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安否確認システムの導入率は?導入メリットなども紹介

現在、安否確認システムがどれほどの企業に導入されているかご存知でしょうか。ここでは企業の災害に対する意識やシステムの導入率について紹介し、その有効性などを説明していきます。自社の災害対策についてどうするべきか、従業員を管理する担当者や経営者の方はほかの企業の動向を知ることで、今後の方針や安否確認システム導入についても検討してみるとよいでしょう。比較的少人数の企業でも、危機管理は怠ることのできない重要なことです。

なぜ企業にとって安否確認システムが重要なのか

安否確認システムは、災害時に従業員の安否を確認し状況を把握するためのものです。日本のような地震大国では、いつ大きな地震が起こってもおかしくありません。そのような事態に陥った場合、連絡の取り方やその後の行動を決めておかなければパニックになってしまうかもしれません。地震に限った話ではなく、さまざまな災害に対応し、安否確認がいつでもできる状態にしておく必要性があります。

各企業が独自に連絡網を設定し、緊急時に対応することももちろん大切です。しかしこの一連の作業を自動的に対処できるようにしておけば、安否を調べる担当者が動けない場合でも問題なく機能し、迅速な集計が可能になります。

さらに、何が起こるか分からない状況ではひとつでも連絡手段を増やしておくことは重要です。通話などで連絡を取ることもできますが、災害時は多数の人が電話をかけることで繋がりにくくなることも考えられます。

安否確認システムの基本機能には「安否確認メールの一斉送信」などがあります。そしてこのメールに対する回答機能が備えられていることによって、従業員の状況を把握することができるようになっています。安否の情報を一覧で表示をする機能や、緊急地震速報と連動して送られるようにすることも、サービスによっては可能です。

企業にとって、緊急時に迅速な安否確認ができるということ、そして連絡手段をひとつでも増やして連絡が取れる確率を上げるために、重要なシステムだと言えます。

参考:みんなのBCP 安否確認システムとは?28サービスの比較からメリットまで徹底紹介!

安否確認システムの導入率

東京都中小企業振興公社では、危機管理の専門メディアに登録している企業17,000社を対象に、防災対策に対する意識調査を行っています。その結果によると、実際に導入している製品やサービスとして最も多かったのが「防災グッズ」で85.4%の導入率でした。これはコスト面や運用面を考えても、比較的導入が容易であることが関係していると考えられます。一方で「安否確認システム」も69.3%の導入率であることが分かっており、各導入製品の中でも5番目といった導入率の高さでした。過半数の企業が導入しているという結果が得られていますが、危機管理メディアに登録しているという調査対象の属性も考慮する必要があるでしょう。

東京商工会議所のとったアンケート結果では、安否確認システムを安否確認の手段としている割合は28%となっています。

安否確認システムの導入率を従業員規模別に見てみましょう。

従業員50人以下の場合には37.8%、51~100人以下の場合には56%の導入率であり、傾向としては従業員の多い企業ほどシステムを導入しているということが見てとれます。しかし、メールや通話を安否確認に使用する割合は、従業員が少ないほどよく使われており、少人数の場合にはシステムを導入しなくても人の手で確認すれば足りるという意識があるようにも見られます。

この傾向は安否確認システムに限らず、防災対策にかける予算の有無にも表れています。全体としては40.9%の企業が年間予算を決定していると回答していますが、50人以下の企業ではわずか13%となっています。これに対し300人超の企業では52.7%の割合で決まっていると回答しました。

小規模の企業であっても安否確認システムの必要性に違いはありません。規模別に見た時、比較的導入率が低いということがわかっていますが、今後の災害に備えて導入を考えてみてはいかがでしょうか。また多くの従業員を抱える企業では導入が進んでいますが、これは一人ひとり個別に連絡を取るのが難しいということが関係しているでしょう。

参考:東京都中小企業振興公団 防災対策に関する意識調査 結果報告書
東京商工会議所 会員企業の防災対策に関する アンケート調査結果

安否確認システム導入の始め方

安否確認システムの導入にあたり、まずはどこのサービスを利用するのか選定することから始めましょう。安否確認メールの一斉送信など、基本機能はほとんどのサービスで利用可能です。ただし利用する際の操作感やオプション機能、利用料金などに違いがあります。

例えばトヨクモの「安否確認サービス2」では、ユーザー数に合わせて利用することができ、月額6,800円からの料金設定となっています。コミュニケーション機能が充実しているなどの特徴があり、全体でメッセージを共有できる機能や、グループで話し合いができる機能などがあります。

NTTコミュニケーションズ「Biz安否確認」でも、ユーザー数に合わせて料金設定が異なります。スマートフォンやタブレット向けの専用アプリもあり、利用料金は初期費用に10万円、加えて月額料金が10,040円~となっています。このほかアルソックやセコムのようなセキュリティサービスを提供する会社が提供しているサービスもあります。

導入が決定したら、システムを導入したことや操作方法を従業員に伝えるようにしましょう。導入しただけで終わってしまうとコストだけがかかることになってしまいます。導入を知らない従業員や安否回答のやり方をわからない従業員がいると、いざという時に混乱してしまいます。そして想定通りに回答がもらえると考えている管理者も混乱してしまいます。

次に、利用者登録に漏れがないか厳重にチェックを行いましょう。そもそもユーザーとして全従業員が登録できていなければ意味がありません。特に注意が必要なのは新入社員や異動のある従業員、その他契約社員やアルバイトなどの非正規雇用者のように出入りの激しい従業員の登録です。多重登録などもないようにしなければなりません。
また、集計の頻度やそのタイミングも把握しておくようにしましょう。災害後、すぐに安否確認されても回答できない可能性があります。どのタイミングや頻度が効果的なのか考えておきましょう。

最後に安否確認のテストを行いましょう。登録したユーザーに正しくメールが送られているのか、どのタイミングで送られているのか、回答が送られてくるまでの時間の測定や、設定通りの動作をしているのかどうかをチェックします。そして全員がきちんと回答の操作ができるのか、ということも確認しておきましょう。

上でも触れた東京都中小企業振興公社のアンケートでは、実際に安否確認システムを利用した感想が紹介されています。使用方法についての周知が従業員の多くに及んでいないことや、地域ごとにわけられるような機能が欲しいといった問題点や要望が挙げられています。自社に導入した場合どのような問題点が出てきそうか事前に考えておき、その問題を解決できるようなサービスの選定およびオプションの追加などを検討しましょう。

参考:みんなのBCP 安否確認システムとは?28サービスの比較からメリットまで徹底紹介!
トヨクモ:安否確認サービス2
NTTコミュニケーションズ Biz安否確認/一斉通報

まとめ

現在では、メールや通話が安否確認の手段として多く使われていますが、緊急時には通話ができなくなること、手動によるメール送信ではタイムラグが起こるなど上手く機能できない可能性もあります。安否確認システムですべての問題が解決するわけではありませんが、できるだけ災害時の安否状況を把握するためにも導入を考えてみてはいかがでしょうか。小規模の企業でも導入の必要性は高いと言えます。災害に備え適切な危機管理をしていく必要があるでしょう。

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