今、オフィスにいるとき、南海トラフ地震や首都直下型地震が発生したら、あなたはすぐに「持ち物」を持って避難できますか?
南海トラフ地震では、マグニチュード8~9クラスの地震が30年以内に発生する確率が70~80%とされています(2020年1月24日時点)。
また、首都直下地震では、マグニチュード7程度の地震が30年以内に発生する確率は、70%程度と想定されています(2020年1月24日時点)。
つまり、今後2050年までに大地震が発生する可能性は極めて高いと考えられます。
参考;国土交通白書 2020
そして、家にいるよりも、オフィスにいる時間の方が長い会社員にとって、オフィスで被災することを想定する必要があります。
そのために避難の準備を事前に行うことは不可欠です。避難訓練を定期的に行うことはもちろんですが、避難するときに準備しておくべき持ち物を事前にまとめておくことが必要となってきます。この記事では、もしオフィスで被災して避難することになったとき、最低限必要な持ち物のチェックリストを紹介します。
オフィスにいるときに大地震が直撃。そのときあなたはどうする?
ここで、会社にいるときに大地震が発生することを想定した、シミュレーションをしてみましょう。
あなたは客先から戻り、オフィスで昼食を食べながら、プレゼンの資料をチェックしています。そのとき、震度7の大地震が発生。ズシンとくる、強い縦揺れのあと、大きな横揺れが続きます。この揺れで棚やキャビネットに収納しているモノが次々と放り出され、転倒防止対策がされていない棚が倒れてきます。
あなたは反射的に机の下に入ったおかげで、棚の転倒や蛍光灯の破裂による被害を避けることができました。しかし、揺れが収まったとしても、いつ余震が来るかわからず、オフィスにいるのは危険な状態です。
あなたは、社内のアナウンスに従い、すぐに避難しようとします。しかし、事前に持ち物をまとめていなかったので何を持っていけばいいのかわからず、ひとまず自分のカバンだけを持って避難しようとします。電車は止まっていて、自宅にはしばらく帰宅できそうになく、そもそも、自宅が無事なのかもわからないという状況。帰宅困難者となってしまったあなたは、避難所として指定されている付近の公園へと向かいます。
数日の避難所生活をすることになりますが、オフィスに避難時に必要な持ち物の準備をしていなかったため、不安を抱えながら過ごすことに……。
これは想定ですが、もしオフィスにいるときに、大地震が起こった場合、地震直後の死傷のリスクだけでなく、避難後の食糧や飲水の不足、衛生面の不安などに直面することは十分に考えられます。
そうした事態を少しでも避けるために、オフィスに最低限必要な持ち物をまとめておきましょう。
避難時に、最低限必要な15つの持ち物チェックリスト
1. 懐中電灯・LEDライト
地震が起きた場合、大規模で長期的な停電が起こることも想定されます。そうなったとき、夜の明かりを持参することは必須。予備の電池を用意しておいた方がいいでしょう。ソーラー充電が可能なライトが理想的です。
2. 軍手
棚などの家具が転倒したり、建造物が崩壊するリスクは十分考えられます。そうしたときに棚や瓦礫などで道がふさがっていたりしたとき、素手で作業するのは当然ながら危険。そのせいで、負傷したとしても、非常時に病院が開いているとも限らないため、軍手を着けて、防げる怪我は未然に防ぎましょう。
3. 会社周辺から家周辺まで入った地図・コンパス
地震発生後、すぐに帰宅するというのは大きな危険が伴うので、避けたいところ。しかし、家に幼い子どもがいるといった、どうしても帰らざるをえない場合、地図の準備はしておいた方がいいでしょう。
震災が起こると、街の様子も様変わりしている場合がありますし、スマートフォンの地図もバッテリーを考えると現実的ではありません。そんなとき、紙の地図は重宝するはずです。コンパスもセットで用意しておくといいでしょう。
4. 手回し・ソーラー充電式ラジオ
大地震が発生したとき、最も欲しい情報は地震の状況と、被害状況のニュースです。テレビが繋がるとも限らず、スマートフォンなどは充電の関係でいつまでも使うことは難しい。そこで、携帯ラジオを持っていると便利です。手回し式やソーラー充電式のものであることは必須です。
