までの期間や被害を受ける資産が異なるのです。

パンデミックの影響範囲をコントロールすることは困難であるため、パンデミックに備えるためのBCP策定では、主に「非対面で長期的かつ安全に業務を行う体制」の構築を検討することが必要となります。

その反面、物理的な被害は自然災害時より少ない傾向にあるため、より人材を守ることへフォーカスしてBCPを策定することが望まれます。テレワークの導入は、その中でも特に求められるものでしょう。

円滑にテレワークへ移行できる体制構築

新型コロナウイルスの流行にともない、日本国内のテレワークの導入件数は大幅に増加しています。テレワークの導入により、従業員は非対面で長期的に身の危険を避けつつ業務ができるようになりました。

感染拡大を阻止するためのテレワーク導入は、従業員のメンタルケアが必要、意思共有が難しい、などといった課題があります。しかし、テレワークが以下のような副次的効果を生んでいるケースも多く、平時からテレワークを導入することに賛同する声も挙がっているようです。

  • 在宅ワークによる拘束時間の最適化
  • 各員の理想的な仕事環境の構築
  • 不要な会議・飲み会の排除

いくつかの課題を解決し円滑にテレワークへ移行できている企業は、すでに上記の利点を獲得しており、パンデミックの状況下においても一定の生産性を維持できることを証明しました。しかし、テレワークを初めて導入する企業のなかには、従業員の自宅に業務遂行のための機器が揃っていなかったり、勤怠管理に課題を感じていたりする声も聞かれます。

こうした「テレワーク慣れ」ができていない企業では、テレワークで対応できる業種であるにもかかわらず通勤・出社を迫られる状況が続いており、パンデミックの状況下における業務体制の脆弱性が露見しているのです。

テレワーク導入によるポジティブな側面に対して、生産性・感染リスクの課題が残るテレワーク未導入のネガティブな側面が明確となった今こそ、企業は「パンデミックに備えたBCP策定」の中核にテレワークを組み入れるべきでしょう。

参考:
日本総研「アフターコロナを見据えた地方の中小企業経営と産業支援のあり方」
月間総務オンライン「地震BCPでは対応できない パンデミックBCPのポイント」
Yahoo! JAPANニュース「テレワークできるのに導入できない企業に潜む「不公平感」、克服の仕方は?」

まとめ

2020年5月現在、新型コロナウイルスの猛威は海外では依然落ち着いておらず、世界的な収束の目途はまだ立っていません。また、ニュースで取り上げられる専門家の意見の中には「新型コロナウイルスは数年続くだろう」と予想する声もあり、経済活動の完全復旧は先行きが不透明です。

こうした状況だからこそ考え方や価値観を見直し、パンデミックを想定したテレワークを始めとするBCPの策定に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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