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災害時に早期に企業の業務再開をはかるには災害用伝言板を利用しよう!

地震や津波などの大規模災害が起こった際に、事業復旧に向けて行うべきことの1つに「従業員の安否確認」があります。事業を復旧する上で最も重要となるのは、事業復旧に稼働できる従業員数を素早く把握することです。しかし、通常使用している携帯電話の回線はつながりにくくなると予想されますし、充電が切れてしまうと連絡を取れなくなってしまいます。このような災害時に活用したいのが、今回ご紹介する災害用伝言板です。この記事では災害用伝言板の種類と使い方、それ以外の安否確認手段についても併せて紹介していきます。

災害用伝言板とは

災害伝言板とは
災害用伝言板は、日本国内で震度6弱を超える地震など大規模な災害が起こった際に開設される安否確認のため仕組みで、各電話会社が提供する災害時のサービスです。地震の安否状況を登録できる対象者は、被災地に住んでいる人と滞在している人。登録された安否状況は日本全国、サービスによっては全世界のどこからでもインターネットなどを利用して確認できます。

東日本大震災の際は、平常時の最大約50~60倍もの通話が行われたことにより、通信規制が実施され、電話をかけても繋がりにくい、もしくは繋がらない状態が発生しました。このような通信規制の影響をできるだけ避けながら、従業員や家族の安否を確認するための手段の1つとして、災害用伝言板も運用されています。

参考:
総務省 安心・信頼の向上 災害用伝言サービス
NTTdocomo 災害用伝言板
au 災害用伝言板サービス
SoftBank 災害用伝言板
NTT東日本 災害用伝言板(web171)

各社の災害用伝言板について

各社の災害伝言板
災害用伝言板には各携帯電話会社が運用している独自運営のものと、キャリアや使用端末などを限定しない災害用伝言板の2タイプがあります。ここでは、大手各社のサービスの概要と使用方法についてご紹介します。

NTTdocomoの災害用伝言板

こちらは独自運営のもので、NTTdocomoの端末からアクセスして自身の状況を登録すると、あらかじめ登録したメールアドレスに通知が送られます。そして、伝言はサーバーを経由して確認できます。また、安否確認をしたい被災者に状況を登録するよう依頼するメールの送付も可能です。

このサービスでは、NTTdocomoの携帯端末からのみ情報の登録ができますが、伝言の確認は通信会社を選びません。各社携帯端末、固定電話、PHS、パソコンからも確認できます。 なお、NTTdocomo災害用伝言板への登録・確認などの利用料金は無料ですが、別途パケット通信料が必要です。

登録できる伝言の件数は携帯端末1台につき10件で、それを超える場合は古いものから上書きされていきます。登録はあらかじめ準備されている「無事です」「被害があります」「自宅に居ます」「避難所に居ます」のなかから選択する方法、全角100文字までのコメントを入力する方法、両方を同時に入力する方法から選ぶことができ、日本語だけではなく英語にも対応しています。英語のメッセージでは「I’m okay」「Need Help」「Safe at home」「At evacuation area」の選択肢があります。

アクセス方法は次のとおりです。

  1. 「iMenu」から「災害用安否確認」を選択し、「災害用伝言板」に進みます。
  2. 「dメニュー」から「災害用安否確認」を選択し、「災害用伝言板」に進みます。

(参照:NTTdocomo)

※iモード公式サイト(日本語・英語)について、2021年11月30日(火曜)にサービスの提供を終了する旨が発表されています。詳しくは、ドコモ社「iモード公式サイトの終了について」をご確認ください。

auの災害用伝言板サービス

auもおおまかな流れは同じです。auの携帯端末から自身の安否情報を登録すると、あらかじめ登録したメールアドレスに通知されます。安否情報や伝言は災害用伝言板を介して確認できます。そのほか、電話番号で安否情報を検索できる機能もついています。

伝言の登録はauの携帯端末に限定されますが、伝言の確認は通信会社を選ばず、各社携帯端末、固定電話、PHS、パソコンからでも可能です。

また、登録できる伝言の件数は1つの電話番号につき10件です。登録は「無事です」「被害があります」「自宅に居ます」「避難所に居ます」「コメント見て」のなかから選択する方法と、100文字までのコメントを入力する方法があります。安否情報の登録や確認の利用料は無料ですが、別途パケット通信量が必要になります。また、伝言が登録されたことを通知させるメールの送付先はあらかじめ5件まで登録でき、地域を問わずすべての携帯電話、PHSの番号で安否情報検索できます。

アクセス方法は以下のとおりです。

  • auケータイ(4G LTE)の場合
    「メニュー画面」から「アプリ」を選択し、「au災害対策」「災害用伝言板」と進みます。
  • auケータイ(3G)の場合
    「EZボタン」から「トップメニュー」に移動し、「災害用伝言板」に進みます。
  • auスマートフォンの場合
    指定の災害対策アプリをダウンロードし、掲示板に直接アクセスします。

