防災・BCP・リスクマネジメントが分かるメディア

避難所で広がりやすい感染症とは?必要な感染症対策と持ち物をご紹介

避難所は、自然災害などの緊急事態時に多くの人が集まる場所です。特に都会では、避難所として指定されている学校や公共施設内に人が集まるため、密になりやすく感染症を広げてしまいやすい傾向があります。

このような事態を予測して、事前に何をどのように備えればよいか見直す必要があります。

この記事では、避難所で広がりやすい感染症や必要な感染症対策と持ち物についてご紹介致します。

避難所で広がりやすい感染症

自然災害などの緊急事態時において、避難所には多くの人が集まります。限られた空間に人が集まって集団生活をすると密になりやすいため、感染症のリスクが高まります。

避難所でとくに広がりやすい感染症は以下の通りです。それぞれ詳しく解説します。

新型コロナウイルス

新型コロナウイルス感染症は非常に感染力の高いウイルスのため、避難所ではパンデミックが起こらないように注意が必要です。

新型コロナウイルスに感染した場合、初期症状として、発熱・咳・頭痛などの症状があらわれます。ただし、初期症状の段階では風邪と見分けがつきづらく、味覚障害や嗅覚障害の症状があらわれてから、新型コロナウイルスと判断できるようになるということも多いでしょう。

また、このウイルスの特徴として、基礎疾患のある方や高齢者の方は重症化しやすいことが挙げられます。新型コロナウイルスの主な感染経路は、エアロゾル感染・飛沫感染・接触感染です。

至近距離ではとくに感染しやすいため、避難所での生活者はお互いに適切な距離を取ることが求められます。

インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが引き起こす感染症です。インフルエンザに感染した場合、一般的に38℃以上の高熱・関節痛・頭痛・喉の痛み・咳・鼻水などの症状があらわれます。

また子どもに感染した場合、部屋から飛び出したり、急に走り出すなどの異常行動が見られることがあるため、子どもをひとりにしない配慮が必要です。

インフルエンザの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。インフルエンザウイルスは手に付着しただけでは発症せず、付着したまま口や鼻などの粘膜に触れることによって感染します。

ノロウイルス

ノロウイルスに感染すると、吐き気や嘔吐、腹痛や下痢のほか38℃以下の微熱などの症状を引き起こします。

子どもの場合は、嘔吐が1日に10回以上に及ぶ場合もあります。高熱が出ることは少なく、感染までの潜伏期間が1日から2日と短いことが特徴です。

ノロウイルスの主な感染経路は、食品や手指を介した経口感染です。また、ノロウイルスは感染力が非常に強く、僅かなウイルスでも感染してしまうため乳幼児や高齢者などはとくに注意が必要です。

結核

結核に感染した場合、主に痰・体重減少・咳などの症状があらわれます。一般的に風邪と似た症状のため気付きにくいですが、2週間以上症状が続く場合は結核の可能性を疑う必要があります。

発見が遅れてしまった場合、腎臓・骨・脳など全身に症状があらわれる可能性があるため、早期の発見が重要です。

結核の主な感染経路は、飛沫を介した空気感染です。発病の初期には痰や咳などに結核菌は含まれませんが、進行に伴い含まれるようになるため、他者に感染させてしまいます。

水ぼうそう

水ぼうそうに感染した場合、主に38℃以上の高熱・赤い発疹・かゆみなどの症状があらわれます。

とくに10歳以下の子どもに多く発症しますが、大人が発症した場合には、重症化しやすい傾向にあります。

水ぼうそうの主な感染経路は、飛沫感染・空気感染・接触感染です。発疹出現より1日〜2日前から発疹出現後4〜5日程度の間に感染力があります。ただし、かさぶたからは感染することはありません。また、潜伏期間は2〜3週間程です。

レジオネラ肺炎

レジオネラ肺炎は、レジオネラ属菌が引き起こす感染症です。レジオネラ肺炎に感染した場合、主に発熱・頭痛・食欲不振・倦怠感などの症状があらわれます。肺炎の症状が認められない場合でも、ポンティアック熱という悪寒を引き起こすことがあります。

また、乳幼児や高齢者は肺炎を起こすリスクが通常より高いため注意が必要です。

レジオネラ肺炎の主な感染経路は一般的に、細菌を含む加湿器・ジェットバスなどからエアロゾルを吸引することで発症します。潜伏期間は、2日〜10日程です。

ツツガムシ病

ツツガムシ病は、ツツガムシを介して発症する感染症です。ツツガムシ病に感染した場合、主に刺された5日〜14日後に倦怠感・発熱・悪寒・頭痛・リンパ節の腫れなどの症状があらわれます。重症になると、肺炎や脳炎症状を引き起こします。

ツツガムシ病の主な感染経路は、リケッチアという病原体を保有しているツツガムシの幼虫に刺されることです。また人から人へ感染することはありません。

乳腺炎

乳腺炎は、乳腺が細菌に感染して発症する感染症です。乳腺炎を発症した場合、発熱・熱感・乳房の痛み・しこりなどの症状があらわれます。急性化膿性乳腺炎の場合には、乳房に膿のかたまりができるという症状が分娩後2週間以降に多く見られます。

乳腺炎の主な感染経路は、授乳によって生じた乳頭の傷や、乳汁の出口などから細菌が侵入することです。

避難所で必要な感染対策8選

避難所は感染症が拡大しやすい条件が揃っているため、各々が意識して衛生管理を行うことが感染対策として有効です。

前述した感染症を拡大させないために、ここでは避難所で必要な感染症対策8選をご紹介します。

正しい手洗いを徹底する

感染症から、身を守るためには正しい手洗いがとても重要です。適切なタイミングと方法で手洗いをすることで、感染症を予防することが可能です。

手洗いをする適切なタイミングとして、ドアノブや手すりを触った後など手にウイルスや菌が付着している可能性が高い時が挙げられます。その際、ハンドソープを用いて15秒ほど、手のひらだけでなく指の間や爪の先まで洗いましょう。