5. ヘルメット
高層ビルの多いオフィス街で被災した場合、上からものが落ちてくる危険性は十分にあり、ヘルメットで防げる事故は多いでしょう。ヘルメットはオフィスにまとめてストックしておくのがいいでしょう。
6. 折りたたみ傘・レインコート
避難した先が公園などの場合、雨を降ったときの対策が必要です。病院にかかることが難しい非常時に、身体を崩してしまうことは避けたいので、雨に濡れないように折りたたみ傘かレインコートは持っておきましょう。
7. 非常食・飲料水(3日分)
オフィスに食糧の備蓄がなく、配給が始まるまでも時間がある。それまでに生き延びるための、非常食と飲料水の備蓄は必要です。最低でも3日分は必要と言われています。とはいえ、水を3日分持ち運ぶのは困難でしょう。ですので、ペットボトル1本ほど用意しておき、飲みきったら、飲水が手に入る場所で汲む、というのが現実的です。
尚、東京都が定めている「帰宅困難者対策条例」では、企業は従業員を3日間オフィスに滞在させる必要があるとしています。
8. 医薬品
怪我をした場合の処置ができるように、アルコールと包帯、風邪をひいたときのために風邪薬の準備は必須です。持病がある場合は、その薬もオフィスにストックしておいた方がいいでしょう。
9. ライター・マッチ
野外で避難生活をする場合、ガスや電気が使えるとは限りません。火が点けられると暖をとったり、料理をしたりするときに使えます。
10. ティッシュ・ウェットティッシュ
トイレに行くとき、紙がなかったりすることも考えられるため、ポケットティッシュは必要です。ウェットティッシュがあれば、身体を洗うことができないときに、拭いて汚れを落とすことができ、衛生面を保つ上であった方がいいでしょう。
11. タオル
避難所生活でシャワーを浴びることはできなくても、顔を洗ったり髪を洗うことはするはずです。ですので、タオルは必ず持っておきたいところです。
12. 防寒着
夜になると寒くなる春や秋、野外で避難生活を送ること可能性もあるため不可欠です。秋や春には普通、防寒着は持っていないため、会社に一着置いておくといいでしょう。
13. 歯ブラシ
避難先で歯磨きができないのはやはり不衛生ですし、ストレスにも繋がります。歯ブラシを1本持っておいた方がいいでしょう。
14. スニーカー
スーツで仕事をしている人は、スニーカーをオフィスに置いておいた方がいいでしょう。地震で瓦礫などが道に散乱していたら、革靴で歩くのは困難となりますので、災害時にはスニーカーを履いて避難しましょう。
15. 非常用持ち出し袋(カバン)
ここで紹介してきた最低限必要な持ち物は、できれば非常用持ち出し袋としてまとめておきましょう。両手が空くカバンにまとめるのがベストです。リュックが持ち運びしやすいですが、収納スペースが少ない場合は、コンパクトのショルダーバッグなどがオススメです。
<避難時に最低限必要な15つの持ち物チェックリスト>
1. 懐中電灯・LEDライト
2. 軍手
3. 会社周辺から家周辺まで入った地図・コンパス
4. 手回し・ソーラー充電式ラジオ
5. ヘルメット
6. 折りたたみ傘・レインコート
7. 非常食・飲料水(3日分)
8. 医薬品
9. ライター
10. ティッシュ・ウェットティッシュ
11. タオル
12. 防寒着
13. 歯ブラシ
14. スニーカー
15. 非常用持ち出し袋(カバン)
オフィスで被災することを想定して準備しよう!
避難のときに最低限必要な持ち物は、自宅には準備できている人も多いかもしれませんが、オフィスにその備えが万端な人はなかなかいないのではないでしょうか。
しかし、大地震が起きてからでは遅いのです。首都直下型地震や南海トラフ地震といった大地震の発生が予測されている今、避難時の備えは早急に行った方がいいのです。今回、紹介してきたチェックリストにあるものは、非常用のカバンにまとめてオフィスに常備しておきましょう。
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