(参照:au)

ソフトバンクの災害用伝言板

ソフトバンクも基本的な機能は他社と同じです。ソフトバンクの携帯端末から安否情報の登録を行うと、あらかじめ登録したメールアドレスへ通知されます。また、伝言の確認や携帯の電話番号を利用した安否情報検索の機能がついています。

災害用伝言板への登録はソフトバンクの携帯端末に限定されますが、伝言の確認は通信会社を選びません。各社携帯端末、固定電話、PHS、パソコンからでも確認が可能です。また、伝言の登録や確認の利用は無料ですが、通信料がかかります。

登録できる伝言の件数は電話番号1つにつき80件までと他社に比べて多いのが特徴です。登録は「無事です」「自宅にいます」「被害があります」「避難所にいます」「移動中です」「会社にいます」「学校にいます」のなかから選択する方法と、全角100文字までのコメントを入力する方法があります。伝言が登録されたことを知らせるメールアドレスは10件まで登録できます。さらに「S!電話帳バックアップ」を利用すれば、最大20件まで登録件数を拡張できます。

アクセス方法は以下のとおりです。

  • 4Gケータイ、AQUOSケータイの場合
    「メインメニュー」を選択し、「サービス」または「安心機能」から「災害用伝言板」に進みます。
  • iPhone、スマートフォン、タブレットの場合
    アプリをダウンロードしてアクセスします。

(参照:SoftBank)

NTTの災害用伝言板(web171)

携帯端末やパソコンで安否情報を登録します。あらかじめ通知先を登録しておくと、家族や知人にメールもしくは音声通知が届きます。このサービスでは、自身の安否情報を登録する際に利用するキャリアが限定されません。またパソコンからも問題なく使える点が便利でしょう。
1つの電話番号につき最大20件までの伝言を登録でき、1件当たり100文字まで入力できます。

伝言の登録を家族や知人に知らせる方法はメールだけでなく、音声でも行ってくれるので年配の方でも安心して使えます。別途通信料がかかりますが、利用料は無料です。事前の利用者登録が必要です。

(参照:NTT東日本)

サービスごとに微細な違いはありますが、おおまかな内容は一緒です。現在は事業者間をまたいで安否確認できる「全社一括検索」が実装されたことで、各社が情報を吸い上げて共有する仕組みが構築されています。なかでも、NTTの災害用伝言板は端末を選ばないため格安スマホを使用している人の情報も共有でき、キャリアより汎用性が高いといえそうです。

参考:
NTTdocomo 災害用伝言板
au 災害用伝言板サービス
SoftBank 災害用伝言板
NTT東日本 災害用伝言板(web171)

安否確認における担当者負担を大幅に軽減する、安否確認システム

災害伝言板以外の安否確認手段
従業員の安否確認を目的として、前段でご紹介した災害用伝言板を利用するのは有効な方法です。通信にともなうパケット料が発生する場合もありますが、利用コストはかからず、導入のハードルは低いといえます。しかし、安否確認を災害用伝言板に限定してしまうと、被災後に担当者が手動で行う作業が多く負担が大きくなるため、安否確認までに時間がかかったり、救助が間に合わなかったりとリスクが高くなります。その為、他の手段も持っておくことが大切になります。

その選択肢として「安否確認システム」がおすすめです。災害用伝言板だと従業員ひとり一人の検索を行う必要があり、どうしても時間がかかります。また会社の指示を全従業員に通達したい場面でも手間がかかります。たとえば、トヨクモが提供している「安否確認サービス2」であれば、災害と連動して従業員へ自動的に安否確認通知を送信可能で、返信がない従業員には再送信をしてくれる機能も付随しています。

また、従業員からの回答を自動的に集計してくれるので、速やかに拠点ごとの被害状況や、稼働できる従業員数を把握することが可能になり、事業再開の目処を立てる際にも非常に有用です。さらに、企業が利用する場合に重要となってくる個人情報の保護がしっかりしている点も大切なポイントです。事業継続計画(BCP)を策定するときにはぜひ取り入れたいシステムです。

参考:
トヨクモ株式会社 使いやすいデザインで安否確認を自動化 安否確認サービス2

まとめ

地震などの災害が起こった際に、速やかに事業を再開するためには、復旧に動員できる従業員数を迅速かつ確実に把握するために「安否確認」を行う必要があります。従業員数の大小にかかわらず、休日や夜間、テレワーク環境で災害が発生すると、迅速かつ正確な安否確認の実施は困難になります。一刻も早い事業復旧のために、迅速かつ正確な安否確認を行える安否確認システムも検討してみてはいかがでしょうか。

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