マスクを装着する

感染症予防のためには、マスクの着用は必須です。

風邪やインフルエンザを発症している場合、一度の咳に約10万個のウイルスが含まれています。マスクには、吐き出す飛沫量を減少させる効果があります。そのため、感染者がマスクをつけることで周囲への影響を少なくすることが可能です。

また、感染症患者の近くを通る際や看病する際にマスクを着用することで、咳やくしゃみを直接浴びる可能性を減少させることができます。

とくに、コロナウイルスは感染していても無症状の可能性があるため、体調をとくに崩していない場合も着用を推奨しています。

トイレを清潔に保つ

トイレの衛生状態を保つことが、感染症拡大の予防に繋がります。これは、トイレを不衛生な状態にしておくとノロウイルスなどの蔓延につながってしまうためです。

また、履き物を介して感染症が拡大することを防ぐために、トイレを使用する際は移住区域とは分けて使用することが重要です。トイレの衛生状態を維持し清潔に使用することは、避難所生活でのストレス軽減にもつながります。

換気や消毒は定期的に行う

集団生活をする避難所は密になる可能性が高いため、定期的に換気をする必要があります。対角線上にある、ドアや窓を2箇所開放するとより効果的な換気を期待できます。

また、それぞれが距離を保つことを意識して密集を避け、3密になることを防ぐことも大切です。
そして、定期的に消毒を実施することによって清潔な状態を維持することが、感染症対策につながります。

飲食について

避難所生活における飲食については、菌の繁殖等を防ぐために、食品を素手で触れることがないように徹底する必要があります。また、食品に触れる方は、正しい手洗いとアルコール消毒を意識し、マスクを着用するようにしましょう。

感染症の症状がある方には、必ず申告してもらい、食事に関わる作業に従事してもらうことは避けてもらうことが無難です。
そして、必ず加熱された食事をとるように意識し、生物は口にしないようにしましょう。

洗濯は家庭ごとにまとめてする

避難所での洗濯は、共用の洗濯スペースで洗濯機を使用する機会が増えます。その際、感染症拡大防止のために他の家庭とは洗濯物を分け、家庭単位で行うことが望ましいでしょう。

また、洗濯機が使えない場合を想定し、災害時における簡易的な洗濯用品を備えておくと重宝します。そして、便で汚れた衣類などは再利用することはせず手袋を付けてから汚物として、密閉した袋に入れ処分しましょう。

感染対策の概要を目の留まるところに貼る

避難所における集団生活では、どれだけ多くの方が感染症対策を意識しているかが重要になります。そのためにも、各々が感染症対策を意識しやすいように、感染対策の概要を目の留まるところに貼るとよいでしょう。

とくに、多くの人の目に留まる出入り口付近や掲示板などに感染症予防のポスターや、咳エチケットのポスターなどを貼り付けることが有効です。
また、感染症リスクの高いトイレや手洗い場、調理場などに貼り付けても、高い効果を期待できます。

感染者が出た場合の対応

避難所で避難者の体調が悪化した場合には、迅速な対応が必要です。

まず、現場のスタッフに感染者が出たことを報告し、感染した経路や原因等を把握し対策を講じます。その後は、同じ空間で過ごしていた避難者に報告し、日々の体調の変化を継続して観察する必要があります。

重大な感染症の場合には、管轄保健所保健師が避難所へ出向いて対応し、蔓延防止に努めてくれるため指示に従いましょう。

避難バッグに入れておきたい感染対策グッズ

緊急時や災害発生時に、咄嗟に準備して避難所に向かうことは容易ではありません。そのためにも、常日頃からリスクを考慮し、事前に避難バックを準備しておくとよいでしょう。また、家族内で避難バックの保管場所を周知しておくことも重要です。

災害時の避難バックに入れておくべきものは以下を参考にしてください。

  • マスク、手指用アルコール
  • 乳児、幼児用の消毒グッズ、食事
  • 生理用品
  • 紙おむつ
  • ウェットティッシュ、ハンカチ、ティッシュ
  • 使い捨てゴミ袋
  • 常備薬など
  • その他非常食品や衛生用品
  • 簡易トイレ
  • LEDライト
  • ブランケット、スリッパ
  • 簡易トイレ
  • 紙のハザードマップ

避難所での感染症対策を頭に入れてもしもに備えよう!

災害大国の日本では、いつ地震などの自然災害が起きてもおかしくありません。そして、避難所は災害時発生時に多くの人が集まるため、感染症にかかるリスクが高い場所です。

災害が発生してから、感染症に対する知識を入れたり、対策を考えることは困難でしょう。事前に感染症対策を頭に入れておくことで、自身や家族の安全を守るだけでなく避難者全体の感染症拡大を防ぐことが可能です。

安否確認サービス2の製品サイトに遷移します。
プロフィール背景画像
プロフィール画像

編集者:坂田健太(さかた けんた)

トヨクモ株式会社 マーケティング本部 プロモーショングループに所属。防災士。
2021年、トヨクモ株式会社に入社し、災害時の安否確認を自動化する『安否確認サービス2』の導入提案やサポートに従事。現在は、BCP関連のセミナー講師やトヨクモが運営するメディア『みんなのBCP』運営を通して、BCPの重要性や災害対策、企業防災を啓蒙する。